「虹の橋」という詩を知っていますか?

オリジナルは”Rainbow Bridge”という作者不詳の英語の詩で、インディアンの逸話がその起源という説もあります。最期の日を迎えた動物たちが、天国と地上の間にある七色に輝く橋のたもとで、元気だった頃の姿にもどり、満ち足りた気持ちで飼い主さんとの再会を待っているという詩です。

アメリカの愛犬家から伝わり、日本でもペットたちが亡くなることを「虹の橋を渡る」と優しく表現するようになりました。

意外と早い老化現象

ワンコの寿命は、どうしても人間より短いもの。僕たちワンコがいつまでもいつまでも、飼い主さんと楽しい思い出を作りたいと望んでも、いつかはお別れの日がきてしまいます。一般的に小さい種になるほど寿命は長いと言われていますが、小型犬でも９歳から11歳ごろ、大型犬では7歳から10歳ごろから老化現象が現れてきます。僕たちが「虹の橋」を渡った後、悲しみのあまりペットロス症候群になる飼い主さんも多いため、社会的にも注目されてきました。

ペットロスってどんなもの?

2000年頃からその存在が知られてきたペットロスですが、これは、わが子同然の愛犬を亡くした飼い主さんに現れる、精神的・身体的な体験のことだそう。不安に襲われる、集中できない、突然パニックに陥るなどの精神的な症状の他、ちょっとしたことで涙が出る、食欲不振、不眠、やる気が起きないなど、身体的な症状が出ることもあります。

ペットとの死別、誘拐や迷子などによる突然の別れなど、まさに「ペットを失う」ことがきっかけで起こるそうです。そして、最期の瞬間に立ち合えなかったことや、「もう少しお世話できたのに」といった自責の念、「ペットが死んだくらいで大袈裟な」といった周囲の無理解などにより、症状が重くなる場合もあるといいます。

専門家によるサポート体制

僕たちはたとえ虹の橋を渡ったあとであっても、飼い主さんに元気に過ごして欲しいと思っています。だから”その日”を迎える前に、最近ではペットロスに苦しむ飼い主さん向けの様々なサポート体制があることを知っておいて欲しいのです。

「ペットロスカウンセラー」はそのひとつで、獣医師の吉田千史氏が代表をつとめるNPO日本ペットロス協会（神奈川県川崎市）などがあるそうです。ちなみに、同協会の養成講座の開設は2000年、誕生した準カウンセラーは現在約161人とのこと（原稿執筆時）。基礎的な心理学やヒューマン・アニマルリレーション（=人間と動物の関係）などの知識を学んだペットロスの専門家が、ペットを失った飼い主さんの心の傷を癒すお手伝いをしてくれるんだって。

さらに同協会では「ペットロス110番」（有料、詳細は同協会Webをご参照ください）というサービスも提供しているそうです。ペットを失った方へのカウンセリングや、”その日”を迎えるまでの心の準備、安楽死などのつらい選択についての相談にも乗ってくれるらしいです。他にもたくさんの専門家による支援機関があるようだから、ひとりで苦しんだりしないでくださいね。

辛い体験を分かち合う

また同じ立場の人同士で、お互いの悲しみを話し合う「グリーフ・ミーティング」も開かれています。 Pet Lovers Meeting（PLM）では、定期的にペットを見送った飼い主たちがお互いに支え合う「ミーティング」を開催しているそうです。このほか、ボランティアさんによる「ペットロスホットライン」もあって、電話での相談に応じてくれるみたい（無料、詳細はPLMのWebをご参照ください）。本当に辛い体験をしたときは、誰かにその胸のうちを聞いてもらうだけでも、心が落ち着くもの。いつかくる僕たちとの別れの日のために、こんなサポート機関の存在を心にとめておいてくださいね。

知識として勉強「ペットロス検定」

最近では公共の保健機関でも、ペットロスにならないための講座などを開催しているそうですよ。”その日”を迎えるに受けてみるのも一考に値するかもしれません。前掲の日本ペットロス協会では、”その日”に備えるための検定「ペットロス検定」を実施しているそうです。事前に心の準備をし、死別後の悲しみの乗り越え方を知っておくことは、とっても重要なことですよね。

僕たちが「虹の橋」を渡った後も、飼い主さんが幸せに過ごせますように・・・。
ワンコたちはみんな、心から祈っています。

[1] “Rainbow Bridge”の詩はたくさん存在するようです。参考までにPinterestページ”Rainbow Bridge Poem on Pinterest” をご紹介します。

Featured image via Chickie Tato via Flickr