若いオス犬は交通事故にあうリスクが高い(研究)

サイエンス・リサーチ
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イギリスで行われた研究によれば、オス犬はメスに比べて交通事故に遭うリスクが40%高いそうです。

ロイヤル・ヴェテリナリー・カレッジの研究者らは、2009年から2014年に発生した道路上での衝突事故(RTC:a road traffic collision)について調査を行い、1000匹のうち4匹が事故に遭い、うち1/4が死亡していると発表しました。

英国在住の若いオス犬、衝突事故に遭う確率が高い

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image by Christopher Woo / Flickr

調査の母集団となったのは、イギリスでプライマリーケアを行う115の動物病院に記録が残る199,464匹の犬。道路上での衝突事故が原因で運び込まれたのは0.41%でした。

衝突事故にあった犬のうち615匹(74.9%)は純血種で、322匹(39.2%)がメス、平均年齢は2.5歳でした。

論文には「他の要因を考慮した後でも、若い犬は衝突事故に遭う確率が高い」との記載があるように、14歳の犬と比較した場合、3歳未満で2.9倍、6-9歳で1.8倍、衝突事故に遭う確率が高いことが示されました。

衝突事故にあった犬の22.9%が死亡しており、入院した犬は46%。行われた治療等の内訳は、鎮痛剤の投与が71.1、画像診断が34%、静脈内輸液療法が29.4%で、15.6%は全身麻酔下で手術を受けました。

研究者の一人であるDan O’Neill氏は、「事故にあった犬の1/4が命を落としているという事実は、飼い主に道路近くでは特に注意すべきということを伝える上で、非常に効果的な材料だ」と述べています。

日本でも若い犬は注意が必要

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image by Patti Abbott / Flickr

アメリカで行われた研究でも、もっとも多く事故にあったのは若いオス犬でした。事故にあった犬の死亡率は、1975年の研究では約12.5%、2017年の研究では16.8%でした。

外出時のリード着用が義務付けられている日本では、交通事故にあう割合は非常に低く、2012年に発表されたアニコム損害保険株式会社の調査(有効回答数 2,329)でも1.2%となっています。

英米と日本は、飼育環境に大きな隔たりがある…のですが、これらの統計調査からも明らかな「若い犬から目を離すのは本当に危険」という点は、日本在住ワンコでも全く変わりません。好奇心が強いヤングな犬は、飼い主の隙をついて冒険の旅に出ようとしたり、我を忘れて鳥さんを追いかけたりするものです。トレーニングが十分でないヤングな犬だと、外に出た興奮でコマンドなど耳に入らず、猛ダッシュして帰ってこない!なんてこともあるかもしれません。


若さは常に危険と隣り合わせ。走る車に「コンニチハ」をしないよう、リードやケージの確認は頻繁に行い、「止まれ」などのコマンドを徹底しておきましょう。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Harris, G. L., Brodbelt, D., Church, D., Humm, K., McGreevy, P. D., Thomson, P. C., & O’Neill, D. (2018). Epidemiology, clinical management, and outcomes of dogs involved in road traffic accidents in the United Kingdom (2009–2014). Journal of Veterinary Emergency and Critical Care.
[2] Kolata, R. J., & Johnston, D. E. (1975). Motor vehicle accidents in urban dogs: a study of 600 cases. Journal of the American Veterinary Medical Association, 167(10), 938-941.
[3] Klainbart, S., Bibring, U., Strich, D., Chai, O., Bdolah-Abram, T., Aroch, I., & Kelmer, E. (2017). Retrospective evaluation of 140 dogs involved in road traffic accidents. The Veterinary record.

Featured image creditAwirut Somsanguan/ shutterstock

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