小さい犬は高い位置に排尿し、自分を大きくみせようとする(研究)

サイエンス・リサーチ
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小さな犬は、より高い場所に排尿することで自分を大きく見せようとするそうです。

コーネル大学の研究者は、小型犬が大型犬に比べてより頻繁に、そして垂直の物体に向かって排尿することを発見しました。

匂いマーキングは”正直シグナル”?

においづけ(匂いによるマーキング、Scent marking)は、哺乳類における共通のコミュニケーション方法です。マーキングは、送り手(匂いをつける動物)のサイズや競争力についての情報を伝達するものであり、しかもその属性を正確に反映すると考えられています。このため、においづけは「正直シグナル(honest signal)」と呼ばれることもあります。

しかし今回発表された研究によれば、ある種の状況においては、マーキングの情報は不正確である可能性があるそうです。

研究者は、2つの実験を通じて、オスの家庭犬による尿マーキングが、「不正直シグナル(dishonest signal)」であるという仮説を検証しました。

小型犬の匂いマーキングは”フェイクニュース”

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image by Therese Banström / Flickr

研究は、小型犬15匹と大型犬45匹を対象に、尿マーキング行動および泌尿器をビデオ撮影して行われました。

研究では、犬の排尿中の股関節の角度が測定され、小型犬と大型犬で仰角に違いがあるか、尿の高さと仰角との間に関係はあるのかなどが分析されました。仰角とは、水平からその角度分だけ上に向いた角度のことで、ここでは、実際の股関節の角度と、脚を地面と水平にあげたときの股関節の角度の差と考えてください。

結果、「仰角と尿マーキングの高さ」および「身体の大きさ(体重または体高)と尿マーキングの高さ」について、正の関係があることがわかりました。すなわち、小さい犬は大きな犬よりも、排尿時に高く脚をあげているということです。「小さな犬は、脚を高くあげるための余分な努力をしていました。転倒しかかった小型犬もいました」

小さな犬は、なぜこんな余計な努力をしなければならないのでしょう。論文によれば「身体の大きさが競争力の代理変数だと仮定すると、小型のオスの成犬は、競争力を誇示するために、大型犬より高い位置に尿マーキングをするのかもしれない」とのこと。小型犬もなかなか大変です。

ただしこれは、見栄やカッコつけのためだけの行為ではないようです。「他の犬との直接的な社会的インタラクションは、小さな犬にはとりわけ危険です。実際には大きな犬に対抗することができないので、小型犬はこの方法で、大きな存在感をバーチャルに見せつける方法を確立したのかもしれません」

今回の研究では分析されませんでしたが、小型犬が大型犬と比べて頻繁に尿マーキングを行うのも、同じ理由があるのかもしれないと研究者はコメントしています。小型犬は頻度高くピュッピュすることで、強い犬としてのプレゼンスを確立しようとしているのかもしれませんね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] McGuire, B., Olsen, B., Bemis, K. E., & Orantes, D. Urine marking in male domestic dogs: honest or dishonest?. Journal of Zoology.
[2] Small dogs urinate higher up lamp posts to make themselves seem bigger | New Scientist

Featured image crediterrorfoto/ shutterstock

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