読書犬「ぐり」はこれを読む!『陽だまりの天使たち ソウルメイトII 』~馳星周が描く人と犬の世界~

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皆さんこんにちは~。東京に住む読書犬、パグのぐりです。あけましておめでとうございます! 昨年は、僕の本&DVD紹介にお付き合いくださり、ありがとうございました。今年もたくさん本を読んで、DVDを見て、これぞ!という作品をご紹介できればと思っていますので、どうぞよろしくお願いしますね。

この冬は、暖冬と言われていますが、それでも寒い…。僕が住んでいるのは東京でも西のほうで、どちらかというと山沿いだから、都心よりも気温が低いんだよね。パグは暑さ寒さが得意じゃないの。猫ではないけれど、冬はこたつの近くで丸くなりたいな。残念ながら我が家にはこたつがないけど。

あの『ソウルメイト』の続編!

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フラットコーテッド・レトリーバーさん↑ image by Kotasek.eu / Shutterstock

年末に『ソウルメイト』(馳星周著 集英社 2013年)をご紹介しましたが、実はその続編が昨年の秋に出版されました。もちろん読んでみたのですが、これがまたいいのです。ぜひ皆さんにも読んでいただきたいと思い、今回は『陽だまりの天使たち~ソウルメイトⅡ~』(馳星周著 集英社 2015年)をご紹介します。

前作と同様、この作品も、各章のタイトルはその章に出てくる犬の種類になっています。白血病にかかった千尋が、犬の譲渡会で出会ったトイ・プードル。ダンテと名付けられたこの犬は彼女の両親にはなかなかなつかないのですが、なぜか千尋には絶対の信頼をおいていて、1人と1匹の絆は強く強く結ばれます。入院中の千尋は、同室の患者さんたちの好意によって、ダンテと再会できるのですが… 僕の飼い主さん、この章を電車の中で読んでいて、泣きそうになったって。確かに僕もぐっときた。電車で読むときは気を付けてください。

ほかにも、イリオモテヤマネコを育てるミックス犬、視力を失った頑固な男性の、盲導犬との出会い、生まれてすぐに母犬にかまれ重傷を負い、顔も歩き方も他の犬とは少し違うけれど、いつも笑顔のバセット・ハウンド、助からない病に侵されたフラットコーテッド・レトリーバーの飼い主家族が下した苦渋の決断、などなど、どの章も力強さの中に、温かさや切なさを含んだ物語が展開されます。まさに、月並みな言い方だけれど、ページをめくる前脚がとまらないんだ。

ぶひ子の物語

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image by Stieber / Shutterstock

そして、僕はこの本の中で一番好きなのが、フレンチ・ブルドッグの物語。仕事も家族も失って、自殺を決意し、死に場所に選んだキャンプ場にたどり着いた中年の男は、あるフレンチ・ブルドッグに出会います。彼はこのフレンチ・ブルドッグに「ぶひ子」と名前を付けて、一緒に旅を始めるのですが、途中アクシデントに見舞われて…。

馳さんの作品は本当に犬が人の「ソウルメイト」、魂の伴侶であることが見事に描かれているのですが、特にこの男性とぶひ子の関係は、それが鮮明に表されていると思います。だって、結果的に、ぶひ子は自殺しようといていた男の命を救ったのですから。

男は旅の途中で、犬のレスキューを行っている神という男性に出会います。この神と男のやり取りの部分が本当に素晴らしいのです。犬を飼うことの責任、任される命の重さ、わかっているようだけれども、やっぱり人は、常にこういうことを意識しながら僕たちを引き受けてくれているのかなと、思いました。詳細は本書でご確認を!

助けられた犬たちの物語

さて、僕はこの本に出てくる犬たちのほとんどが、譲渡会でマッチングをして家族になったり、レスキューされた子で、新しい飼い主さんに出会って飼われ始めたり、捨て犬で助けられたりしていることに気が付きました。著者である馳さんのひとつのメッセージなのかな、とも思います。どこに生まれても、どんな環境下にいても、すべての命には幸せになる権利があるんだよね。それは人も犬も一緒。

2016年、今年は地球上に生きているみーんなが、幸せで楽しい日々を送れますように。そんな気持ちになった作品でした。


陽だまりの天使たち ソウルメイトII
馳 星周
集英社
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Featured image from PatriciaDz / Shutterstock

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