英国でライム病を媒介するマダニが急増、動物由来感染を認識しない犬の飼い主は半数以上(2015年4月)

健康管理
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英国ではこの十年で、ライム病を伝染させるマダニの数が急増しており、獣医はイヌの飼い主に対して、愛犬の健康状態に気を付けるよう呼びかけています。Daily Mail紙が4月22日報じました[1]

この呼びかけのきっかけは、最近行われた調査によるもの。マダニ媒介のライム病が動物由来感染症の一つであり、人の健康にも深刻な事態を引き起こす恐れがあることについて「知らない」と答えた飼い主が54%いたのだそうです。

ライム病ってどんなもの?

ライム病とは細菌性疾患のこと。『犬の医学』(時事通信社)[2]によれば、「野生のげっ歯類、野鳥、鹿などが保菌、感染している最近の一種ボレリア(ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリなど)を、主にマダニなど寄生性吸血昆虫が吸血を通じて消化管内に保菌します。保菌マダニが吸血する際に犬を経皮的に汚染し、経皮的に感染します」という疾患だそう。

人が感染した場合、咬まれてから3〜30日で丸く腫れます。だるさ、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒などインフルエンザに似た症状からスタートし、放っておくと腎臓障害や心疾患を引き起こす恐れがあります。イヌの症状では、発熱、関節炎、リンパ節炎となり、疼痛から歩行困難を引き起こす例もあるそうです。腎炎などを引き起こすこともあり、致死的経過をたどることも。早期発見のうえ、正しい対処療法を行えば、最悪の事態は避けられそうです[2]

英国でマダニが広がっているらしい

University of BristolのRichard Wall教授によると、英国ではこの十年でマダニの広がりが17%増大していると推測されているそう。マダニは春から初夏にかけて繁殖しますが、地球の温暖化や気候変動により、湿気の多い暖冬や真夏にも繁殖が見られ、通常の活動期も拡大していると考えられているとのこと。また、長距離を移動することが多くなった人や家畜に付いて動くマダニが、思わぬところで繁殖を始めるケースも多くみられるといいます。英国の公衆衛生機関(Public Health England)によれば、マダニ媒介ライム病の発生件数も毎年3000件近くになるそうです。

愛犬が咬まれていることに気づかない場合が多いことから、TV番組パーソナリティーのクリス・パッカムさんは”Big Tick Project”を設立、「愛犬をマダニ検診に連れて行こう」と呼びかけています。


マダニは草木の生い茂る野原などに多く発生します。緑の多い公園や川べりなどを散歩したり、キャンプやハイキングをする場合には、長そで、長ズボンといった、日焼け対策と同じような格好で出かけたほうが良さそうです。

外で過ごす機会も増えるこれからのシーズン。思わぬ敵に攻撃されないよう、しっかり準備してお出かけしたいものですね♪ 元気なワンちゃんの飼い主さんは、定期的に検診することも忘れずに!


[1] Dog owners unaware their pets can transmit Lyme disease to them say vets | Daily Mail Online
[2] 田中茂男 津曲茂久 鎌田寛 亘敏広 上地正実(2011)『犬の医学』時事通信社

Featured image using Merkushev Vasiliy‘s illustration via shutterstock

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