読書犬”ぐり”はこれを読む!『世界で一番美しい犬の図鑑』〜確かに美しい、犬の図鑑

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こんにちは! お元気ですか? 東京在住の読書犬、パグのぐりです。梅雨はじめじめしますねえ…。毎年梅雨を経験しているはずなのに、昨年までのことをすっかり忘れて、「梅雨ってこんなにじめじめだった?!」と毎年驚く僕。雨もよく降るから、お散歩お休みの時もあるし、ワンコにとっては早く過ぎ去ってほしい季節だよね。

世界で一番美しい!?

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image by Astrid Harrisson Photography / Facebook

さて、そんなじめじめの中、びっくりするような本に出合ったのでご紹介しますね。それは『世界で一番美しい犬の図鑑』(タムシン・ピッケラル 岩井木綿子・訳 アストリッド・ハリソン・写真 エクスナレッジ 2016年)です。なにがびっくりって、まずタイトルですよね。「世界で一番美しい」とうたってしまうなんて、すごい。原題は「THE SPIRIT OF DOG」。直訳すると犬の魂、みたいな感じなのかな?たぶん訳者が、この本全体を見て決めた翻訳なんだと思います。

確かに、美しいのです。表紙のサルーキは、何か高貴な雰囲気を醸し出しているし、裏表紙では、きれいな姿のブルドッグがこちらをじっと見つめています。そこからして犬好きには惹きこまれる。

そして、犬たちの紹介順序も面白い。章立ての仕方が、「第1章 優美さとスピード」「第2章 美とスタミナ」といった感じなのです。ちなみに、僕たちパグは「第8章 献身と忠誠」の中で紹介されていました。

パグはブラックだった

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image by Astrid Harrisson Photography / Facebook

僕、パグだから、やっぱりまず、パグのページから見たよ。そこには、まことに美しい、きりりとした黒パグさんがいました。姿勢がよくて、ひたいのシワもきれいで、なによりも毛づやがすごい。次のページをめくると、くるっと格好良くまいた尾っぽの写真がアップであります。

紹介文では、僕たちパグがどんな犬種かを、たとえば次のような文章で紹介しています。

パグは「小さい体に個性がつまった犬(multum in parvo)」としばしば形容される。小さな体から大きな存在感を放つパグにぴったりの表現と言えるだろう。チャーミングでカリスマ性があり、生き生きと快活な性格と生まれ持った知性により、パグはペット犬として広く愛されている。(p.251)

なんか照れちゃうなあ。Nさんはこれを読んで、「そうそう、そうなのよー」と独り言をつぶやいていました。この本の犬の紹介文は、飼い主さんが嬉しくなるようなものがほとんどなんです。それは他の犬も一緒だと思います。

うーん、でもね、やっぱり僕、フォーンだから、パグのページはフォーンに登場してもらいたかったなあ。ってライチさんにぼやいたら「the WOOFで犬事典つくるときにはね、パグはフォーンにするからね」って言ってくれたの。優しい~。

写真も値段もびっくり

さて、タイトルの「世界で一番美しい」というのは、やはり写真の美しさも表していると思います。写真はどの犬のものも魅力的です。そして面白いというか、いわゆる普通の図鑑と違うのは、その犬の個性が現れる部分を写しているということ。

特にそれを感じたのがジャーマン・シェパード・ドッグです。だってね、この犬種の紹介ページ、最初の写真はなんと、後ろ姿なの。朝日か夕日に照らされたシェパードの背中から頭にかけてを撮影した作品なのですが(もちろん前からの写真もページをめくるとあります)、これをトップに持ってくるというのがいいなあと。顔はわからなくても、シェパードが秘めている気品を実によく表していると思います。背中で語る、という感じも出ています。ちなみにこの章のタイトルは「気品と信頼性」です。

そんな調子で、文章を読むだけでなく、写真を眺めているだけでも幸せな気持ちになれる本なのですが、どれだけ経験をつんだ写真家がとっているのだろうと経歴を見たら、なんと、

2008年初めにアルゼンチン北西部の高地にある牧場で働きながら動物の写真を撮り始める。(裏表紙)

とあるじゃないですか。びっくりしました。それほど長く写真を撮られている方ではなかったのです。このアストリッド・ハリソンさんは、それぞれの犬の一番魅力的なポーズを見つけるのがうまいのだと思います。その犬の特徴をよく表す角度やシチュエーションを定められるのでしょう。それってすごい能力。本当に動物が好きな人なんだろうなあと想像します。

と、びっくりしすぎな僕ですが、最後にもう一つ、この本の値段にはたまげました。なんと本体価格が3800円。あのね、本自体はすごく大きいんだよ。本当に図鑑、という感じ。こういう図鑑は5000円以上して当たり前と思っていたから、もうびっくり。飼い主Nさんはもともと出版社で働いていたから、「このクオリティで、おまけに翻訳本で、どうしたらこの値段で出せるの?!」と言っていました。

でも、犬好きには嬉しいですよね。含まれていない犬種もたくさんですが、逆に日本ではあまり一般的ではない犬種も登場するので、犬の新しい一面を発見するのにも向いています。ぜひご覧になってください。


世界で一番美しい犬の図鑑
タムシン・ピッケラル
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