英国の政治家が書いた犬の日記~『バスターのきもち』

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みなさんこんにちは!読書犬パグのぐりです。

最初に悲しいお話から。この原稿、一度書いて保存したのになぜか消えたのよ(涙)。先だって、パソコンが壊れたことを書きましたけれど、その後意を決して新しいパソコンを買ったんです。そのパソコンで書いて、外付けHDに保存して(したつもり、だったのに)、翌朝開けてみたらどこにも存在しないという悲惨な結果に。パソコン移行時はいろいろあるよねえ。

あ、僕は昨年の3月にこちら、WOOFOO天国出張所勤務になったのですが、パソコンが得意なレトリバーのタロウくんに見てもらってもだめでした…。残念。ということで、記憶を頼りにもう一度書きます(僕、立ち直りだけは早いの・笑)!

野犬収容所からやってきたミックス犬

バスターのきもち (朝日文庫)

今日ご紹介する本は英国労働党議員が自分の飼い犬の日記を犬にかわって書いたという珍しい作品です。『バスターのきもち』(ロイ・ハタズリー著、山田久美子訳、朝日文庫、2002年)の原題は『Buster’s Diaries』、つまり、バスターの日記、だね。飼い主である<男>と飼い犬のバスター、そして男の妻も時々登場する日記です。

舞台はイギリス。野犬収容所に収容されていたバスターは、ある女性に引き取られます。夫へのクリスマスプレゼントに、と。そして<男>の家へやってくるのです。バスターのお父さん犬はシェパード、お母さん犬はブル・テリアというから、ずいぶん大きいミックス犬なのではと想像します。バスターと出会った<男>は一目で彼に夢中になり、それ以来、日に4度の散歩を欠かさず、よきパートナーとして暮らし始めます。

なんだけど、やっぱり環境に慣れるまでは双方いろいろあるわけです。お互いの性格や習性を一つひとつ知りながら暮らしていく。そんな生活の模様を、バスターの目線から書いています。犬目線ね。だから僕には「そうそう、そうなんだよね~」と思える部分がたくさんあったよ。

その躾、どうでしょう

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image by bullcitydogs / Flickr

たとえば誰がその家の主人かを犬に知らせるために、ご飯は人間の食事が終わってから与える、ということを飼い主は実行します。だけど、バスターは「そんなこといいからさ、はやくご飯くれよ」と思うわけ。つまりご飯をもらうためにおとなしくしているけれど、別にそれが順位付けにはそれほど影響しないんだけど、って(笑)。人間はそんなことを犬が思っていると知ったら「え?!じゃあこの躾は一体…」となってしまうよねえ。でも犬ってそのくらい賢いってことを分かってもらえたらうれしいな。まあ個体差はあるけど。

このバスター、犬だから散歩が大好き。なんだけどある日、散歩中にうんちを回収していた男が、リードを誤って離してしまったときに、運悪く近くを女王が大切にしているハイイロガン(灰色雁:カモ科の鳥類)が通り、バスターがかみついてしまったんだ。これが新聞沙汰の大事件になり、飼い主は裁判所まで行くはめに。犬、特に猟犬をルーツにもつ種類の子には、動くものを追っていく習性があるから気を付けないとねえ。そんな事件もさしはさみながら、しょっちゅう旅行に付き合わされたり、近所の犬に恋をしたり、遊んだり、そんな生活を送っていきます。

そうそう、舞台がイギリスなだけに、観光客も登場。なんと、日本人が出て来るんだよ。

けさは、ずいぶん早くバッキンガム宮殿を通ったのに、外の道路は人でごったがえしていた。たぶん日本人だ。たいがいそうだから。日本人は犬と同じで、群れの動物なんだ。群れで狩りをし、どの群れもご婦人に率いられていて、そのご婦人は雨が降っていてもいなくても傘をさしている。(p134)

たしかに、日本人はわりと群れで生活するのを好むよね。みんながみんなそういうわけではないけれど。それにしても鋭い観察眼だなあ。

角田光代さんの書評から

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image by bullcitydogs / Flickr

さて、僕はこの本を角田光代さんの『世界は終わりそうにない』(角田光代著、中央公論新社 2015年)で知りました。角田さんが書かれた『バスターのきもち』の書評が収録されていたからです。角田さんは犬との暮らしの印象をこう書いています。

私はたいそうな犬好きだが犬を飼ったことがただの一度もないので、犬と人間なんて、ぱっと仲よくなれて、躾なんてちゃっちゃとすみ、男女間にはけっしてありえないであろう揺るぎない絆でしっかりと結ばれるものなんだろうと思っていた。(p197)

でもこの本を読んでその考えが変わったと。人間同士もそうだけれども、人と犬が絆を築いていくためにも、お互いを知ろうとする気持ちと、知るきっかけとなるいろいろな経験が必要なのでしょうね。あともう一つお伝えしたいのが、この本、翻訳本ですが、「訳している」ということを全く感じさせないんです。僕、いかにも翻訳した、という、どこか日本語がこなれていないような本がちょっと苦手で、あまり翻訳本を読まないのですが、この本は原文が英語であることを思い出さずに一気に読めました。

犬の気持ちがよくわかる一冊。ぜひ手に取ってみてください。


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★ 今回の記事には、シェパードミックスの保護犬のみんなに登場していただきました!写真は全てbullcitydogsさんの撮影です / Flickr

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