皆さんこんにちは~!お元気ですか? 僕は天国在住のパグ犬・ぐりです。
普段はWOOFOO天国出張所にいて、本を読んだり、映画やDVDを見て過ごしているよ。DVDの品揃えはなかなかで、犬が登場する作品以外にも、アクションものやラブストーリー、ドラマなどなどが見放題。いいでしょ(笑)。
狩人を追って
さてさて、今月は、そんなDVDの中から、素晴らしい作品に出合ったのでご紹介しますね。『狩人と犬、最後の旅』(監督:ニコラス・ヴァニエ 出演:ノーマン・ウィンター他 制作国:フランス カナダ ドイツ スイス イタリア 2004年)は、北極圏で狩人として暮らすノーマン・ウィンターを主人公とした映画です。ほぼ、ノンフィクション。なんだけど、たとえばノーマンの奥さんは出演を拒否されたそうで、ほかの女性が演じています。
物語は、ロッキー山脈のある谷へ、上空から徐々にフォーカスしていく場面から始まります。よく見ると、犬ぞりを引いている男性が。これがノーマンです。彼はこの土地で生まれ育ち、ずっと狩人として生きてきました。狩人は罠や鉄砲、時には釣り竿を使って、動物や魚を獲ります。ノーマンは、この大自然の中で生活しながら、自然に対して畏敬の念を持ち、その一部として生きるために、自分に必要な分だけを獲りながら暮らしています。
家づくりもすべて手作業で
ストーリーの最初のころに、ノーマンは居住地を移す作業をしました。大企業によって森の伐採が進み、生態系も崩れつつある中で、獲物をとるのに向いている土地を探して住まいを移すのです。家をどうやって建てるか? 道具は電気を使わないものばかり。斧で木を切り倒し、それを馬にひかせて建てる場所まで運びます。そこで釘を使わずに丸太を組んでいくのです。木と木の間には、防寒にもなるコケを詰め込んでいく。夫婦で手際よく作業を続け、家を一軒建ててしまうのです。すごいー。びっくりした。
ノーマンの移動手段は、犬ぞりやカヌー。冬はもっぱら犬ぞりです。僕、今までこのコーナーで、犬ぞりのレースに出場している人や、冒険の交通手段として犬ぞりをつかう人の本は読んできたけれど、暮らしに欠かせないものとして犬ぞりを使っている人のリアルな映像は初めて見ました。ノーマンは、この犬たちにも敬意をはらい、走っている犬たちにはこまめに声かけをし、休憩時間には1頭1頭に「Good Boy!」「Good Girl!」とかれらの仕事をねぎらいます。犬たちとノーマンの間には絶対的な信頼が築かれている。映像からはそんな雰囲気が伝わってきます。
その犬たちの中のナヌークは、ノーマンの素晴らしいパートナーで、徒歩で狩に行く際にも必ず付き添うほど。ですが、物語中盤、ノーマンはこのナヌークとお別れをするのです。その後彼のもとにはアパッシュという雌犬がやってきました。ナヌークを亡くしたショックと、少し小柄なアパッシュをそれほど頼りにしていなかったからでしょうか、あまり期待していなかったノーマン。ですが、その後犬同士の恋物語も生まれて、なかなか素敵な展開になります。
最後の狩人?
冒頭でも少し書いた通り、ロッキー山脈の豊かな自然は、人間の利益追求のためにどんどん木が伐採され、それは生態系に少なからず影響を及ぼしていました。そのため、ノーマンは狩人として生きていく限界を感じ始め、今後、狩を続けるかどうか、悩みます。ノーマンの親友である、80代のアレックスは、同じようにロッキー山脈で一人、狩人として生きていますが、ノーマンは彼の元を訪れて、今後のことを相談するのです。
最後はどうなるのかは見てのお楽しみです。さて、この映画は、まず本編を見て、そのあとにコメンタリーを見ることをお勧めします!というか、必ず見てください。コメンタリーでは、本編映像を追いながら、監督が話をしているのですが、どうやって映画を撮影したのか、どんな苦労があったのか。そもそもなぜこの映画を撮ろうと思ったのか、が語られます。そして、狩人が生態系のバランスをとるために、どのような工夫をしているのか、が具体例を交えて語られ、より、本編のすばらしさが感じられるつくりになっているのです。
自然に敬意を払いながら生きていく。それがどういうことなのかが、余すことなく描かれた映画です。都会に暮らす人であっても、自分がしていること、たとえば食べ物を残す、という行為が果たして自然に敬意を払っていることになるのかどうか、を考えてみると、自分がとるべき行動が見えてくるようにも思います(僕はご飯を残すことはまずないけど)。雄大な自然を見るだけでも癒されるのですが、人が電気やガソリンに頼らずに生きていくと、どんな暮らしになるのかもよくわかります。おすすめです!
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