「シェルターなどに保護される犬猫が減らない」「保護犬猫のイメージが良くならない」「活動が思いの外広がらない」
動物愛護を訴える人たちの悩みは、多くの国で共有されるもの。保護活動を行う人たちは、日々手応えを感じたりガッカリしたりを繰り返しつつ、懸命に「できること」を積み重ねています。
NYにあるDan’s Dog Walking and Pet Sittingの面々も、一向に減らない保護犬の数に心を痛めていました。米国では、毎年約390万頭の犬が行き場をなくし、施設などに保護されている。そしてそうした状況は、人々の関心を十分に引きつけていない…。そう考えた彼らは、Tennis Ball for Everythingというプロジェクトに着手します。ユニークな動画を作成し、これを閲覧者に広めてもらうことで、地域のシェルターの活動に貢献し、同時に「里親になるのは素晴らしい」「犬との時間を大切にしよう」という意識を高めこうとしたのです。
動画の中心は、「テニスボール一杯のプールに2匹の保護犬をご招待した」という内容。2匹のゴールデン・レトリバーは、満面の笑みで夢のプールを楽しみます。閲覧者には（1）幸せいっぱいの動画をシェアすること、（2）応援したい保護施設等をタグ付けすること、（3）寄付をすること、が求められます。（2）のタグ付けは「素晴らしい保護施設を推薦する」という意味であり、推薦された施設にはDan’s Dog Walking and Pet Sittingからテニスボール一袋が贈られます。テニスボールには「新しい家族とたくさん楽しい時間を過ごして欲しい」という気持ちが込められているそうです。
実はこの「テニスボールで気持ちをつないでいく」という活動は、一人の愛犬家が始めたものでした。彼の名はChris Sontag-Ratti氏。2014年にEverythingという名の犬を亡くした彼は、2年後の2016年、Everythingを偲んで飼い主にテニスボールを送ることを決意します。インスタグラムを利用することを思い立ち、2016年1月、「先週、100個のテニスボールを買いました。欲しい人にテニスボールを送ろうと思います。このボールを受け取った人が、友人たちと素晴らしい時間を過ごすことを願っています」と投稿しました。
小さな投稿は大きな注目を集め、Sontag-Ratti氏は世界中からメールを受け取ることとなりました。オーストラリア、アイルランド、そして日本。本当に全世界からメールが届き、発送費用が賄えないほどになったそう。金銭的に苦しくなった個人プロジェクトを引き継ぐ形になったのが、Dan’s Dog Walking and Pet Sittingだったのでした。
ご本家であるSontag-Ratti氏には連絡及び了承済み。テニスボールの数は4000個、3つのGoProのカメラとドローンを使ってSNSを駆使するなど、パワーアップしたプロジェクトは、abcニュースなどのメディアの注目も集めています。
動画には、撮影を終えたチームのその後も映しだされています。4000個のテニスボールに溺れて仕事をする面々ですが、このプロジェクトが拡大するにつれ、オフィス内のテニスボールは減り犬の笑顔が増えるのでしょうね。ご本家Sontag-Ratti氏のInstagramアカウントには、テニスボールを受け取ったワンコたちの写真がたくさん掲載されています。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Dan’s Dog Walking and Pet Sitting
[2] Tennis Balls for Everything — Dan’s Dog Walking and Pet Sitting
[3] Man Sends Tennis Balls to Strangers in Tribute to His Dog Best Friend – ABC News
Featured image credit Tennis Balls For Everything -Dan’s Dog Walking and Pet Sitting / YouTube
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