皆さんこんにちは!東京に住んでいる読書犬・ぐりです。
あったかくなってきましたね~。鼻ペチャパグ犬の僕は、夏が苦手。でも春は大好き。気候も良くて、ウキウキします。ピクニックに出かけて、木陰で読書、なんていうのもいいですね。
皆さんは、犬を飼い始めた時、どんなことを考えましたか?
「きっとこの子がきてくれたら、楽しい暮らしになる」「ずっと大事にするね」「もう家族だからね」…未来の家族に、いろんな言葉をかけたのではと思います。僕も、飼い主さんと出会ったとき「出会えてうれしい」と言ってもらったこと、今でもよく覚えています。
今日ご紹介する本は、犬との約束の本です。題名は『犬と私の10の約束』(川口晴著 文藝春秋 2007年)。田中麗奈さん主演で映画にもなったので、覚えていらっしゃる方も多いかな。
病床の母から伝えられたこと
「私と気長につきあってください。」から始まる10の約束。この本が出版された頃、世界中で作者不明の「犬の十戒」という短篇詩が話題になっており、この本はその詩をヒントに描かれたそうです。
舞台は日本。あかりという女の子が12歳の時に、あるきっかけでかわいい子犬と出会います。それからの10年間を女の子の視線から追った小説です。
あかりは、12歳で母親を亡くします。母親が亡くなる少し前に出会った犬にソックスと名付け、事情があって離れたり、また引き取ったりしながら、犬と心を通わせていきます。母親は生前あかりに、病床で犬との10の約束を伝えました。
伝えられたときはあまりピンとこなかったあかり。その後なんとなくその約束も忘れてしまうのですが、父親の転勤で、家が見つかるまでソックスと離れるときに出した、彼女(ソックスはメスです)の悲しそうな声。そして再会したときの喜びよう。そうしたソックスの行動から、この約束が、どれだけ犬の立場に立った、真実の内容であるかが読者には自然と伝わってきます。
恋人にも奇跡を起こす
物語は、あかりと、星進君という中学の同級生との恋も描き出します。星君はギターがとても上手で、プロを目指すのですが、そんな彼を悲劇が襲います。その後、あかりはソックスと彼の家を訪ねるのですが、ソックスはここで、奇跡を起こすのです。これも物語の一つの山場。そして終盤には、あかりは地方の大学への進学を選び、再びソックスと離れるのですが、その後は涙なくしては読めない展開に。
作品中、ソックスの言葉が出てくるわけではないのですが、ソックスの何気ない動きの描写が、僕たち犬の気持ちをよく表してくれていて、感動しました。
犬を飼いたいと思っている人、実際に今、飼っている人、残念だけどお別れした人、皆さんに読んでいただきたいなと思います。犬の気持ち、本当によくわかりますよ。
Featured image by John Talbot via Flickr