読書犬「ぐり」のオススメ本〜いぬ、イヌ、犬!年末年始は物語で犬にまみれる

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みなさんこんにちは~読書犬、東京在住のパグのぐりです。これまでいろーんな犬の本をご紹介してきましたが、今回はスペシャル企画!! 年末年始にお休みをとられる方も多いかと思い、まとまった時間に読みたいあの本、この本を紹介しますヨ。

今回は大人向け。最初の2冊は実は児童向けなのですが、ぜひ大人にも読んでもらいたいな、と思ったので入れました。手に取ってみてくださいね。それでは、はじまり、はじまり~。

『おかえり!アンジー』~3.11 あの日のペットたち~

Book1

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2011年3月11日。皆さんは何をしていましたか? そう、あの東日本大震災の日。僕は自宅にいて、助かったけれど、あの地震では人だけではなくペットたちも大きな被害に遭ったんだよね。アンジーはオーストラリアン・シェパードの雌。福島県浪江町の佐藤さんのお家で幸せに暮らしていました。そう、2011年3月11日までは…。

東日本大震災の後、避難勧告が出された浪江町。「すぐに戻れるだろう」と、最低限の荷物だけを車に積み込み、アンジーをはじめ、3匹の犬たちにエサと水を用意して出発した佐藤さん一家。その後、東京電力福島第一原発からの放射能漏えいにより、帰宅が困難になってしまいます。アンジーたちを思い、辛い日々を過ごす飼い主たち。一方、阪神大震災を経験した動物保護団体が、関西から東北へ、ペットたちの保護のために動き出します。アンジーたちも見つけてもらうことができるのでしょうか。

人と共に暮らすペットたちが、ひとたび大震災が起こるとどのような運命をたどることになるのか。ノンフィクションのこの本は、冷静に、そして子どもにもわかりやすい言葉で大切なことを伝えてくれます。

『おかえり! アンジー東日本大震災を生きぬいた犬の物語』 高橋うらら著 

『おいでフレック、ぼくのところに』〜大事なことは、子どもと犬が教えてくれる

Book2

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フレックは子どもの雑種犬。捨てられていたところを、ケイリーという優しい女の子に救われます。ハルは元気な男の子。ずーっと犬が飼いたいと願ってきましたが、お母さんが許してくれません。ハルの家は大金持ち。両親いわく「男の子が欲しがるものは全部与えてきた」。そう、ハルは友だちのだれもがうらやむようなおもちゃをたくさん持っています。でも、ハルが一番欲しいのは犬でした。

そんな願いが、誕生日にやっと叶えられます。でも実は、そこには両親のウソがかくれていて… 後半はハルとその友だちの犬、ケイリーの妹ピッパと、そしてハルが、遠くに住むハルのおじいさんたちの家へ向かう、冒険物語。その中で読み手は様々なことを考えさせられます。一番大事なものって何? お金?それとも… 冒険中、危機から救ってくれた孤児のミックに、お礼がしたいとおもったハル。そんなハルにピッパは

これからもミックのともだちでいれば、それがお礼になるわよ(p206)

と答えました。これ、いい言葉だなーって思った。この言葉に出合えただけでも、この本を読んだかいがあったよ。他にも、子どもだけが読むにはもったいない!と思う部分が続出!人も犬も、子どもも大人も、みんな読んでね!

『おいでフレック、ぼくのところに』 エヴァ・イボットソン著 三辺律子訳 

『スパイク』いきなり、SF! ビーグルがしゃべる

Book3

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この物語は、最初はごく普通な感じで始まるの。主人公は江添緑という28歳のOLさん。彼女はスパイクというビーグル犬を飼っています。ビーグルといえば三色のブチ、と思い浮かべるけれど、スパイク君はちょっとめずらしいレモンカラー。でもレモンカラーのビーグルもかわいいよね!僕大好き。

緑はある日、町中で林幹夫という同い年の男性と出会うの。彼もまた、レモンカラーのビーグルを連れているんだ。何か運命的でしょ? 初対面なのに、同じ犬を連れていることもあって惹かれあう二人。お茶をして再会を約束します。が、その約束の日に幹夫は現れなかった。そこから物語は急にSFの方向へ! 面白いんだ、これが。時間や空間、そして人が複雑に絡み合うの。レモンイエローのビーグル犬がしゃべりだしたりもするよ。そして最後はちょっと切なくなる。書下ろしの長編。長い休みにはもってこいだからぜひめくってみてください!

