知っておきたい、犬の片脚上げオシッコのお話

生態・行動
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犬のオシッコといえば片脚を上げてピャーっとやるイメージですが、中にはしゃがんで事を為すコもいます。

さらに、片脚上げといえばオス犬のイメージですが、メスでも勇ましく脚を振り上げるコがいます。

犬のオシッコ姿勢の種類

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犬のオシッコの姿勢は思いのほか多く、SpragueとAniskoは論文でこれを12種に分類しています。

この中でもメジャーで且つ重要なオシッコ姿勢といえば、片脚上げとスクワットの2つでしょう。犬のオシッコは性的二型(性の差が原因となって性質が2つに区別できること[2])に由来する行動とされ、一般的にオスは片脚上げ、メスはスクワットが多く観察されています。研究では、保護施設での犬の観察を続けるMcGuireの2015年の研究では、オス犬は確かに後ろ脚を上げる傾向が強いことが統計的に確認されています。

とはいえスクワットはオスにもよく見られます。オスのオシッコ姿勢の二大メジャーといえば、片脚上げとスクワットが2つです。どちらかで事を済ませる犬もいれば、場所によって異なる姿勢を選択する器用な犬もいます(家だとスクワット、外で標的があれば片脚上げなど)。

なお、オスの片脚上げのオシッコの開始の平均は、McGuireによれば約38週齢(22週齢から50週齢と開きがある)で、Borsheltによれば生後20週齢で50%が片脚上げを始めるとのことです。

なぜオスは片脚を上げてオシッコをするのか?

via GIPHY

これには様々な説があり、どれも十分な研究の裏付けはありません。

ひとつの説は、片脚上げは学習された行動で、片脚を上げることで跳ね返りを避けようとしたというものです。なんか単純すぎますし、その理由ならメスも片脚を上げても良さそうな気します。

2つめの説は、脚を上げて高い位置に引っ掛けることで、他の犬の鼻に匂いを届きやすくするというものです。割とよく聞く説ですよね。

そして3つ目の説は、テストテロンの影響だというもので、出生時のホルモン量がこの行動に影響するというのです。去勢するとマーキングや片脚上げが減少することから導き出された仮説ですが、一方で性成熟を迎えた犬の全てが直ちに片脚上げ(あるいはマーキング)を始めるわけではないことから、ホルモンだけでなく社会的成熟も関連しているのではないかとみる向きもあります。

4つ目の説は、他の犬の行動をみて学んだというものです。オス犬が同性の行動から学ぶというのは、なんとなく微笑ましく思えますが…。どうなのでしょうね。

メス犬の片脚上げオシッコ

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image by Chris Goldberg / Flickr

オスが2つのメジャーなオシッコ姿勢を持つのと同様に、メスも2つのメジャーなオシッコ姿勢があります。スクワットと後肢上げスクワットです。

メスの後肢上げスクワットは、オスと同様に垂直の物体にオシッコを引っ掛けるため(高い場所に尿をかけて積極的なコミュニケーションを取ろうとする)だという見方と、単なる排尿のためという見方があります。

McGuire博士は、メス犬の後肢上げスクワットと身体のサイズとに相関関係がある事を発見しました。小さい犬の方が後肢を上げる傾向が強くあり、排尿の回数も多かったそうです。研究者はこの結果をもって、メス犬もコミュニケーションをより良くするために尿を使っている可能性があると述べています。

一方で、メスの脚上げには意味はなく、単なる排泄行為だという見方もあります。オスの排尿は「クンクンからのシャー(嗅いでからシッコ)」というプロセスを経ますが、メスはクンクンしないでシャーすること、そして垂直面に当てようともしないという点からの見方のようです。

どちらの脚を上げるのか?

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犬にも”利き手”があることは、『あなたの犬は右利き?それとも左利き?判定してみよう!』でお伝えしました。オシッコの片脚上げにも”利き脚”がありそうなものですが、どうやら多くの犬は”両脚使い”。どちらの脚の脚をあげるかはフィフティ・フィフティの可能性があるようです。

McGuire博士が2つのシェルターの46匹の犬を観察したところ、右優先は19.6%、左優先は30.4%、どちらも同じように上げるが50.0%だったとのことで、差は明らかではありませんでした[4]。犬たちは上げる脚の好みより、状況により楽で自然な方の脚を上げていることが伺えます。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Twelve Dog Peeing Positions, How Does Your Dog Pee? – DogDiscoveries.com
[2] 性的二型とは – 生物学用語 Weblio辞書
[3] Gough, W., & McGuire, B. (2015). Urinary posture and motor laterality in dogs (Canis lupus familiaris) at two shelters. Applied Animal Behaviour Science, 168, 61-70.
[4] McGuire, B., & Gough, W. (2017). Body size influences urinary posture but not hindlimb laterality in shelter dogs. Journal of Veterinary Behavior: Clinical Applications and Research, 21, 38-44.

Featured image creditChing Louis Liu/ shutterstock

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