もっと知りたい犬の気持ち〜犬たちの不思議な行動を読み解こう♪

生態・行動
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犬の行動を見てみると「どうしてこういうことをしているのかな?」と不思議になることがあります。人間にとっては無意味な行動でも犬のとっては意味があるのです。

さて今回も、犬たちのボディーランゲージについてのお話です。人間にとっては不思議に思える犬の行動としぐさは、犬たちのどんな気持ちを表しているのでしょうか?

おしっこのあとに地面を蹴り上げる

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image by Csehak Szabolcs / Shutterstock

犬がうんちやおしっこをしたあとに、後ろ脚でそのまわりの土を蹴り上げて、砂がかかって大変だったという経験をした飼い主さんは多いのではないでしょうか。よく見てみれば、後ろ脚でうんちやおしっこをしたところに砂をかけて隠しているわけでもなく、全然別のところの砂を飛ばしている行為だったり、ただアスファルトを後ろ脚で蹴っているだけの時もあると思います。猫と犬の排便、排尿後の砂かけは意味が大きく違っています。猫は自分の排便や排尿したところを隠そうとして、前足でキレイに砂をかけて隠します。犬の場合は、逆で、「私がここでうんちしたのよ。私がここにいるのよ。」と自分の匂いをまわりのひろげる意味で砂を蹴り上げるというより、蹴散らして匂いを広めるということをしています[3][4]。

地面に体をこすりつける

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image by CBCK / Shutterstock

地面に背中をこすりつけてゴロゴロするしぐさは、散歩中にみられることがあると思います。よくみればゴミなどの上を急にゴロゴロしていて、飼い主さんが悲鳴をあげるということもしばしばあるようです。人間から見たら、「一体何をしている?」と問い詰めたくなる行為ですよね。

ゴミなどの上にゴロゴロする時は、ゴミなどの匂いで自分の匂いを隠す意味があると言われています[4]。他にも自分の匂いをこすりつけて「私がここにいるよ!」と他の犬に知らせたり、ほかの犬に自分がみつけたものの匂いを知らせて「ここにご飯があるよ」と知らせる意味があるようです[3][4]。

犬は群れで行動する動物なので、おしっこや、排便後に地面をけりあげて匂いを飛ばしたり、こうして地面に背中をこすりつけ匂いを残したりして「私はここにいるよ」とお互いに知らせながら、争いがなく、そして餌などの情報を分け合いながら生きてきたのでしょう。シャンプーのあとに地面に背中をこすりつけてゴロゴロはじめる時がよくあります。これも飼い主さんにとったら「きれいにしたばかりなのに辞めて!」と悲鳴を上げさせるしぐさですが、犬にとっては「このにおい、嫌い!」と他の匂いをつけて気を沈めている時もあるようです[3]。ゴロゴロすることでシャンプーのストレスから気持ちを落ち着ける意味もあるのでしょうね。

前足をかけて腰をふる(マウンティング)

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image by Christian Mueller / Shutterstock

未去勢のオス犬が人間の足やクッション、ぬいぐるみなどに前足をかけて腰を振るマウンティングをする場合、性的な衝動からくることがあります。しかしメス犬でもこのマウンティングをしたり、去勢済みのオス犬でもさかんにマウンティングをしたりすることがあります。これはどういう意味なのでしょう?

犬は性的な行為の模倣としてではなく、犬に自分が偉いことを認めさせる場合にマウンティングをすることがあります。「私のほうがあなたより偉いのよ。」と上の犬が主張し、下の犬が受け入れているときはお互いにそれを認めて許している時でしょう[3]。単純に嬉しすぎてどうしていいか分からなくなった時や、ストレスがかかってどうしていいか分からなくなった時もマウンティングを始めます[4]

人にお尻をつけて座る

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image by rSnapshotPhotos / Shutterstock

動物病院の待合室では、背中やお尻ををぴたっと飼い主さんの足につけてこちらを向いていたり、飼い主さんの靴の上に座り、お尻だけを飼い主さんの足の上にくっつけてこちらを見ている犬をよく見かけます。体をこちらにしっかり向けながらも、お尻は必ず飼い主さんにくっつけているしぐさは「怖いのかな?怖くないのかな?」どちらなのだろう、と不思議に思ったことがあります。

