犬たちは本当にペロペロが大好き!「遊んでよん」の時も、「大好き大好き♡」ってときも、とにかくペロリ。少しくすぐったいけれど、ワンコの愛情が伝わってくるようで、嬉しい気持ちになるのが飼い主心理というものですよね。
愛情いっぱいの”ワンコのキス”。でも、あなたのお口へのペロリを許すのは、やっぱり問題があるようです。
犬の口に潜むバクテリアは、人間のそれとは異なる
身の回りにいるバクテリアは、家の中ならコレ、人間の体ならアレ、というように定まったものではなく、環境によって異なるものになるだそう。ライフスタイルや食事などの影響を受け、人によって犬によって家によって、異なる組み合わせのバクテリア軍団がいるということになるのです。
だから、生活空間をともにする愛犬とあなたは、シェアしているバクテリアが少なくはないのだとか[1]。ソファだけでなく、バクテリアだってシェアする仲良し家族ということでしょうか。でも、共通バクテリアを有しているという話は、あくまでも他の犬と比べた場合のこと。基本的には、犬と人の体には異なるバクテリアがいるのです。Dnewsが伝えるところでは、人間と犬の口の中に存在するバクテリアで共通するものは凡そ16%。たったのそれだけ、という数字ですよね。
犬の歯周病になっちゃうかも!
もっとひどい事態を招くかもしれません。犬たちは、歯周病原細菌(Porphyromonas gulae)を持っています。これは、犬の歯周病の主な病原体であり、人から検出されることは極めて少ないそうです。ただしゼロではありません。ヒトに感染することもあるからです。もしあなたがベロベロを許すのであれば、”犬の”歯周病になってしまう恐れは否定できず、歯茎が腫れ上がったり、最悪のケースでは歯を失うこともあるそうです。
傷口を舐めさせちゃ、絶対ダメ
パスツレラ菌とは、多くの哺乳動物の常在菌として存在するもので、ネコの口腔内には約100%、イヌでは約75%と他の人畜(獣)共通感染症と比較にならない程高率に常在しているものです。傷ができたところが腫れ上がったり、呼吸器系に問題が生じたり、様々な症例が報告されています。千葉獣医師会は、口移し等の過剰な接触を行わないこと、動物からの受傷に気をつけることにより防止できますとしており、熱いキスなどへの注意喚起を促しています。
そうはいっても大好きワンコからの愛情を拒否し続けるのも寂しいもの。接触によるリスクについて学んでおくことで、不意のペロリにも優しく対応いたしましょう。人間にとって危険なら、犬にとっても危険なもの。そう考えると、より適切に行動ができそうですよね!
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Song, S. J., Lauber, C., Costello, E. K., Lozupone, C. A., Humphrey, G., Berg-Lyons, D., … & Gordon, J. I. (2013). Cohabiting family members share microbiota with one another and with their dogs. Elife, 2, e00458.
[2] Oh, C., Lee, K., Cheong, Y., Lee, S. W., Park, S. Y., Song, C. S., … & Lee, J. B. (2015). Comparison of the Oral Microbiomes of Canines and Their Owners Using Next-Generation Sequencing. PloS one, 10(7), e0131468.
[3] 感染症トピックス:「パスツレラ症」の日本の現状認識に違いがあった!?|人と動物の共通感染症研究会
Featured image from Rita Kochmarjova / Shutterstock
ワンコのキスは危険な香り〜病気をうつされないように知っておきたい動物由来感染症のこと | the WOOF
動物由来感染症とは、動物から人に感染する病気の総称です(厚生労働省)。日本では「人獣共通感染症」や「人と動物の共通感染症」という言葉が使われることもあるようですが、厚生労働省では人の健康問題という視点に立って「動物由来感染症」という言葉を使っているとのことです。