いつもはトイレを失敗しない犬が、ある日突然、ベッドの上でオシッコ!飼い主さんは、ショックですよね。
「一体どうして!?」「もしかして病気?」と、不安になるかもしれませんし、愛犬を信じられないと思うかもしれません。そんな時も犬を叱りつけてはいけません。落ち着いて理由を探り、再発防止のためにどうすべきかを考えるしかないのです。
犬がベッドでオシッコをしてしまうのには、どんな理由があるのでしょうか。
理由1:トイレがどこかを理解できていない
犬がまだ子犬で、家での排泄ルールを理解していない場合、混乱してオシッコが間に合わなくなったということが考えられます。子犬は膀胱が小さく、そして未発達なため、成犬のようには排泄を我慢できません。遊び疲れて熟睡し、オシッコをの衝動を我慢できなくなっただけという可能性があります。
子犬、あるいは家のルールを理解できていない場合は、オシッコをしてはならない場所へのアクセスを全て遮断しましょう。トイレと決めた場所だけで排泄する習慣をつけることで、不慮の事故を防ぐことができます。
理由2:マーキングをしている
認めたくはありませんが、犬は何をしているかを自覚して、ベッドでオシッコをすることがあります。マーキングです。犬が「この場所は自分のもので、自分が保護し守っていく」とメッセージを発するために、ベッドにオシッコをするのです。マーキングは6ヶ月齢から1歳のどこかで始まり、身体が成熟すると頻度が高くなります。3ヶ月齢以下の犬の場合はマーキングではなく[1]、他の病気の可能性があります。
理由3:ホルモン反応性尿失禁
ホルモン反応性尿失禁は、「血中のエストロゲンやテス トステロンの濃度の低下に起因する,尿道括約筋の緊張 低下による不随意の排尿を起こす状態[2]」であり、メス犬が避妊手術後に尿道括約筋機能不全による失禁が多く報告されています。正確なメカニズムは十分に理解されていませんが、エストロゲン欠乏やホルモンの慢性的な上昇などが原因と考えられます。
多くは、年齢が上がって筋肉が弱くなることにより引き起こされますが、若い犬も影響を受けることがあります。薬により改善できることもあるので、獣医師に相談をしましょう。オスも去勢により膀胱の括約筋が弱くなることもありますが、非常に稀です。これも薬による改善が期待できます。
理由4:不安や恐怖を感じている
ひどい不安に襲われたり、恐怖を感じた犬は、ベッドでオシッコする可能性があります。神経質になった犬は不安を感じると、あなたの匂いが溢れるベッドに向かい、そこでオシッコをしてしまうのです。雷や花火のタイミングでオシッコの失敗がみられるなら、不安が失禁を引き起こしていることが考えられます。
理由5:医療上の理由
尿路感染症、膀胱結石、異所性尿管、および脳または脊髄の疾患が失禁を引き起こす場合があります。これらは、膀胱の括約筋の神経と脳の通信が中断されることによって起こると言われています。
また、糖尿病、腎臓病、クッシング病などにより飲む水の量が増えることで、頻尿やオシッコの失敗が増えることがあります。これらは、特定の薬物により改善することが期待できます。
理由6:高齢化による括約筋の緩み
健康な犬は、尿を膀胱でためておき、膀胱の容量がいっぱいになると、膀胱壁の筋肉収縮が誘発され括約筋を緩めて尿を流出させます。犬も高齢になると括約筋が弱くなり、より弛緩しやすくなるために尿の流出が抑えられなくなります。これは、犬と私たちが慰め合うことのできる共通のお悩みです。獣医師に相談して対策を考えましょう。
どんな理由であれ、ベッドでのオシッコが頻発するようであれば、獣医師に相談して健康に問題がないかを一度チェックしてもらいましょう。トレーニングや投薬治療、オムツ対策をとるなど、できる治療や工夫はたくさんあります。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Urine Marking in Dogs: Why do Dogs Urinate to Mark Territory?
[2] 浅井雄飛, 西島典子, 松田奈穂子, 片山泰章, 岡村泰彦, & 宇塚雄次. (2013). 経口エストラジオール製剤が著効を示したホルモン反応性尿失禁の犬の 1 例. 日本獣医師会雑誌, 66(5), 325-329.
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