皆さんこんにちは! WOOFOO天国出張所勤務中の、読書犬パグ・ぐりです。お元気ですか? そして、お住いの地域では、雪、降りましたか?
地上に住んでいたとき、子どもたちは雪に大喜びしていましたが、大人たちは「電車が…」とアンニュイな雰囲気になっていたことを懐かしく思い出しています。あ、ちなみに関東地方です。
ワンコ仲間たちは、雪が好きな子も多かったなー。白い子なんて、どこにいるかわからなくなりそうなくらい雪と一体化してたり(笑)。寒さに負けず、冬も雪も楽しみたいですね!
タイトルは米国の音楽グループから
さてさて、今日は本をご紹介しますね。『三匹の犬と眠る夜』(落合恵子著 平凡社 2015)は、カバー絵の犬がなんともかわいい1冊です。
タイトルの「三匹の犬と眠る夜」は、スリー・ドッグ・ナイトという米国の音楽グループに由来しています。このグループの『喜びの世界』は大ヒット曲。皆さんも一度は聞いたことがあるはず。さてこのスリー・ドッグ・ナイト、こんな由来があるそうです。
ネット情報によると、グループ名は「アボリジニが寒さの厳しい夜に三匹の犬と寝る」という風習にちなんだもの、と公式サイトにもあるという。(p7)
70年代にヒットしたグループみたい。地上の飼い主、Nさんが生まれたころか?(年齢ばらさないで!と苦情が聞こえそうですが・笑)。この、タイトルの由来の後に、著者の落合さんと犬の関係が垣間見られる一文がありました。
寒い時はむろんのこと、そうでなくとも、ここに三匹の犬がいたら……。そしてそれぞれの寝息を聞き分けながら、眠りの中に入っていけたら、どんなにしあわせだろう。(p7)
ああうれしい。こんな風に書いてくれるなんて、きっと落合さんは僕たち犬を好きでいてくれる素敵な人だ、と思いました。
日常にとけ込む洋楽と映画
この作品は落合さんの日常をつづったエッセイですが、彼女の生活に、音楽は欠かせないものだということがよくわかります。
彼女が若い頃からそうだったようで、学校の先生や友達からインスピレーションを受け、音楽や映画にたくさん触れていました。その蓄積の上に立った人生だから、70歳を過ぎた今も今日の気分にはこの音楽、と、気持ちと音楽をうまくマッチさせながら楽しく暮らしているのでしょう。ああ、なんて豊かなんだろうと思いました。
僕がすごく共感した部分があって。それはこんなところでした。
ある時、とても好きになったCDをずっと好きとは限らない。ほかの「ある時」に、好きという気持ちがわけもなく消えてしまい、CDの棚の片隅で何年も眠っているものもある。(p156)
そうなんですよねー。でもその中で落合さんは、ブラザーズ&シスターズというゴスペルチームのCDはこれから先もずっと好きかも、と思いながら、聴いていたそうです。僕にもそんなCDがあったかな、と考えてみました。皆さんはどうですか? CDの棚にどんな曲が並んでいますか? もう今は、配信のほうがメジャーになったのかもしれないけれど、CDはジャケットも含めて作り手の思いが伝わってくる気がして、手放せません。
彼女の生き方
本の後半には、落合さんが日常的に参加している集会やパレードについての記述もあります。「おかしい」と思ったときに、どんな行動に出るのかは、人によってそれぞれだと思いますが、落合さんの場合は、同じ思いをしている人が集まる場所へ行くことだそうです。それはご本人曰く、「誰かのため」というような重いものではなく、あえて言うのであれば「わたしのために」だそう。
政治的な話には拒否反応を起こす方も日本人には多いかもしれないですが、落合さんの、いい意味で肩の力が入りすぎていない行動には共感できる部分が多い気がしました。
そして、本物の犬は出てこないかなーと思っていたら、出てきました!!
ゴールデン・レトリバーがわたしの横を通過した。豊かなシッポの先が、わたしのスニーカーをはいた脛をすっとかする。それから不意にレトリバーはくいっと振り返り、立ち止まってわたしを見た。犬とすれ違うと、こんなことがよくある。(p169)
やっぱり~。犬に好かれている人なんだ~。思った通り! そしてこの犬と出会ったときに、落合さんはある小学生が書いた言葉を思い出します。それがあまりに素敵な言葉で、僕、本当にうれしくなってしまいました。皆さんもぜひ本書でご確認を。
犬がついつい振り向いてしまうくらいだから、落合さんは優しい方なのだろうなだと思います。お母さまを7年間介護して見送り、今は執筆や講演をしながらクレヨンハウスを経営されている。70歳を過ぎてもかっこよくて自然体で。こういう風に年を取りたいなって思う人、多いんじゃないかな。
音楽好きにも、まだ洋楽にはあまり接して事のない人の入門書にも、そして落合さんのことを知りたいなと思う人にもおすすめの1冊です。
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