『スパイク』 松尾由美著

『ドン松五郎の生活』(上・下)〜吾輩は犬である

Book4

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ドン松五郎は、石ばかり見つめている地学の先生が主人の家に生まれた仔犬。なのに奥様がまだ目も明かないうちに捨ててしまうんだ。ひどいよね…川に木箱ごと流された仔犬は、奇跡的に助かり、小説家のお父さんがいる和子ちゃんという女の子に拾われます。そしてドン松五郎という名前を付けられて飼われ始める。ドン松五郎の日常を彼が語る話。そう、夏目漱石の『吾輩は猫である』みたいでしょ? 実は松五郎自身がそのことに最初のほうに触れているんだよ。あの作品の犬版だ、というような感じでね。

このドン松五郎、人間の様子や周りの動物を観察してはいろいろ思索するんだけど、それが結構的を得ている。言葉遣いは時々乱暴だけれどね。もしかしたら、人がこの本を読んだら、「我が家の犬もこんなこと考えているのかしら…」って心配(?)になるかも。でも言っておきますが、犬といっても人と一緒でみんな違うからね。ご安心を。

作者の井上ひさしさんは、名作をたくさん残した方だけれど、どこかひょうひょうとしていて、ふかーい内容のものから、こうしたちょっと「ククッ」と笑ってしまうような作品まで、多種多様な物語を書いているよね。でも犬への愛は溢れている。だからますます好きになっちゃった。

『ドン松五郎の生活』 井上ひさし著

『ソウルメイト』~犬は魂のパートナー

Book5

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『ソウルメイト』 馳星周著 集英社 2013年
人にとって犬は、ソウルメイト。本当にそうだよね。この本は、さまざまな種類の犬が主人公の、7つの短編集。どれも好きだけど、僕は第2章の「ボルゾイ」が特に好き。

ボルゾイ犬のレイラは夫婦と小学生の悠人と一緒に暮らしている。理恵は再婚で、悠人の前のお父さんは病気で亡くなったんだ。新しいお父さんは学。レイラは学が以前から飼っている犬なの。だから、新しく家族になった悠人のことをなかなか認めてくれない。悠人とレイラの間には目に見えない溝があったんだけれど、悠人がある日学校から帰ってくると、レイラが悠人の肩に手をかけて、散歩に連れていけ、と言ってくれたの。もちろん言葉ではなくて、仕草でね。

実は悠人は学校のクラスメイトからいじめられているのだけれど、それを知っているのはレイラだけ。ある日また、レイラと散歩に出かけた悠人はいじめっ子たちに遭遇してしまい… 人生って、楽しいことばかりじゃないよね。子どもにも辛いことが容赦なくふりかかる。でも、犬は、全部わかっている。わかっていて、人のためになりたいって思っているんだ。そんなことが見事に表現された作品です。

最終章「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」は、同じ作者の『走ろうぜ、マージ』(角川書店2006年)を併せて読むことをお勧めします。

『ソウルメイト』 馳星周著


走ろうぜ、マージ
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馳 星周
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読書犬「ぐり」のオススメ本〜年末年始に親子で読みたい、いぬ絵本大集合! | the WOOF

みなさんこんにちはー。読書犬、パグのぐりです。お元気ですか? さて、そろそろ2015年も終わりに近づいていますね。年末年始は、まとまったお休みがとれる、という方も多いのでは? そんなうれしい時期に、絵本などはいかがでしょう。もちろん犬がたーくさん出てきますよ!

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