犬はオヤツより褒められる方が嬉しい〜フードは犬の心を掴む決め手ではない(米研究)
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「やっぱりそうか!」「信じられない…」という両方の意見が聞こえてきそう。米エモリー大学(Emory University)の研究者たちは、犬が食べ物よりも褒められることを好むとする研究結果を発表しました[1]。
15匹の犬の脳は、褒められると大きく反応した
この実験は、犬が人間とどのくらい社会的つながりを結ぶことができているのか、そしてそのつながりに食べ物以上の価値を見出しているのかを理解するために行われたものです。
研究者たちは、fMRI(ヒト及び動物の脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法の一つ[2])を使って、15匹の犬の反応を確認しました。
犬たちは、fMRIに自発的に入ること、そしてモニターしている間はじっと動かずにいるように訓練されています。
最初に行われた実験は、研究者が犬に対象となる物体(おもちゃの車、おもちゃの馬、ヘアブラシ)を見せ、対象ごとに与える褒賞を変えるというものでした。おもちゃのナイトを見せている間は、飼い主が犬を言葉で褒め続けます。おもちゃのトラックの時は、人間の姿を見せずにホットドックを一切れを与えます。そしてヘアブラシの時は、褒賞はなし、というものです。
32回の実験の結果、13匹の犬の脳は、食べ物と同程度に、またはそれ以上に飼い主から褒められた時に強い反応を見せたそうです。13匹のうち4匹は飼い主からの褒め言葉に強く反応し、9匹はフードと褒め言葉で同じ程度反応しました。そして残りの2匹は、一貫して食べ物に強く反応したそうです。
すべての犬は、褒賞ナシより褒賞アリの時に脳内に強い反応が見られたそうです。
犬たちは、迷路の先にある食べ物より飼い主を選んだ
二回目に行われた実験は、Y型の迷路を使うものです。2つに分かれた道の片端には飼い主が、もう一つの端にはフードボウルが、犬を待ち受けます。飼い主の方を選んだ犬には、もちろん”褒め言葉”が待っています。
4回のウォームアップの後に行われた本実験では、ほとんどの犬が飼い主の方に向かったそうです。しかし、初めの実験で食べ物を選んだ犬は、ここでも一貫してフードボウルへ続く道を選んだのだとか。
「1回目と2回目の結果に関連性が見出された」と、エモリー大学のドッグプロジェクトの長である神経科学者のバーンズ博士(Gregory Berns)。「ほとんどの犬は、食べ物と飼い主の間を行きつ戻りつするが、褒められた時に強い神経反応を見せる犬は80%から90%は飼い主の元へ向かう。このことは、犬にとって社会的報酬や褒賞がいかに大切かを示している」
研究者たちは、犬の脳の働きから更なる発見をしたいと実験を続けています。現在行われているのは、犬が人間の言葉をどのように理解するのかというテーマだそうです。
研究者たちは、こうした研究は犬の適性を見るために役に立つのではないかと述べています。社会的な褒賞を好む犬は、セラピードッグや介助犬として活躍だろうし、食べ物を好む犬は捜索や探索で力を発揮するだろうというわけです。
さて、嬉しい結果になったこの実験。食べ物よりも飼い主の魅力が勝ると言い切ることはできませんが、「褒めること」が大事であることは言い切っても差し支えないようです。
さてはて。このニュースで最も気になることといえば、実は「どの犬が食べ物を好んだのか?」という点ではないでしょうか。実は犬種も名前も判明しています。
食いしん坊犬に認定されてしまったのは、テリアのミックスであるオジー(Ozzie)。100%の確率で食べ物を選んだ強者です。バーンズ博士によれば「少し一匹狼っぽいところがある」オジー。飼い主さんはさぞかしガッカリだろうと思いきや「オジーのことはわかっている。それでも彼のことを愛している」と語ったそうです[3]。ちょっぴり泣けますね。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Cook, P. F., Prichard, A., Spivak, M., & Berns, G. S. (2016). Awake Canine fMRI Predicts Dogs’ Preference for Praise Versus Food. Social Cognitive and Affective Neuroscience, nsw102.
fMRI – Wikipedia
[3] A dog’s dilemma: Do canines prefer praise or food?
Featured image credit Angelica / Flickr
わかってますよ!あなたのお顔〜人間の顔を見たとき、犬の脳はどう働くか(研究) | the WOOF
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