みなさんこんにちは。ぐりの家族のNです。ときどきぐりの原稿の中に登場していましたが、今回は事情があり、私がこの記事を担当します。
ぐり、さようなら
3月21日に、ぐりは天国へ旅立ちました。と、文字にするだけでも涙が止まりません。9歳。まだまだ生きていてほしかった。
ずっと、病気らしい病気をしたことがないぐりでしたが、3月に入り、時々咳をするようになりました。お医者さんで薬をもらい、おさまったのでよかったと思っていたら、20日の夜にまた少し咳をしたので、「朝いちでお医者さんに行こうね」と言っていたら、翌朝、意識がなくなっていました。
慌てて車でお医者さんへ連れて行きましたが、間に合いませんでした。
あまりに突然で、最初、目の前で起きていることが信じられませんでした。気管の急な閉鎖か、心臓発作ではないかと言われました。ほとんど突然死だと。
お葬式をして、荼毘に付しましたが、毎晩お骨を抱いては号泣していました。
だいぶ落ち着いてきましたが、まだ夜になると、あの日のことがフラッシュバックのようにして蘇ることがあります。
車にぐりの毛を見つけた時、毎年散歩で一緒に見ていたしだれ桜を見た時、なんでもないふとした瞬間に涙が出る。
家族だったからだと思います。
ぐりは、まだ天国へ行ったばかり。彼はきっと、向こうでも原稿を書いてくれるはず。たくさん本が読めるだろうし、DVDも見放題のはずだから。でも、まだちょっと落ち着かないと思うので、今回だけは私がピンチヒッターで書きます。
次回からは、またぐりにバトンを渡します。
リョウはメス
さて、このような事情で、ほとんど茫然自失の日々を送っていた私ですが、まだぐりが元気だったとき、ぐりに渡すためにと、犬の本はいろいろ入手していました。ぐりが旅立った後、その中の1冊が、期せずして私を少し元気づけてくれたので、今回はその本を紹介しますね。
『白い犬』(梅佳代 新潮社 2016)は、写真家の梅佳代さんのご実家で飼われていた犬の写真集です。
あとがきによれば、写真学校に入るために実家を出た梅佳代さんが、夏に帰省すると白い犬がいたそうです。最初はこわくて、木の枝で撫でていたそうですが、だんだん慣れていったのかな。本の中では、それはそれは表情豊かな白い犬「リョウ」が飛び回っています。ちなみに、この名前なのになぜかメスです。
リョウは、中型のミックス犬でしょうか。その真っ白な姿も手伝ってか、かなりの存在感。庭で、森で、鮮魚の移動販売の車の横で、コタツで、リョウはさまざまなポーズで撮影されています。
時には白い雪のなかにうもれて「あれ?どこだ?」と、リョウちゃんを探せ、的なページも(笑)。
この本、写真家である梅佳代さんが撮影した写真が並べられているのですが、なんというか、ものすごくピントをばっちり合わせ、構図も練りに練った、という写真ではなく、「あ、今、撮ろう」という感じで撮られたスナップ写真的な作品が多いように思いました。
だからでしょうか、「家族を撮った」という感じが強い。畑を掘っているリョウ、次の写真では、鼻に土をつけたまま、「ん?」という顔をしているリョウがいます。家族のいたずらを、撮っているみたいな雰囲気です。
そして、とにかくこの本の中のリョウは、とっても元気なのです。
元気に生きる姿から
どうして私がこの本を見て、元気づけられたのでしょう。
それはたぶん、生き生きと、とにかく元気に生きているリョウの姿を見て、ぐりも、一瞬一瞬を、元気に生きていたな、と思えたからかもしれません。
この本、文章は一つだけ。著者による「あとがき」のみです。
でも、そこには、リョウの一生が実に面白く描かれていますから、最後まで読んでみてくださいね。
ぐり。
そちらの世界はどうですか? 『白い犬』も、もう見た? どんな感想持ったかな?
私は、寂しくて悲しくて、泣いてばかりだけれど、でも、ぐりが家族でいてくれたこと、本当に感謝してもしきれません。お別れしてから、ずっと「ごめんね」ばかり言っていたけれど、もっと伝えたいことは「ありがとう」です。
次回からの記事、またよろしくね。楽しみにしています。
Featured image credit Samantha Scholl / unsplash
【犬本紹介】『また、犬と暮らして。』~愛犬との別れと、新たな出会い | the WOOF
皆さんこんにちは! 東京の読書犬ぐりです。さて、今日ご紹介するのは『また、犬と暮らして。』(穴澤賢著 世界文化社 2016年)です。著者の穴澤さんは、あの有名犬、富士丸の飼い主だった方。
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