お散歩中のワンコに挨拶でもしようか、と近づいたら吠えられた・・・。そんな経験をお持ちの方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
身近な存在であるワンコたち。ですが、犬とわたしたち人間とはコミュニケーション方法に大きな違いがあります。人間が好意や善意からする行為であっても、犬にとっては威嚇と感じたり、迷惑に感じたりということは少なくありません。
犬と人間のコミュニケーションの違いを知ることは、ワンコさんと上手に接するための第一歩。ワンコさんの流儀に従ってご挨拶してみれば、いつも吠えられてしまうアナタでも、スムーズにご挨拶できるかもしれません。
ワンコさんに対するナイスなご挨拶とは
たくさん覚えておくのは大変かもしれません。ゴールデンルールは「飼い主さんの了承を得る」「最初のコンタクトはワンコさんから」という2つです。
この2つを含めてご挨拶のルールを7つにまとめてみました。
1. 飼い主さんに了承を得る
まずはここから。「可愛いですね。ご挨拶しても良いですか」と飼い主さんに一声かけてください。「どうぞどうぞ」とおっしゃる飼い主さんや、「ちょっと怪我しているので」「神経質なコなので」と柔らかくお断りになる飼い主さんもいらっしゃいます。いずれに場合でも多くの飼い主さんは「うちのコに興味をもってもらえた」と嬉しく感じるものです。
2. 飛びつかないで、ゆったりと近づいて
まるでこちらがワンコになったみたいに、ワーっと駆け寄るのはNG。尻尾が下がる、首をすくめる、腰がひける、固まるなどのサインが出ている犬に対しては、リラックスしてゆったりと近づくようにしましょう[1]。低い声で唸る、あるいは吠えるときには、近づかずにそっとしておいてあげるのが吉。
3. 目を合わせずに犬のコトバで「敵じゃないよ」と伝えよう
お散歩中のワンコさんを発見。「お!ワンコさんが来るぞ。かわいいなー」と思っても、ジーッと見つめてはいけません。
「注視(eyeing)」は、狼の一連の捕食行動の初めにたいてい見られるもの
」[2]であるがゆえ、犬種によっては「じっと見られる」ことを威嚇と感じる犬もいるようです。見知らぬワンコさんに対しては、「敵意はありませんよ」という気持ちを表すためにも、正面から注視せず顔を横に向けて瞬きしつつ近づきましょう。
4. 正面から迫らない。犬を怖がらせない
また、正面から近づくのも犬が脅威に感じる行動です。注視を避けるためにも、なるべく横向きにカーブを描きながら近づくのが良いでしょう。これは、犬同士が行うコミュニケーション方法と同じやり方です。もし犬が怖がっているようであれば、むやみに近づくことはやめておきましょう。何度か会ううちに、この人間は大丈夫!と、犬も慣れてくれるものです。
5. 上から見下ろさず、セーフティゾーンを脅かさない
大人になるとあまり経験はないものですが、大きな人を下から見上げると、かなりの威圧感を感じるものです。犬だっておんなじ。できるだけ、正面から見下ろさないように気をつけましょう。そして、なるべく犬のセーフティゾーンを脅かさないことにも注意が必要です。犬が「この人だったらご挨拶したいな」という気持ちになるまで待ってあげましょう。
6. 無理にさわらない。待つことも大事
人間だって、どうしても相性のあわない人がいるのと同じで、どんなにフレンドリーでも苦手だなと思われてしまう人もいます。体をこわばらせるなどの恐怖や緊張をあらわす犬のサインを見逃さず、そんなときには遠くから見守ることや、ニオイ嗅ぎなどをさせてゆっくり待ってあげることも必要です。
7. 小さな交流で満足しよう。過度な接触は必要なし
犬同士のご挨拶は、瞬きを交わしたり、短い時間に身体の匂いを嗅いだりの「小さな交流」です。ベタベタと体を撫であうとか、声を出して挨拶を交わといったことはありません。
人間がご挨拶するときも、初対面の人をぎゅっと抱きしめたり、過度にフレンドリーに接したりすることはありませんよね。ワンコさんのパーソナルスペースを脅かすことなく、初めは小さなご挨拶を交わすところからはじめましょう。
上記にご紹介した方法のほとんどは、”ワンコさんの行動様式”を真似したものです。犬種や個体により行動様式は異なるといわれており、必ずしもすべての犬が注視を威嚇と感じるわけではないものの、”一般的にワンコさんが嫌がるとされる行動”をするのは、避けておいたほうがよさそう。
初対面のときはとくに、あっさりと好意と伝えて「こんにちは」をすること。それがワンコさんに好きになってもらえる、すてきなヒトになる方法ではないかと思います。
ワンコさんが大好きなお散歩の時間。できるだけ邪魔をすることなく、「かわいいな」「お友達になりたいな」を伝えてあげられると嬉しいですよね。ときには見守るだけにとどめることも、立派なご挨拶になることをお忘れなく。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] スタンレー・コレン(2000)『デキのいい犬、わるい犬―あなたの犬の偏差値は?』文春文庫p165-171
[2] アダム・ミクロシ(2014)『イヌの動物行動学: 行動、進化、認知』東海大学出版部p.184-186
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普段何気なく見ている犬の仕草には、犬たちのいろいろな気持ちが隠れています。 犬は、ボディーランゲージ(身体言語)を使って他の犬に気持ちを伝えています。同様に、飼い主である人間にも、肉体の動作を利用して、自分たちの気持ちを伝えていると言われています。