ほとんどの犬はウンチをするとき、決まったルーティンを持っています。匂いを嗅いでグルグル周り、彼/彼女にとっての完璧な場所を探してポーズを決め、用を足したら…犬によっては地面を蹴ったり、砂を跳ね上げる行動をします。

なぜ彼らは、ひと仕事の後に地面を蹴るのでしょうか？

なぜ犬は地面を蹴るのか

猫は排泄の後に熱心に砂をかけて隠すことで知られています。この行動は、外敵から隠す目的だとか、他の猫の目を気にして隠すのだとか、ウィルスの蔓延を予防するためだとか様々に言われていますが明確にはわかっていません。

犬のウンチ後の地面を蹴る、足を上げる、砂や草を蹴り上げるといった行動の理由も、明らかにはされていません（そもそもそうした研究はありません）。ただし専門家の意見は概ね以下の3つに集約されているようです。

自分アピール説：「私はここにいるよ！」

「私はここだ！ここにいるぞ！」とアピールするために行うという説です。

犬は肉球および足の間に匂いを発する腺があります。犬が地面を擦ると、これらの腺からの匂いが地面に移動します。この行動は犬が家畜化される前からあるもので、野生の犬やオオカミは、これをマーキングの目的で行っていました。

「ウンチしていれば、アピールとしては十分じゃない？」と私たち人間は考えますが、糞便は乾燥すると香りが失われる一方、足の分泌物の匂いは長時間（数日間）続くので、他の犬を牽制する力が強いのです。また地面を蹴って傷つけることにより彼/彼女の匂いを深く埋め込むことができるので、これまたアピール度合いは高くなるのです。

自分強いぞアピール説：「強い犬がいますよ！」

力強く引っ掻くことで自分の優位性を示すと言う説もあります。

犬のライバルが多い散歩道や公園など熱心に蹴り上げているのなら、自分の強さアピールに必死になっている可能性があります。地面に長くて深くて鋭いマークが残されていたり、草や土や岩を蹴り上げてあれば、後に訪れる犬たちは「かなりのツワモノがこの地を訪れたな…」と感心してくれるかもしれませんから。

自らを隠す説：「ここに私はいません、ウンチなんてしていません」

「自分アピール説」「自分強いぞアピール説」の他に、猫と同様に痕跡を隠す目的という説や、その場を衛生的に保つ目的という説もあります。野生では、オオカミ、ディンゴやキツネなどのイヌ科の動物は、衛生上の理由のために地面を蹴ることがあるからです。いずれも生き残るためにする行動とまとめることができます。

ウンチの後に地面を蹴り上げるのは、どの犬でもする普通の行動です。特に困っていないのならやめさせる必要はありません。

しかし、なんらかの理由で困っていてやめさせたいなら、蹴りが始まる前に報酬（たとえばオヤツ）を与えて注意をそらし、行動をおさえることも不可能ではありません。叱ったり怒ったりしても意味はなく、褒めたりオヤツを与えて「ウンチしてじっとしていたらイイコトがある！」と覚えてもらいましょう。忍耐は必要ですが、ワンコはしっかり覚えてくれます。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Preventing post-poop kicking? – Dogtime
[2] Why Does My Dog Kick the Grass After Pooping? | CANIDAE®

Featured image creditFrenzel/ shutterstock

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