前回に引き続き、関節炎についてのお話です。
今回は、ワンコの変形性関節炎に効果があると実証された“Connectin”というサプリメントについてご紹介させていただきます。
変形性関節炎サプリメント“Connectin”
変形性関節炎に効果的なサプリメントはたくさんありますが、ここでは”Connectin”に絞ってお話しさせていただきます。この実験結果について、アメリカの統合獣医ケアジャーナルで紹介されました。
“Connectin”は、In Clover社が開発した犬・猫・馬の変形性関節炎用サプリメントで、貝などから抽出した天然グルコサミンと豚由来性天然コンドロイチンと天然ヒアルロン酸のほか、アルファルファ抽出液、ツノゴマ抽出液など何種類もの天然ハーブのフィトケミカルから作られています。
“Connectin”は、関節軟骨や関節液の主成分であるプロテオグリカンを生成するコンドロイチンやヒアルロン酸を供給するだけでなく、罹患関節の血液循環を向上し、炎症を低下させ、フリーラジカルの酸化ダメージから保護する効果もあり、関節軟骨の修復を促して関節炎を改善すると考えられています。
“Connectin”は3種類。ワンコの好みに合わせて、ポーク味の錠剤タイプ、チキン味のソフトチュアブルタイプ、ポーク味のパウダータイプから選ぶことができます。
変形性関節炎に効果的なサプリメント
統合獣医ケアジャーナルで紹介された実験では、変形性関節炎に罹患した46頭のワンコを対象に、“Connectin”の効果を検証しています。
46頭のうち、22頭には“Connectin”を8週間毎日投与し、残る24頭を対照グループとして症状の改善程度を比較しました。また、“Connectin”の副作用を調査するため、血液検査や身体検査も同時に行っています。“Connectin”を投与したグループでは、関節炎に罹患した肢に徐々に体重をかけられるようになり、跛行は良化していきました。
どの程度の違いがあったかというと、対照グループの跛行程度は、実験から56日後にもあまり変わりませんでしたが、“Connectin”グループでは、実験28日後から跛行の程度は半減しました。患肢に対する体重負荷の程度については、対照グループでは実験開始時から56日後までに、体重負荷レベル(正常な状態は0、体重負荷が不可能な状態を100とした数値)は50から10まで低下し、ある程度の良化がみられましたが、“Connectin”グループでは、体重負荷レベルは約92からおおよそ0まで低下し、劇的な良化がみられました。血液検査では、肝臓と腎臓の機能をチェックしましたが、何の異常もみられませんでした。
この実験結果から、“Connectin”はワンコの変形性関節炎にとても効果的な、副作用のない、サプリメントと考えられます。
他のサプリメントとの効果の違い
では、グルコサミンやコンドロイチン硫酸のサプリメントと“Connectin”の効果はどのように違うのでしょうか?グルコサミン・コンドロイチン硫酸サプリメントの変形性関節炎に対する効果は実証されています。ただ、関節に炎症がある状態、もしくはフリーラジカルによる酸化が起きている状態では、このようなサプリメントだけを供給しても、病状を完全に改善させることは難しいと考えられています。
一方、“Connectin”は、まずは関節の炎症とフリーラジカルを抑え、関節軟骨や関節液の成分となるコンドロイチン硫酸などを供給するため、変形性関節炎はより改善されると考えられます。
変形性関節炎をマネージメントするには、抗炎症薬、サプリメント、理学療法や代替療法など、いろいろな治療を組み合わせることが必要だと思います。
サプリメントによる効果は、薬のように投与してすぐにみられることはあまりありません。たとえば、グルコサミン・コンドロイチン硫酸による効果がみられるには、通常4週間から6週間かかるといわれています(製品により異なります)。 “Connectin”は、通常15日で効果がみられるとうたわれていますが、実験で顕著な効果がみられたのは28日以降でした。サプリメントの効果を判断するには、製品により異なりますが、最低1~2ヶ月は試したほうがよいかもしれませんね。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Randomized Double-blinded, Placebo-controlled Multi-center Trial of an Orally Administered Composition (Connectin®) for the Treatment of Canine Osteoarthritis – IVC Journal
[2] Connectin joint support | In Clover natural pet supplements
[3] Theresa W F et al. Small Animal Sugery.2nd ed.Mosby.2002
[4] Brian S.Beale,Diagnosis and Clinical Approach to OA in Dogs,バイエル薬品株式会社国際セミナー2012
[5] Pet lover’s guide to natural healing for cats and dogs (2005), Barbara Fougere, Saunders
Featured image credit Harold Meerveld / Flickr