イギリスのチェシャー州に住むフラン・ジェニングスさんは、ある朝、愛犬の4歳になるダックスフントが3倍の大きさに膨れ上がっているのを発見しました。
「彼は文字通り風船のようにふくらんでいました」ジェニングスさんはその時の驚きをこう語っています。
「一体、何が起こったのか。さっぱりわかりませんでした」
まるで巨大なオットセイのようになったトレバーを車に乗せ、一家は救急診療を行う動物病院に向かいました。娘のジェシカさんは、「トレバーの身体は丸ぽちゃの太っちょで、どこまでが首でどこから顔かがわからないほどでした」と語っています。
結構な言われようですが、写真を見ると納得です。先に言っておくとトレバーは無事でした。彼の写真を見てちょっと笑ってしまったとしても、自分を責めないでくださいね。
さて、なぜトレバーは一晩でこんなにも大きく”成長”してしまったのでしょうか。
答えは、彼が皮下気腫を起こしていたから。皮下気腫とは皮下組織内に空気がたまった状態で、空気は主に気管や胸腔などの損傷部分から侵入してくるそうです。原因は骨折、交通事故による外傷、挟まれ、胸部の打撲などなどなど。
トレバーのように急激に症状が現れた場合は、手術によって穴を塞ぐ以外の選択肢はありません。小さな犬は膨らみ続け、身体中にたまった空気は心臓を押しあげようとしていました。またX線写真は、肺気腫の兆候を映し出していました。
トレバーは緊急手術にのぞむこととなりました。
幸いなことに、トレバーの気管に空いた穴はすぐに発見され塞がれました。家族には傷の原因となる事故などの記憶はなく、肌にも外傷がみられない状態で穴が速やかに発見されたのは、奇跡と言って良いかもしれません。
”風通しの悪い犬”に戻ったトレバーは、合併症を起こすことなくすぐに回復しました。
「非常に興味深いケースだった」と獣医師が語る珍しい症例でしたが、このことがトレバーの健康に長期的な影響を与えることはないということです。
いきなり大きくなって家族を驚かせた犬は、今ではただの”普通の犬”。以前のように笑顔が戻り、元気に鶏を追いかけたり、ちょっとしたいたずらを仕掛けて家族を驚かせたりしています。
とにかく、普通サイズに戻れて本当によかったね。