これは犬が不安で飼い主を頼っている時にみかけるしぐさです[4]。「ちょっとでもくっついていたら安心♪お母さん、そこにいるよね。」という気持ちの表れだと言えるでしょう。このしぐさをしている犬は、近づくとだいたい吠えたり、威嚇したり、強気にみせることが多いです。「私を守ってくれるお母さんが後ろにいるんだからね!」という気持ちなのでしょうね。

犬がこのしぐさを見せる時は、飼い主さんを信頼して、頼りきっている証拠なのだとか[4]。ドッグカフェやお外にお出かけした時にもよく見るしぐさですが、このしぐさを見せた場合、犬が不安に思っていることを理解して、おやつをあげるとか言葉をかけるとか、犬をリラックスさせるようにしてあげて下さい。おうちでリラックスしている時にお尻をくっつけて座っているような場合は「いっつもくっついていたの。大好き」という気持ちの表れなのですよ♪

お腹をみせる

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image by Schubbel / Shutterstock

お腹を見せるしぐさは「服従の姿勢」と言われています。犬同士でこのしぐさを見せる場合は、相手の行動を止めて、「ちょっと待って、それ以上嫌なことしないでね。」という気持ちの表れです。犬は犬同士の遊びの最中に交互にこのしぐさを見せて、遊びがエスカレートしないようにしています[3][4]。人間に対しては散歩中に急にお腹を見せたり、なでてあげている時にお腹をみせることがあります。自信のない犬がよくみせるしぐさでもあり、この場合、尾が足のあいだに入っているのをよく見かけます。

人間に対してこのしぐさをする時は「私、何もしないから。だからやさしくしてね。仲良くして」と飼い主さんをなだめるときにもみせるしぐさです。これは相手をなだめて、自分も落ち着かせるカーミングシグナルのひとつでもあります。

一方で、前回のハッピー・シグナルで言及したとおり、うれしい・気持ち良いときもお腹をみせることがあります。同じ「お腹を見せる」という仕草でも気持ちが良くなって、本当にリラックスしている場合は、尾はダラっと伸びているはずですよ。尾の位置に注意して、気持ちを読んであげてくださいね。

おしっこをする

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image by Zanna Holstova / Shutterstock

散歩中に犬同士があうと、どちらかの犬や両方の犬がおしっこを始めることがあります。これはおしっこするということで自分の緊張をやわらげて、相手の犬に対しても「落ち着いて、仲良くしよう」と伝えているカーミングシグナルのひとつです[1][3][4]。新しい場所や診察室に入ると必ずおしっこをしてしまう犬がいますが、それはとても緊張していて、しかも自分に落ち着かなければと言い聞かせていると言えるでしょう。その場合、不安な犬の気持ちをよんで、怒ったりしないようにしてあげてくださいね。


 
人間にとっては無意味にみえる行動でも、実はいろんな意味があることがあります。それが分かれば、散歩中に便を片付けている時に急に砂をかけて砂まみれになったり、シャンプーしてやっとキレイになったと思ったとたん砂の上をゴロゴロされても「しょうがない」と少し気持ちが収まるのではないでしょうか。

犬のしぐさや行動には、実は無意味なものはひとつもないのです。人がおしゃべりするように、犬はしぐさやボディ-ランゲージなどの「犬語」を使いながら自分の気持ちを一生懸命伝えようとしています。自分の気持ちが通じると嬉しいのは、人も犬も同じですよね。私たちも犬のしぐさと気持ちを読み取る努力をすれば、人と犬とのコミュニケーションがもっと豊かになり、犬との暮らしがもっとハッピーになるのではないでしょうか。


◼︎以下の文献を参考に執筆しました。
[1] トゥーリッド・ルーガス. (2009). 『カーミングシグナル by.トゥーリッド・ルーガス』. エー・ディー・サマーズ
[2] リーセヴィベケ・S., & 藤田りか子. (2011). 『ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド』. 誠文堂新光社.
[3] リーセヴィベケ. (2014). 『いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック』. 誠文堂新光社.
[4] 西川文二. (2013). 『しぐさでわかるイヌ語大百科 カーミング・シグナルとボディ・ランゲージでイヌの本音が丸わかり!』. ソフトバンククリエイティブ.

Featured image by Tomislav Pinter / Shutterstock

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