寒くなり、空気が乾燥してくると、気になるのが風邪のこと。第一三共ヘルスケア社によれば、「風邪(かぜ)とは、ウイルスが上気道(鼻やのど)に感染することで起こる、急性炎症の総称」であり、鼻水や喉の痛み、発熱などの症状はからだの防御反応によるものなのだそうです。
犬も風邪をひくのか
「犬も風邪をひくのか」という質問の答えは、原因に焦点を当てるか、症状に当てるかによって異なるようです。
人間に風邪の症状を引き起こさせるウィルスは(人間という)種に固有のものであり、非常に特殊なケースを除き、犬にその症状を起こさせることはありません[1]。人間の風邪に犬もかかるのか?という意味では、答えはノーであるようです。ただし、犬がインフルエンザに罹患していることからわかるように、ウイルスは絶えず変化をしていることを鑑みると「将来にわたっても絶対にノー」とは言えません。
視点をウィルスではなく症状に移してみると、答えはイエス。ウィルスだけでなくバクテリア(例えば、イヌアデノウイルス2型、イヌ呼吸器コロナウイルス、イヌパラインフルエンザウイルス、およびボルデテラ・ブロンキセプチカ)の影響によって、犬も「人の風邪」と同じような症状を呈します。くしゃみ、うっ血、涙目、咳、鼻水、といった風邪の症状が見られることはかなり一般的です。
「風邪かな?」と思ったら
「風邪をひいたみたい」と思ったら、愛犬の具合がどれほど悪いのかを確認しなければなりません。
涙目で鼻水が出ているけれど、食欲もあり活動的だというのであれば、家で様子を見るということで良いでしょう。栄養のある食餌とたっぷりの水を与えてしっかりと休息させて、愛犬の体がウィルスに勝てるようにお世話をしましょう。目や鼻の周りを中心に、濡れタオルで体を清潔に保つこと。空気清浄機や加湿器を使って、お部屋を快適な状態に保つことも重要です。
具合が悪い犬を回復させる目的で、新しい食餌やサプリメントを試してみようと思うなら、必ず獣医師に相談してからにしましょう。病気の種類やウィルスによっては、良かれと思ったことが’毒’になることもあり得ます。
水や食事を十分に取らない場合や明らかにぐったりしている場合、あるいは軽微であっても気になる症状が1〜2週間続くような場合、また免疫力が十分でない赤ちゃん犬や老犬が調子を崩している場合なら、迷わず獣医師に相談すること。適切な診断や治療、そしてお世話のアドバイスで、愛犬とあなたを苦しい状態からと救ってくれることでしょう。
いわゆる”風邪”とは区別すべき病気
覚えておかなければならないのは、一般的な風邪に似た症状を呈する重い病気があるということ。
ケンネルコフ(犬伝染性器官支炎)の症状は、咳や発熱など人間の風邪と似ています。単独感染では軽い症状の場合が多く1週間から10日前後で回復しますが、重篤な場合は死に至る例も報告されています。「乾いた咳」「雁の鳴き声に似た音」と表現されるように特徴的な咳をした時や、1週間以上咳が続くときは治療を受けた方が良いでしょう。
またウィルス性疾患でも、咳や嘔吐、高熱、目や鼻からの液汁を排出することがあります。犬ジステンバー、結核、アデノウィルス、犬パラインフルエンザも感染する可能性がある病気です。
寄生虫も同じく、呼吸器系に影響を及ぼし風邪のような症状を引き起こします。真菌感染症(クリプトコッカス症)では、寄生虫が肺に住み着くことにより咳を繰り返したり肺組織を傷つけたりすることで肺炎に至り生命を脅かすこともあるそうです。
この他、アレルギーによっても風邪に似た症状が引き起こされることは人間と同じです。環境または食品によって引き起こされるアレルギーは、喘息、咳、くしゃみ、涙目、かゆみなどで愛犬たちを苦しめます。
愛犬にいつでも元気な毎日を過ごさせてあげたいのなら、ウィルスに負けない体づくりと環境づくりを心がけましょう。毎日のお世話の他に、気候の変化によってもお世話の仕方を変えてあげると良いでしょう。寒すぎる日やジメジメした日が続くときは、いつも以上に暖かさや清潔さを保つよう心がけましょう。
人間と同じように、くしゃみや咳でウィルス等が他のペットに伝染することがあります。病気の蔓延を防ぐ為にも、1匹の犬に症状が出ている場合には、他の犬と引き離すことをお勧めします。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Do Dogs Get Colds? Everything You Need to Know | petMD
[2] Your Dog and the Cold Germ | petMD
犬のインフルエンザについて知っておきたい3つ+1つのこと | the WOOF
毎年この時期になると気になるのがインフルエンザの流行のニュース。どんなに注意をしていても感染するときにはしてしまうもので、心配ですよね。 ところで、犬にもインフルエンザがあるのはご存知ですか?昨年、the WOOFでも米国での感染拡大に関するニュースをお伝えしています。/p>