短時間のドッグセラピーでも人のストレスは減らせる(研究)

サイエンス・リサーチ
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北米の大学では、ストレスを感じる学生向けセラピー犬セッションの人気が高まっています。非常に楽しそうな犬のセラピーは、どうやら本当に効果を発揮しているようなのです。

ブリティッシュ・コロンビア大学の研究チームは、犬と1対1の時間を持つことが、学生の健康増進に貢献するという研究[3]を発表しました。

セラピードッグが闊歩する北米の大学

米大学で活躍するセラピードッグたち』という記事を配信したのは、2015年6月のこと。そのときはある種の仰天ニュースとして配信したのですが、ここ数年の間に多くの大学が導入する”楽しくて効果のある施策”として受け入れられるようになった印象です。

UCバークレー、コロンビア、エモリー大学から、地域密着型のカレッジまで、セラピードッグのプログラムは広がり続けています[1]。プログラムの多くは、大学と協力関係のある非営利団体に所属するセラピードッグが、大学側の指定する場所を訪れるという形で行われます。犬たちは、部屋で学生たちとじゃれ合うこともありますが、時間を決めて外に散歩に出ることもあります。年間を通じて大学に通う犬もいれば、試験期間中や夏休み明け(ホームシックになる学生に対応)といった特定の期間を大学で過ごす犬もいます。

ダルハウジー大学(ノバスコシア)の学生生活担当職員は、毛むくじゃらの援軍たちの存在は、学生が試験期間中のストレスに対処するためにおおいに役に立っていると述べています。「メンタルヘルスは、私たちが大学で対処しようとしている非常に深刻な問題です。(犬たちのセッションは)非常に楽しく、しかも安価な方法です」

ナデナデしてストレスを吹っ飛ばす

大学でセラピードッグの人気が高まるをみせる一方、訪問型で一回限りのセラピーセッションが、学生たちのストレス緩和にどの程度貢献しているかについての研究はほとんどありません。これを明らかにしようとしたのが今回の研究で、研究者らは訪問型のセラピードッグセッションを利用した学生を対象に質問紙調査を行いました。

調査対象となったのは、セッションを利用した246人の学生です。学生らはセッションの時間中に、犬に触ったりハグしたりが自由にできますし、お話をすることもできます。質問紙による調査はセッションの直前と直後、そして10時間後にも行われ、分析ではセッションを利用しなかった学生(コントロール群)との比較も実施されました。

「目をみはるような結果となりました」とコメントしたのは、共同執筆者に名を連ねるスタンリー・コレン名誉教授。参加学生はコントロール群と比較して、セッション直後にストレスの大幅な減少と、幸福感やエネルギーの増加を報告したそうです。それだけでなく、10時間後におこなった調査でも、参加学生は負の感情やストレスが少なく、支援されているという感情が多く報告されました。

この結果を受けて研究者は、「セラピードッグのセッションは、特にストレスや負の感情を減らすという点で、大学生の健康にプラスの効果をもたらすことがわかりました」とコメントしています。「これらのセッションが、短時間で学生に利益をもたらすことは明らかです。大学は、試験期間などの特にストレスの多い時期に(セッションの)スケジュールを立てるように検討すべきと考えます」

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Therapy dogs help students across the country survive finals – CNN
[2] “Puppy Rooms” to help stressed-out college students – Dogtime
[3] Ward‐Griffin, E., Klaiber, P., Collins, H. K., Owens, R. L., Coren, S., & Chen, F. S. (2018). Petting away pre‐exam stress: The effect of therapy dog sessions on student well‐being. Stress and Health.
[4] Sit, stay, heal: Study finds therapy dogs help stressed university students — ScienceDaily

Featured image creditLuzelle Cockburn/ unsplash

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