ワンコさんにだって、好きなことがあれば、嫌いなものもあるというもの。
わたしたち人間と同じように、好きなことや嫌いなことは犬によって違うものですが、「一般的に犬が嫌う物事」があるようです。
今日はそうした、ワンコが眉をしかめるような出来事・行動について、まとめてみます。
1. 犬語で話さない〜人間語で怒られてもわからないよ!
人間は、言葉によるコミュニケーションを重視しますよね。そのせいか、犬たちが困った行動をしたときだって、言葉によるお説教をしがちです。犬も人間の言葉を理解しますし(100単語程度とちょっとだけど)、大好きなご主人の「言いたいこと」を一所懸命に推察しようと努力しますが、限界があります。ご主人が怖い顔をして、延々と「∆øåø´…∂ç⭐︎ウンチ¶•–––œç…‘…ß„」と喋ってばかりいたら、犬たちだって嫌になってしまいます。
言葉を使うときには、しっかりハッキリ短い単語を。これに加えて、ボディランゲージやわかりやすい行動をとることで、メッセージを伝えましょう。
2. 抱きつく〜誰?このヒト!馴れ馴れしく抱きついてくるよ!
全く知らない人が、何やら言いながら抱きついてくる。そんな状況に陥ったとしたら、わたしたちでも恐怖で凍りついてしまいそうです。犬だって、大きな違いはありません。介助犬(とりわけ、多くの人たちと接するセラピー・ドッグ)であれば、そうした訓練を経ているのかもしれませんが、家庭犬で性格がおとなしいコにとっては、苦痛を感じることもあるようです。
そもそも犬同士は、抱きしめる(=突然相手の身体を拘束する)という行動はとりません。遠くからの観察にはじまり、匂い(クンクン)や味(ぺろぺろ)を確かめたうえで、時間をかけて相手との距離を縮めるもの。飼い主さんは、愛犬が抱っこを許してくれるからといって、他の人にも安易にそれを許可してはいけませぬぞ。
抱きしめられたときに顔を背ける、緊張から表情が凍りつく、自分の口を舐めるなど、「嫌だよ」のボディランゲージが見て取れるようなら、犬は不快を感じています。人間同士の会話をはじめるなど、犬をそっとしておいてあげましょう。
3. おフロ〜そんなのいらない!お風呂しなくても僕は最高にカッコイイ!
多くの犬はお風呂が嫌いです。でも、仕方がないでしょ。君クサイよ、と言いたい。
4. 犬の頭をなでる〜頭や顔をナデナデされるの、実は好きじゃない!
知らない人が上から手を伸ばしきて、頭を撫でてきた。これは、犬さんに脅威を感じさせる行為です。そもそも犬たちは、頭や顔をナデナデされるより、胸元をナデナデされるほうが嬉しいものです。犬さんから見たときでも、下のほうからアプローチしましょう。
しっかりとした絆ができている飼い主さんと犬であれば、上記には限りません。頭を撫でられテロ〜、目やにを取られてウットリというコもいます。ちなみにウチの犬がそうです。
5. 目をじっと見つめる〜なになに、アタシに敵意ありってこと!?
アイコンタクトで愛犬との絆が深まる、という研究結果が発表されたことはご存知でしょうか。さらに研究を重ねることが必要ではありますが、どうやらイヌとヒトの絆は愛着行動とオキシトシンによって促進されているらしいのです[1]。
とはいえ、それは愛犬と飼い主さんとの話。たとえ愛情をたっぷり湛えていたとしても、知らない犬をじ〜っと見つめるのは、犬に脅威を感じさせる行動です。「うわっ、このヒト、支配タイプ!」と判断され、心地悪さを覚えた犬に目をそらされます。いまいちモテていないな〜と思ったら、「チラ見」で愛情表現してあげましょうね。
6. ルールが決まっていない〜なんども変更されたら分かんなくなるよ!
犬にとっては、「こうなって、こうなったら、こうなる!」と予想がつくことほうが楽であり、嬉しいものです。決まった行動は犬に「できる!」という自信を与え、成長させます。そして、飼い主さんとの絆も深めていきます。もちろん、新しい刺激は必要。でも、基本は「ルーティン行動」の方を犬は好むようです。
「決まりごと」や「家のルール」は、一度決めたら絶対に変更しないほうが良いでしょう。たとえばキッチンに入ってはいけないと決めたら、譲ってはいけません。昨日はOKだったのに今日はダメということでは、犬たちは混乱し、何をしてよいのかわからなくなって怒りや諦めの気持ちを抱かせることになります。
7. 匂い嗅ぎの時間がない〜え?お楽しみの時間なし?
せっかくのお散歩なのに、自由時間が設定されていない!近所の「なかよし」たちの情報を得たいのに、十分な時間を与えてくれない!
わたしたちがテレビやSNSを楽しむように、犬たちはお散歩コースやそこに残された他の犬たちの情報を収集し、「あいつ、元気かな?」などと楽しんでいるものです。お散歩をリードするのはもちろん飼い主さんですが、犬たちにもしばしお楽しみの時間を与えてあげてください。楽しさだけでなく、その地域の安全を確認するなどにより、安心感を得ることにもつながるそうです。
8. 犬をうるさい場所に連れて行く
人間にとっての楽しいイベント、たとえばお祭りや花火大会に出かけるとき、犬を置いていくのは忍びないものです。季節の装いをさせて、一緒にお出かけしたくなる気持ちもよくわかります。
でも、犬たちは、賑やかなところが好きではありません。特に大きな音がする環境は苦手を通り越して恐怖を感じさせることもあります。大きな音がしたときに、犬たちは何がその恐ろしい音を発しているのか理解できず、身の危険を感じてしまいます。
小さな身体ですから、聴覚に悪影響を及ぼすことも懸念されます。人間の可聴周波数範囲は20Hzから2万Hzに比べイヌは40-4万7000Hzはであり、より高音を聞き取ることができ、聞き取り可能な音の大きさについてもヒトより優れています[2]。できるだけ大きな音がすると予想されるところには犬をつれていかないこと、連れていくときには彼らが発するメッセージに十分な注意を払ってくださいね。
[1] 麻布大学獣医学部 伴侶動物学研究室|ヒトとイヌの絆形成に視線とオキシトシンが関与
[2] 猪熊寿. (2001). 『イヌの動物学』. (林良博 & 佐藤英明, Eds.). 東京大学出版会.
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