「犬が郵便局員に吠える」というお約束の光景は、端から見ている分には微笑ましいものにも思えますが、攻撃される人にとってはたまったものではないようです。
英国の郵政事業者ロイヤルメールはこのたび、「犬の郵便配達人への攻撃は許し難いレベル。飼い主はしっかり犬をコントロールしてほしい」と公式の要請を行いました。
毎日7人の配達人が犬に襲われている
ロイヤルメール(Royal Mail)は、イギリス(連合王国)で郵便事業を営む企業。大株主にイギリス政府を持つロンドン証券取引所に上場している企業です。
多くの配達人を擁し、イギリス国民に郵便物等を届けている同社によれば、昨年一年で犬に襲われた郵便局員は2600人超に上るそう。毎日7人の配達人が襲われているという計算になるようです。イングランド北中部の州都、ノッティンガムシャー州は被害が最も多く、2015年4月からの1年で68人もの配達人が襲われました。
犬に襲われるケースの3分の1以上は家の玄関口で発生しています。昨年の統計では、玄関口での攻撃が36%、家の前の庭での攻撃が35%で、おおよそ1888件ほどに上るとのこと。また、飼い主の監督なく犬が庭に放される夏の時期は、犬から攻撃が10%ほど上昇するのだそうです。
ひどい怪我を負わされる配達人もいる
数え切れないほどの嫌な経験を持つという職員の一人は、地元紙に彼が経験した’最悪な出来事’について語りました。「年配のご婦人がドアを開けたら、そこには巨大なジャーマン・シェパードがいたんです。ご婦人は犬のコントロールができず、私はその犬に3回噛まれました。本当に怖かった。犬を自分から離すこともできませんでした。これ以外に足を噛まれたこともあって、その時は破傷風の注射と傷の縫合が必要になりました」
彼自身は、犬が嫌いなわけではなく、また自分でも犬を飼っているということですが、「それ以降は、自分の犬以外の犬に対して、慎重になっている」そうです。
ロイヤルメール側は、「大半の犬は、いつでもフレンドリーだとわかっています。ですが、どんなに大人しい動物も、縄張りが脅威にさらされていると感じたらそれを守る行動に出るものです」とコメントを発表。大切な郵便物を届ける従業員の安全と幸福を守ることが第一である、として飼い主たちに犬をしっかりコントロールするよう強く要請しています。
犬に訪問者を襲わせないために
最近では、郵便配達人に怪我を負わせた犬の飼い主に約117万円(£8,800)の罰金が科されるケースも発生し、犬のしつけができない飼い主への罰則が厳しくなっている英国。日本でも、犬による咬傷事故では多額の賠償金が発生するケースも登場しています。
誰にとっても不幸な結果を残す、犬による咬傷事故。犬に訪問者を襲わせないように、少なくとも次の4つの事項は心に留めておきましょう。
- 犬を別の部屋に入れるなどして、ドア近くに寄せないこと
- 犬を放した状態で子供にドアを開けさせないこと
- 犬が庭に放しているときでも、配達人と犬直接対峙しないように工夫する(柵を立てるなど)
- 家に攻撃的な犬がいる場合は、ドアを完全に閉めて外で配達人に対応する
普段はどんなに良いコでも、犬は噛むもの、攻撃するもの。いつどんなタイミングで不安や恐怖を感じ、攻撃するのかはわかりません。飼い主は、「このコは絶対に大丈夫」という甘い考えは捨て、しっかりとコントロールできるよう対策を怠らないようにしましょうね。
Featured image credit State Farm / Flickr
犬に襲われた飼い主を救ったのは飼い犬だった!〜ヒーロー犬「キンボ」のお話 | the WOOF
以前、the WOOFで配信した 記事 にあるように、犬に襲われたときはとにかく落ち着くことが重要なのですが・・・。 大型犬に突然襲われたら、有効な対策などないに等しいのかもしれません。 恐ろしい事故が起こったのは、イギリスのコーンウォール(Cornwall)。