ワンコのエイジングケア(2)〜いきいき活発シニア犬をつくる食餌、運動、マッサージ

シニア
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前回に続き、ワンコのエイジングケアについてのお話をさせていただきます。

今回はエイジングケアの基本である食餌とエクササイズ、そしてマッサージをご紹介します。バランスのとれた食餌、適切なエクササイズ、これに愛情たっぷりのマッサージを加えると、ワンコの健康と幸せ指数がアップしますよ。

食餌~バランス・ダイエットこそが良薬!~

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幾つになっても、ゴハンは美味い image by Matt Brown / Flickr

健康維持のためには、栄養バランスのとれたご飯を適量食べることはとても大切です。ある研究によると、市販のドライフードを食べていたワンコよりも、バランスのとれたローフードを食べていたワンコのほうが快活で、炎症性疾患による痛みのレベルは低いことが明らかにされました。このローフード、あとでお話しするがんワンコの失禁にも効果があることが実証されています。

では、どんなフードが良いのでしょうか?バランスの良い市販のワンコ用ローフードが一番お手軽で一番のおすすめだそうです。二番目におすすめされているのはホームメイドごはんです。ただし、飼い主さんが面倒でなければ…とのこと。フリーズドライやエアードライのローフードもありますが、栄養学的には通常のローフードのほうが良いそうです。

ワンコのエネルギー必要量は、加齢と共に減少していきます。若いころと同じフードを食べていると、エネルギー摂取量が必要量を上回り、体重過多となってしまいます。老齢ワンコにとって体重過多や肥満は大敵。関節炎や糖尿病など、いろいろな病気を発生させてしまう恐れがあるのです。

老齢ワンコの健康維持のためには、良質のタンパク質が必要です。タンパク質は、筋肉を維持したり、健康促進に役立ちます。最近の研究結果から、健康な老齢ワンコのタンパク質の摂取量は、およそ40%と考えられています。ただし、腎臓を患っているワンコには、タンパク質を与えすぎてはいけないので注意してください。

炭水化物は、関節炎やホルモンバランスの不均衡、アレルギー、肥満、胃腸疾患、糖尿病などによる炎症を悪化させてしまうため、老齢ワンコの炭水化物摂取量は30%以下がよいと考えらえています。

脂肪は、神経の機能やホルモンバランス、代謝、皮膚や被毛、健康な精神を維持するために適当量を摂取することが必要です。適当な量の脂肪を摂取する分には、肥満になることはありません。体重をコントロールするには、脂肪摂取量を減らすよりも、炭水化物摂取量を減らしたほうが効果的であることが実証されています一定量の脂肪を摂ることは大切で、脂肪含量25%以上の食餌を食べていたワンコのほうが、高炭水化物の食餌を食べていたワンコよりも健康であることが確認されています

エクササイズ

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運動が、健康の、秘訣なの image by Heidi / Flickr

関節炎になってしまったから、すぐに疲れてしまうからという理由でワンコがエクササイズをしないと、筋力は低下し、関節は硬直し、状態はますます悪化してしまいます。散歩に行くのを嫌がるようなら、家の中で筋肉強化エクササイズをするだけでも効果はあります。

散歩では、新しい道やでこぼこ道、ちょっとした坂道を歩くだけで、運動機能は高まり、認知力の訓練にもなります。

家の中でも、いろいろな道を作ってトレーニングすることはできます。ただし、視力が低下しているワンコや関節炎を患っているワンコは階段などに注意してください。また、老齢ワンコの肉球は滑りやすくなるため、床に滑り止めを敷くなどして、転倒を防止しましょう。

ワンコがいくつになっても一緒に遊んであげてください。遊ぶことが刺激になりますし、運動にもなります。

日中寝てばかりいるワンコは、時々起こして立ち上がらせましょう。同じ体勢を長く続けていると、圧迫される筋肉や関節の血液循環が悪くなることがあります。

マッサージ

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じゃ、マッサージ、お願いしま〜す image by Jani Sompi / Flickr

マッサージは、慢性の痛みや筋肉の痛み、アレルギー、傷跡の治癒、不安障害、神経系疾患など、いろいろな病態に効果があり、まさに万能代替治療法と言えるものです。マッサージを受けるワンコへの鎮静効果はもちろんのこと、マッサージを行う人にも鎮静効果があると実証されています。

ただし、急性炎症や悪性腫瘍(癌)を罹っているワンコに対しては、病状を悪化させてしまうため、マッサージを行ってはいけません。専門家のアドバイスを受けながら行いましょう。

★老齢ワンコにおすすめマッサージ

・足先マッサージ:1日に1回、4本の足先をやさしくゆっくりとマッサージします。このマッサージにより、脳までの神経連絡機構が強化されるといわれています。

・フェイスとヘッドマッサージ:耳の回り(特に耳の前の部分)をマッサージすることで、聴覚機能の亢進が期待できます。またフェイス、頬、ヘッドのマッサージにより認知機能が向上するといわれています。

・脊椎のマッサージ:指先を使って背骨の両側をやさしく、小さい円を描くようにマッサージします。このマッサージによって、リンパの流れがよくなり、脊椎の靭帯や腱がストレッチされ、椎骨間の血液循環がよくなり、脊椎の健康が増進されます。


このほかにも鍼灸やビタミンB12注射、カイロプラクティック、コールドレーザー治療なども老齢ワンコのケアに効果的だといわれています。専門家と相談しながら、それぞれのワンコに合ったエイジング・ケアを試してみてくださいね。

今回はワンコのためのエイジングケアについて、ほんの少しの情報ですが、ご紹介させていただきました。たくさんのワンコがハッピーな老後を過ごせますように。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。Web上の文献については、筆者が文献を参照した時期も記載しておきます。
[1] 日本統合医療学会、“統合医療とは” (2016年3月29日参照)
[2] 統合医療情報発信サイト、“統合医療とは”(2016年3月29日参照)
[3] William D.Fortney、犬と猫の老齢医学、丸尾幸嗣訳、東京、インターズー、2005
[4] Barbara Royal, Integrative Approach to Geriatric and Hospice, Integrative Veterinary Care Journal,2014, (2016年3月29日参照)
[5] Allen M. Schoen,Veterinary acupuncture Ancient art to Modern Medicine, 2nd Ed, Mosby,2001
[6] Sandi Rogers, Canine Myofunctional therapy textbook, National college of traditional Medicine,5th ed,2008

Featured image / Hisae Rule
 

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