調査対象の犬の85%に「行動上の問題がある」(米調査)

サイエンス・リサーチ
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最近発表された研究によれば、4,114匹の犬のうち85%に行動上の問題が認識されていることがわかりました。

研究は、米タフツ大学のIan Dinwoodieらによるもので、The Journal of Veterinary Scienceに発表されました。


発表された研究のタイトルは、”Demographics and Comorbidity of Behavior Problems in Dogs”。「イヌの問題行動のデモグラフィックと問題の相互作用」とでも訳したら良いのでしょうか。Demographicsは統計における人種や年齢、居住地域などの背景状況のこと。犬なら犬種や年齢、性別、去勢の状況などを指すと思われます。

Comorbidityは直訳すれば「併存疾患」のこと。同じ人に起こる2つ以上の疾患または病気で、同時または連続して発生することがあり、両方の経過を悪化させうる疾患間の相互作用を意味します。しかしここでは疾患ではなく行動上の問題を扱うので、行動上の問題の間に起こりうる相関関係を確認することで病因について洞察しようとしたものです。

Dinwoodieらは公開オンラインアンケートを利用して、2480人の犬の飼い主から回答を得ています(犬の数は4,114匹)

調査の対象となった”問題行動”は、恐怖/不安、攻撃性、飛びかかり、過度の吠え声、糞食、強迫的行動、家の中での排泄、ハイパーアクティブ、破壊行動、逃走、マウンティングなどが含まれます。

アンケートの回答からは、以下のことがわかりました。

  • 犬のDemographics
    • 純血種およびミックス犬。もっとも多かった犬種はラブラドール・レトリーバーで、ゴールデン・レトリーバー、ジャーマン・シェパードが続く
    • 雄雌の数はほぼ同等
    • ほとんどの犬が去勢・避妊済み
    • 犬の入手先はレスキュー(43%)、ブリーダー(33%)で、最も少なかったのはペットショップ(1%)
  • 飼い主が行動上の問題を報告した割合は85%
  • 性別、去勢・避妊の状態、先祖および血統は行動問題の発生率に顕著な影響を及ぼす
  • 年齢、去勢・避妊の状態、先祖および血統は、イヌ当たりの行動問題の数に顕著な影響を及ぼす
  • レスキューからきた犬は、ブリーダー出身の犬に比べて、行動上の問題がはるかに多かった
  • 去勢・避妊された犬は、されていない犬に比べてほぼ2倍の行動上の問題をを示した
  • 恐怖と不安に基づく問題は、報告されたうちの44%を占め、最も多く報告された行動上の問題であった
  • 攻撃性は、報告されたうちの30%を占め、二番目に多かった
  • 人や他の犬を噛んだことのない犬は(91%)。噛んだ9%のうちのほぼ3分の1(29%)が、一度以上噛んだことがあった
  • 報告された咬傷事例の大部分(92%)は去勢雄犬によるものであり、報告された咬傷全体の52%を占め、また、避妊済みの雌は41%を占めていた。

本研究は犬の出自や環境が行動上の問題に様々に関与しているものを示すものです。研究者らはこれらの知見により獣医師らが行動問題管理の側面を取り入れることに繋がってほしいと述べています。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Dinwoodie, I. R., Dwyer, B., Zottola, V., Gleason, D., & Dodman, N. H. (2019). Demographics and Comorbidity of Behavior Problems in Dogs. Journal of Veterinary Behavior.

Featured image creditMaximilian100/ shutterstock

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