犬は、私たちが思うほど、常に飼い主のことを愛してはいないのかもしれません。
最近発表された研究によれば、犬があなたとの時間を好むかどうかは、「時と場所によりけり」だそうです。残念ながら犬たちは、いつでもどこでも100%、あなたが一番なわけではないのです。
犬は飼い主との時間を常に好むわけではない
犬と飼い主が特別な絆で結ばれているのは、飼い主なら皆が”知っている”こと。実際犬は、飼い主が一緒にいるときは、より活発に探索行動に勤しみますし、飼い主の帰宅に際しての歓迎行動は見知らぬ人に対するそれよりも長くなるものです。
とはいえ、犬は常にあなたのことを一番好むわけではないようです。”the Journal of the Experimental Analysis of Behavior”に掲載された論文[1]によれば、犬が見知らぬ人よりあなたを好むかどうかは、コンテクストやタスクに依存する可能性があるのです。リラックスできるお馴染みの場所では、犬は見知らぬ人との交流を好みますが、馴染みのない場所で緊張しているときは、飼い主とくっついて過ごすことを好むことがわかりました。
リラックス時は見知らぬ人との時間を好む
研究を行ったのはフロリダ大学のErica N. Feuerbacher氏と、アリゾナ州立大学のClive Wynne氏です。
人間の嗜好調査では一般的に、(アンケート調査などで)言葉を使って「イチゴとリンゴ、どちらが好きですか?」と尋ねますが、犬の場合は行動で判断するしかありません。今回の実験では、犬が「(2つの選択肢の)どちらを選ぶか」と「どれだけの時間を費やしたか」によって、犬の嗜好が調査されました[2]。
研究の目的は2つあり、一つめは「犬は見知らぬ人より飼い主を好むか」を確認すること、二つめは「犬の好みは、場所や状況により変わる可能性があるか」を確認することでした。
これらを確認するため、実験協力犬となるペットの犬は、実験場所において2つの選択肢が与えられました。一つは「飼い主からと過ごす時間」と、もうひとつは「見知らぬ人と過ごす時間」です。犬に与えられる時間は10分で、この間、犬は自由に動き回ることができますし、人間にナデナデしてもらうことができます。
さらに、二つめの目的である「場所や状況により変わる可能性があるか」を確認するため、実験は2つの異なる場所(大学の構内と犬が住む家)で実施されました。
結果、よく知らない場所(大学の構内)では、犬は飼い主からのナデナデを求めていたことがわかりました。割り当て時間の約80%を、犬は飼い主との時間に振り向けていたのです。一方、自宅で行った実験では、犬の好みは逆転し、見知らぬ人からのナデナデ受けに約70%の時間を割り当てました。
飼い主は常に頼りにされている
犬が、常にあなたとの時間を第一に考えていないからといって、あなたがナンバーワンの座から転落したということではありません。論文の筆頭著者であるFeuerbacher氏は、「ストレスに満ちた馴染みのない状況では、あなた(飼い主)の存在がやはり重要です。あなたは、犬にとってのナンバーワンです」とコメントしています。
私たちが場所や状況によって行動を変えるように、犬も環境によって行動や嗜好、そして物の見方などが変わってくるようです。Julie Hecht氏(今回の研究には関与していない)はScientific Americanの記事の中で「新しい環境や、ストレス下にある状況では、犬は飼い主を探す傾向があります。しかし、(飼い主が一緒にいるなど)リラックスしているときは、見知らぬ人とも交流する傾向がみられます」とコメントしています[3]。
もし、一緒にお出かけしたとき、犬がべったりと”ひっつき虫”になっているのなら、犬はストレスを感じているのかもしれません。逆に、他の人や他の犬と遊び呆けているのなら、その環境において十分にリラックスしているのでしょう。ぜひ、愛犬の様子を観察してみてくださいね。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Kusenbach, M. (2003). Street phenomenology: The go-along as ethnographic research tool. Ethnography, 4(3), 455-485.
[2] Do you believe in dog?: Is Your Dog a Social Butterfly?
[3] Do Dogs Always Prefer Their Owners? – Scientific American Blog Network
Featured image creditSweet Ice Cream Photography/ unsplash
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