子供は兄弟よりペットが好き?〜ペットとの関係に満足し、葛藤が少ない(研究)

サイエンス・リサーチ
この記事をシェアする

子供達は、兄弟姉妹との関係と比較すると、ペットとの関係により満足し、葛藤が少ないとする研究が発表されました。

人間の健康増進や絆を深めるうえで、ペットがプラスの効果をもたらすと示すエビデンスは増えつつあります。当研究も同様に、ペットが子供の情緒的・社会的発達に好影響を与える可能性を示唆するものです。

犬との関係に大きな満足感

1256 2

とりあえず、あそぶ? image by a liang / Flickr

研究を行ったのは、ケンブリッジ大学とウォルサムペット栄養センター(the Waltham Centre for Pet Nutrition in Leicestershire)の合同研究チーム。家に一匹以上のペットがいて一人以上の子供がいる77家庭を対象に、そこで暮らす12歳の子供に質問する形で行われました。

回答者の大多数は、兄弟姉妹との関係に比べ、ペットとの関係がより強いものであると回答。動物種別で見ると、犬の飼い主の満足度が最も高かったということです。犬と暮らす子供は、その関係に満足し、葛藤レベルが低かったそうです。

男女の別では、先行研究で「男子の方がペットと強い繋がりがある」という結果がありましたが、今回は異なる結果が見られました。研究を率いたカッセル氏(Matthew T Cassels, a Gates Cambridge Scholar at the Department of Psychiatry)によれば、「男女ともに同じようにペットに満足しているが、女の子の方が自己開示を行い、仲間意識を持っており、また男子に比べ対立することも多い」という結果になりました。

聞き上手なペットたち

1256 1

お話、聞かせていただきます! image by Zigger_Dog / Flickr

ペット動物と子供との関係について、これまでに行われた研究はあまり多くはありません。理由の一つに、子供とペットとの関係を測定するための尺度が開発されてこなかったことがあります。今回の研究は、尺度のペットへの適応評価が第一の目的であり、第二にペットと人間との関係の強さを見極めることにありました。

カッセル氏は、「こうした研究は、究極には、ペット動物が子供の発達にどのように寄与するかを理解することにつながる」としています。

長期的な影響については、さらなる研究成果を待たなければなりませんし、そもそも12歳の子供が兄弟姉妹を好きと公に回答するのかという点にも疑問は残ります。しかしそれでも、子供たちがペットとの関係に満足していることは、間違いがなさそうです「ペットは(私たちの伝えたいことを)完全には理解しないし、言葉で返事をするわけでもない。しかし子供たちは、兄弟姉妹にするのと同レベルで自己開示を行っている」

「ペットは理解できない、あるいは返事を返してこないことは、判断や批判をされないと言う意味では利点でさえあるかもしれない」

ただ聞いてくれると存在は、子供達にとっては大きな救いになるのかもしれませんね。もちろん、私たちにとってもね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Rhee, K. (2008). Childhood overweight and the relationship between parent behaviors, parenting style, and family functioning. The ANNALS of the American Academy of Political and Social Science, 615(1), 11-37.
[2] Children prefer their PETS to their siblings | Daily Mail Online

Featured image credit Ben Grey / Flickr

【犬と音楽】ワンコはレゲエがお好き!?〜ストレスレベルを引き下げる効果(研究) | the WOOF

犬もボブ・マーリーを聞くと、ほっこりするらしい。 そんな楽しい研究成果が、スコットランド動物虐待防止協会(SSPCA)とグラスゴー大学より発表されました。レゲエやソフトロックは、犬のストレスレベルを引き下げ穏やかにする効果があるというのです。

the WOOF イヌメディア > すべての記事 > イヌを知る > サイエンス・リサーチ > 子供は兄弟よりペットが好き?〜ペットとの関係に満足し、葛藤が少ない(研究)

暮らしに役立つイヌ情報が満載の「theWOOFニュースレター」を今すぐ無料購読しよう!

もっと見る
ページトップへ