犬にはあなたが悲しい時がわかる。そして肉球を差し出してくれる(研究)
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最近発表された研究によれば、犬はあなたが動揺したとき、あるいは悲しいと感じているときに、あなたのことを助けたいと思っているそうです。
先行研究では、犬は人間の泣き声に反応することや、苦しみの兆候を見せる人(所有者でも全くの見知らぬ人でもかわりなく)に近づくことが示されていました。これらの結果は、犬にも感情の伝染がおこる可能性を示唆するものですが、犬がさらに一歩すすんで人を助けるための行動をとるのかは、明らかにされてはいませんでした。
犬は泣いている人を慰めるのか? | the WOOF イヌメディア
しかし、私たち犬の飼い主は知っています。彼らが救いの肉球を差し伸べてくれているということを!だって泣いていれば慰めにくるし、何か作業していれば何かと手を出してきますもの。飼い主にはわかりきったことですが、研究者はこれを正式な手順を踏んで、実験により探求しました。
実験には34匹のペットの犬とセラピードッグ、および彼らの飼い主が参加しました。参加犬は、ゴールデン・レトリバーやラブラドール、シー・ズーやパグ、年齢の高いセラピードッグもいれば、若いミックス犬まで様々でした。
参加犬は心拍モニターを着用し、飼い主はアンケートに答えるなどして準備は完了。実験室へ移動します。
実験室の設定は、ラットで行った同様の研究セッティングをアレンジしたものです(動画を参照してください)。飼い主と犬は透明なドアで隔てられますが、犬は飼い主の姿を見ることができますし、声を聞くこともできます。また、このドアは磁石でくっついているだけで押すと開けることができます。
飼い主の半分は、15秒ごとに苦痛を伴う大声で「Help」と言うように、残りの半分は「Twinkle、Twinkle、Little Star」をハミングし15秒ごとに静かな声で「Help」と言うよう指示されました。テストは、犬がドアを開けたところで終了しますが、開けない場合は5分経過で終了となりました。
飼い主が大声で助けを求めるケースでも、ハミングしているケースでは、ドアを開ける犬の数には大きな違いはみられませんでした。どちらにおいても約半数の犬がドアを開けたのです。
一方、ドアを開けるスピードにおいては明らかな差が出ました。大声をあげたときは、犬は平均23秒でドアを開け、ハミングの場合は1分以上かかったのです。人間の泣き声が犬の行動になんらかの影響を与えている可能性はありそうです。このとき、セラピードッグとペットの犬では、スピードにおいて特に違いはみられませんでした。
ストレス反応にも違いがありました。大声をあげたときにドアを開けた犬では、開けなかった犬に比べてストレスの兆候が少なかったそうです。さらに、ドアをいち早く開けられた犬は、長い時間を要した犬に比べて、ストレスが少ないこともわかりました。
さて、私たちが誰かを助けようとする場合、相手との絆の強さと行動の間には関係がありますよね。たとえば一般的には、自分の子供であればすぐに救いの手をさし伸べますが、見知らぬ人であれば少し考えてしまうかもしれません。この研究においても犬と飼い主の結びつきは、犬の行動になんらかの影響を与えていそうです。そこで研究者らは、飼い主と犬の結びつきの強さをはかるための別のテストを実施しました。瓶の中に入ったオヤツを取り出すという難しいチャレンジで、このときに飼い主を注視する犬は、飼い主と強い結びつきをもつ可能性があるのです。
研究者らは両方の結果を概観し、大声をあげたケースでドアを開けた犬は、開けなかった犬よりも飼い主を注視する傾向があることが発見しました。一方、さらに長く飼い主を注視したのは、ハミングのケースでドアを開けなかった犬でした。飼い主との絆が強い犬は、大声をあげる飼い主に近づこうとドアを開けるか、ハミング状態でドアを開けないかのどちらかということになります。
研究者はこう解釈しています。
- 犬は泣いている飼い主の感情に反応し、行動する
- つまり犬は、他の人の苦痛に気づき行動することができる
- しかし圧倒的なストレスに晒されると無力化され、状況を放置することがある
- (子供と同じように)自分自身のストレス反応を抑え、十分に落ち着いた犬は行動できるが、圧倒された犬は何もしない可能性がある
筆頭著者であるEmily M. Sanford氏はこの研究が、「うちの犬は私のことを助けてくれてる」という飼い主の”思い込み”が、思い込みでないことを裏付ける証拠のひとつになると考えています。「犬はラッシーのように、困っている人を助ける行動にでるかもしれません」
愛犬はラッシーのように、困っているあなたを救いにきてくれるかもしれませんが、もしそうでなかったとしても、がっかりすることはありません。もしかしたらあなたを愛しすぎて、何もできなくなっているのかもしれないのです。
ちなみに論文のタイトル”Timmy’s in the Well: Empathy and Prosocial Helping in Dogs.”は、ラッシーに敬意を表してつけられたもの。ティミーはラッシーの親友の名前です。おしゃれ。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Sanford, E. M. (2017). Timmy’s in the Well: Empathy and Prosocial Helping in Dogs.
[2] Lending a helping paw: Dogs will aid their crying human
Featured image creditGladskikh Tatiana/ shutterstock
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