スモモは、犬が避けた方が良い果物です。果肉は糖分と繊維が多く胃腸不快の原因に、種は中毒症状や窒息、腸閉塞の原因になる可能性があります。
スモモ〜スモモは桃のうちではない
スモモは、「バラ科サクラ属スモモ亜属のうちのスモモ類(英名プラム)の総称[1]」で、約10種が果樹として栽培されています。一方、モモは同じバラ科ですがモモ属の果実ですので、「スモモは桃のうち」にははいりません。
スモモは(日本)スモモ、西洋スモモ、アメリカスモモと大きく3つに分かれます。私たちが(日本)スモモと呼ぶのは中国が原産の丸い形のもの。モモに比べて酸味が強いことが名前の由来となっているそうです。西洋スモモはプルーンやプラムと呼ばれ、アメリカスモモはソルダムなどと呼ばれて親しまれています。
旬は6月中旬から8月頃ですが、ハウスものは5月頃から、サンルージュなどは10月まで出回ります。
種や未熟な果肉には毒性がある
バラ科サクラ属植物の未熟果実の種子の仁には、アミグダリンという青酸配糖体が含まれています。これは、未熟な果実の果肉や葉、樹皮にも含まれるものです[2]。
犬が種子あるいは未熟な果肉を口にすると、腸の酵素によってアミグダリンが分解され、シアン化水素が発生します。大量摂取による作用に、胃の不快感、嘔吐、頭痛、めまい、神経障害、嗜眠などがあります。
果肉中のアミグダリンは、果実が成熟すると分解されて糖に変わり消滅します。これが一般に「熟した果物を食べましょう」と言われる所以です。一方、種子中の仁のアミグダリンは果肉に比べて高濃度であり、成熟や加工によっても容易に分解してはくれません。
人間だと仁を薬として使用する場合がありますが、犬に適用できるとする根拠は全くありません。
果肉も与えない方が良い
犬がこれらのスモモ(スモモ、プラム、プルーン、ソルダム等)の果肉を誤って少し口にした程度なら、大きな影響はないでしょう。
ただし、これらは飼い主が与えるべきではない果物です。最大の理由は種子の中毒リスクですが、果肉の高糖分や高繊維も、犬に悪影響を与えます。複数個を摂取すると、下痢や嘔吐、食欲減退、ひどい場合は痙攣や鼓腸を引き起こします。
紫色が美しいプルーンですが、ブドウとは異なり、腎不全を引き起こすことはありません。
美味しい果物のおすそ分けをしたいときは、他の安全な果物を選択するか、犬用に加工された健康オヤツを選びましょう。
梅干しはどうか?
犬の食べ物の良い悪いを紹介する本やサイトの中には、梅干しは食べても良いと分類しているものがあります。
梅干しに使われるウメは、バラ科サクラ属の果実です。未熟果実にはアミグダリンが含まれますが、これは加工の過程で分解しています。むしろ心配なのは塩分であり、塩分過多にならない量を与えるぶんには問題はないでしょう。
ただし、疲労回復や免疫力をあげるなどの健康効果を期待するなら、事前に獣医師に確認してから与えることをオススメします。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] スモモとは – コトバンク
[2] 「健康食品」の安全性・有効性情報
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