梅雨のジメジメした時期を過ぎると、日本列島も本格的な「サマー♡」に突入です。
暑い!すごく暑いよ。でも、ず〜っと家に閉じ込めていたワンコさんにお詫びをしようと、お外に連れ出したくなってしまう飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
熱中症ってなんですか?
「熱中症に注意しましょう」ーこの言葉はよく聞くものの、そういえば熱中症ってなんだっけというアナタのために、もう一度復習しておきましょう。
熱中症とは、高温環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称で、死に至る可能性のある病態です[1]。
イヌはヒトと同じく恒温動物で、生命を維持するために臓器や酵素が機能する最適な温度があります。イヌの場合、通常は38.0-39.5度がその体温(直腸温)です。イヌにも体温を調整する機能が備わっており、異常な体温上昇を抑えてはいるものの、身体で熱の算出と放散のバランスが崩れてしまうとどんどん身体に熱が溜まり、体温が著しく上昇してしまうのです。この状態が熱中症です。
イヌの体温が41度を超えると、臓器に悪影響を及ぼすことがあり、最悪の場合死に至ることもあります。
イヌは体温調節が苦手なの
ご存知のとおりヒトの重要な熱放散機能は発汗による蒸散です。一方、イヌは蒸発熱放散に重要なアポクリン汗腺の発達が悪く、汗腺機能が低く汗では十分に冷却ができません。
これを補うために浅速呼吸(パンティング)をして身体から熱を逃がします。なんでもイヌの呼吸中枢は身体の核心温度に対しても反応するのだそうで、ハアハアとたくさん呼吸をすることで、水分を蒸発させ身体を冷やすという仕組みなんですね[2]。
それでも、全身の汗腺から汗を出している私たちと比べると、やっぱり身体に熱を溜めやすいんですよね。うーむ、つらそうです。
熱中症を引き起こす要因3つ
「去年はこのくらいの気温でクーラーは入れなかった」などの「過去の経験」を基準に判断するのは危険です。
熱中症を引き起こすのは、①環境(気温が高い、日差しが強い)、②からだ(幼犬、シニア、栄養状態が悪いなど)、③行動(屋外での運動、水が補給できない)の3つ。環境が同じだからといって、ワンコの状態は去年とは異なりますし、急に暑くなった日などは身体が暑さに対応できません。
必ず「いまのワンコさんの様子」に注意を払い、予防に努めましょう。以下の様子がみられたら、完全に危険領域に入っています。迷わず動物病院に直行です。
- ぐったりしている
- 呼吸が異常に荒い
- 大量のヨダレ
- 明らかに脈拍・心拍数が増加している
- 足取りがおぼつかない
体温が41度を超えるとか、症状が現れてから2〜3時間が経過してしまうと完全な回復は難しいというほど、熱中症は恐ろしい病態です。どんなこともそうですが、「そうならないように準備をしておく」ことが大切ですよね。
夏のハァハァには、本当に注意が必要ですよ!
[1] 熱中症環境保健マニュアル 熱中症とは何か|環境省
[2] 猪熊寿. (2001). 『イヌの動物学』. (林良博 & 佐藤英明, Eds.). 東京大学出版会. Retrieved from http://www.utp.or.jp/bd/4-13-074013-X.html
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