シニア犬の栄養ニーズ〜食事管理で気をつけるべきこと

食・フード
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愛する犬も年齢を重ねると、みた目や内臓機能に加齢に伴う変化が現れてきます。こうした変化は進行性で前の状態には戻りませんが、生活習慣や食事に配慮することで、進行速度を緩やかにすることもできるのです。

なぜシニア犬の食事に配慮しなければならないのか?

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image by Victor Sounds / Flickr

犬も年齢を重ねると代謝率や内臓機能が低下し、様々な病気が現れるようになります。愛犬をQOLを上げるためには、身体や心の変化を見極め、適切な食事を与えることが大切です。

シニア犬になると、喉の渇きに対する感覚が鈍くなり、飲水量が低下します。腎機能が下がることから、慢性的な脱水症状になりがちです。このほか、持病のための薬剤服用で脱水症状になることもあります。

犬も人間と同じように、筋肉量の減少と体脂肪の増加がみられ、基礎代謝率が下がってきます。このため、1日に必要とするエネルギー量は、維持期に比べて30〜40%減少します。

シニア犬の多くは、歯科疾患という共通の問題を抱えています。食事ポロポロとこぼしたり、食べなくなることもあります。

また、便秘の悩みを抱える犬も多くなります。飲水量や筋肉量、運動量が減少することにより、結腸運動能力が低下するのです。

上記は、シニア犬に一般的にみられるものですが、個々の犬のニーズに合わせることが必要な場合もあります。多くの犬は老化に伴い腎機能が下がるので低タンパク食が推奨されますが、中には運動をしても筋肉量が下がり続ける犬もいて、この場合は筋肉を構築・維持するための高タンパク食が必要になります。ぜひ獣医師に相談して、愛犬に必要な栄養がなんであるかを探ってみてください。

シニア犬と栄養素

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image by Ralf Κλενγελ / Flickr

・エネルギー

犬も加齢に伴い、エネルギー需要が下がります。代謝率が下がり、活動量も減るために、シニアになると太りやすくなってしまうのです。AKCは、「若い犬と同じ体重を維持するために、カロリーを20%カットする必要がある」という研究成果を伝えています。

ただ、「年をとると太りやすくなる」は一側面しか伝えていないことには注意が必要です。シニアがさらに年を重ね”ご長寿”に歩みを進めると、食欲不振や味覚低下、嚥下困難などから体重が減り始めるのです。この段階では嗜好性とカロリー含有量の高い食事が必要です。

シニア犬の必要とするエネルギー量(DER)は[70*(体重kg)^0.75]*MERです。MERは1.1~1.6kcalで個々の活動量などに応じて調節します。

・タンパク質

シニア犬の多くは腎機能が低下するため、過剰なタンパク質の摂取は避けるべきと言われてきました。ただ、最近では「タンパク質は老犬の腎臓に悪影響を及ぼさない」という研究もあるため、過度の制限はやめた方が良いでしょう。とりわけ、腎臓病だとわかっていないシニア犬には、筋肉量を保持し、免疫機能を維持する上で、タンパク質の摂取は必要です。良質なタンパク質が20%〜25%含まれる食事を与えましょう。

・食物繊維

少量の食物繊維(2〜5%程度)は、シニア犬のダイエットや便秘を和らげる助けになってくれます。ただし、超高齢犬には、体重を減らす必要がないことや、繊維によって必須栄養素も減少させてしまうことは覚えておきましょう。セルロース系の繊維は発酵性が悪く、食品中の他の栄養素の消化率を著しく低下させる可能性がるのです。カロリーを希釈するような高濃度(10%ほど)の食物繊維は、避けた方が良いでしょう。

・水分

犬は年齢を重ねるにつれ、より多くの水を必要とします。飲水量が減るうえに、体の中の水分バランスを維持する機能が低下するからです。慢性的な脱水症状は、潜在的疾患を悪化させる可能性があるため、新鮮な水を多く飲ませることが必要です。フードボウルを複数設置することや、カリカリをウェットフードに変えること、カリカリにスープ(あるいは水)を加えるなど、ちょっと一工夫を加えてみましょう。

・ミネラル

ナトリウム:人間は年をとるにつれ、塩分を減らすべきと言われますが、健康なシニア犬についてはそれほど神経質になる必要はありません。それでも過剰な塩分が高血圧につながりますし、高血圧や心臓病、腎臓病の犬は塩分を排泄する能力が低下するため、低ナトリウム食が必要です。塩分が多く含まれるオヤツなどは、与える時は注意が必要ですができるだけ与えない方が良いでしょう。

カルシウム:人間とは異なり、骨粗鬆症に苦しむシニア犬はほとんどいません。カルシウムを過剰に摂取することは、他のミネラルの吸収などに悪影響を与えることがありますので、サプリメントとして与える場合は獣医師に相談してから行いましょう。

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