もっと知りたい!犬の気持ち〜ハッピー・シグナルで犬の「うれしい!」を読み取ろう♪

生態・行動
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前回に引き続き、犬のボディー・ランゲージ(身体言語)についてお話します。

前回の記事『もっと知りたい!犬の気持ち〜カーミング・シグナルから犬のホンネを読み取ろう♪』では、ストレスを感じた時に見せる仕草をご紹介しました。今回は一転して、犬たちがハッピーなときに見せる仕草をご紹介しますね♪ トゥーリッド・ルーガス氏がカーミング・シグナルとしてまとめたもののほか、ワンコたちがよく見せる「楽しい!」「しあわせ♡」な表現も集めています。

落ち着く(calming)だけでなく、幸せ気分も表現する

カーミング・シグナル(Calming Signal)とは、ノルウェーのドッグ・トレーナー、ルーガス氏(Turid Rugaas)による犬の仕草の分類で、犬たちがお互いの気持ちを伝え合い、集団生活の中での不要な争いを避けるためのものであることは、前回ご紹介しました。

カーミング(Calming)とは「心を落ち着かせる」という形容詞。シグナルは「合図、信号、意図」なので、カーミングシグナルを素直に訳すと「相手の犬を落ち着かせ、自分自身を落ち着かせる」という意味になります。でも、犬たちの仕草や行動は「落ち着かせる」だけにとどまりませんよね。ルーガス氏の分類によるカーミングシグナルにあっても、嬉しい気持ちや、相手への親愛の情を伝えるものも勿論あるのです。

犬は飼い主さんのことが大好きです。いろんな表情やしぐさを使って、その気持ちを表現しています。嬉しい時、楽しい時、犬はどんなしぐさを使うでしょう。犬たちがハッピーな時に見せるボディーランゲージ(身体言語)もたくさんあるんですよ。

犬のハッピー・シグナル5選

1. 目を細める

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image by InBetweentheBlinks / Shutterstock

眩しい時に目を細めるように、犬が目を細めるしぐさを見せたときは、「私はあなたのこと好きなのよ。だから安心してね。」という意味があります。カーミングシグナルの中の一つで、相手に対して親愛の情を示すボディーランゲージです[2][3]。なかなか気づきにくいしぐさかもしれませんが、犬と目が合ったとき、見つめ合っているとき、ふっと目を細めるしぐさを見せる時がありますよね。その時は犬が「大好きだよ」のメッセージを送っている時だと思います。ただ見つめ合っている時に目をしばしばしばたかせている時は、犬がストレスを感じている時[2][4]なので、視線をそっとはずしてあげて下さい。

2. 前足を伸ばし、お尻をあげる(プレイバウ play-bow)

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image by Taro the Shiba Inu / Flickr

前足を伸ばし、頭を低くしながらお尻をあげるしぐさは、犬が相手を遊びに誘う時に使うしぐさで「プレイバウ」と呼ばれています。これも犬のカーミングシグナルの中の一つです。犬はこのポーズをして「さぁ、遊びを始めよう!」と相手に伝えてから飛びかかり、遊びの最中でも実に上手にこの姿勢を所々で使って、「これは遊びだからね!」というのを伝えています。よく、飼い主さんにに対しても、目があったとき、散歩に行く前、家に帰って犬が出迎えてくれた時、いろいろな場面でこのポーズをしているのを見かけますよね。飼い主に対してのこのしぐさは「おはよう」や「何するの?」といった人間の軽いあいさつのような意味合いが含まれていると思われます。

3. 相手の口を舐める

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image by Ksenia Raykova / Shutterstock

これは子犬の頃に母犬に食べ物をねだるしぐさのなごりと言われています。成犬になってから相手の犬の口を舐める時は、「私、あなたより弱い存在なのよ、いじわるしないでね」と自分を攻撃しないでね、と伝えるために使ったり、「私、あなたのこと好きなのよ。だから安心してね」と相手の犬をなだめるために使われています。

成犬になっても飼い主の口の周りを舐めるのは、「自分は弱い存在なのよ、だからかわいがってね」と相手に訴えている場合や、「大好きだよ!」「私に優しくしてね」「仲良くしてね」という親愛の気持ちの現れのようです。警戒心の強い犬や、相手に気を許していない時には見えないしぐさなので、この仕草を見せる時は、一生懸命「私のこと好きになってね」と伝えているのだと思います。飼い主に依存傾向が強い、甘えん坊の犬によくみられる仕草ですよね。

4. 笑顔をつくる(Smiling)

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image by Victoria Rak / Shutterstock

犬が唇を引き口角をあげて、口がゆるく開いていて、下の犬歯が見え、まるで笑っているような表情に見える時がありますよね。眼もアーモンド形にゆるめられて、尾もあがっているはずです。こんなときは犬がリラックスしている時です。笑顔をみせる相手に対して「楽しいね!」「嬉しいね!」というハッピーな気持ちを伝えているのでしょうね。飼い主さんが思わず写真を撮りたくなるこの表情は、犬がリラックスして、幸せな気分なことを表しているようですよ!

5. へそ天で寝る

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image by Annette Shaff / Shutterstock

その名の通り、お腹を真上に向け、おへそを天に向けて寝ている姿です。この姿勢で眠っている時は安心しきっている証拠です。自分の周りに危ないものは何もないと、飼い主と周りを信頼しきってる時に出る姿勢です[3]。子犬がよく何頭かまとまってへそ天で寝ているのをみかけると思います。子犬は周りの世界に警戒心や恐怖心がないので、この姿勢で眠ることが多いですが、成犬でこの姿勢で寝ているのをみかけたら、飼い主さんとの関係は非常に良好で、犬もとても幸せな状況だと言えるでしょう。


犬のハッピーシグナル、いかがでしたか?よく見かけるしぐさが多かったと思います。犬が一生懸命伝えようとしている「大好きだよ!一緒にいてね」のサインが分かると、もっと犬への愛おしさが増すことと思います。

カーミングシグナルは人間が犬に向けて同じしぐさをしても、犬を安心させることができるしぐさでもあります。人間が犬のプレイバウの姿勢をとることは、ちょっと不自然かもしれませんが、この姿勢をとると、犬はとても喜ぶことが多いのですよ!犬のサインを読み取って、そして犬のサインを上手に使って、犬との関係がもっとハッピーになることを願っています。

◼︎以下の文献を参考に執筆しました。
[1] トゥーリッド・ルーガス. (2009). 『カーミングシグナル by.トゥーリッド・ルーガス』. エー・ディー・サマーズ
[2] リーセヴィベケ・S., & 藤田りか子. (2011). 『ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド』. 誠文堂新光社.
[3] リーセヴィベケ. (2014). 『いぬ語会話帖: 犬の言葉をシンプルに理解するためのフォトブック』. 誠文堂新光社.
[4] 西川文二. (2013). 『しぐさでわかるイヌ語大百科 カーミング・シグナルとボディ・ランゲージでイヌの本音が丸わかり!』. ソフトバンククリエイティブ.

Featured image by Africa Studio / Shutterstock

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