コーヒー、ソーダ、紅茶や緑茶。カフェインを含む飲み物は、私たちに覚醒やスッキリとした感じをもたらしてくれます。

犬にとってはどうでしょう。カフェインは犬にも人と同様の作用をもたらします。ただし彼らの体は私たちに比べて小さいうえ、飲み慣れていないため耐性ができていません。そのため劇的に身体に影響してしまうのです。

カフェインとその作用

カフェインとは、アルカロイドという化合物の仲間のこと。飲んでおよそ20〜30分で血流に乗り、全身を巡ります。

カフェインの大きな特徴は、他の多くの化学物質とは異なり脳に作用するという点です。脳において興奮をおさえるアデノシンと拮抗（二つの要因が同時に働いて，互いにその効果を打ち消し合う作用）することで、覚醒作用や解熱鎮痛作用、強心作用および利尿作用を示すと考えられています。

カフェインは、コーヒー、お茶、ココア、栄養ドリンク、エナジードリンクといったドリンク類のほか、チョコレートや眠気防止のガム、風邪薬や鎮痛剤、強心剤などにも含まれます。

飲料100mlあたりに含まれるカフェイン量は、玉露で約160mg、コーヒーで約60mg、紅茶で約30mgです[3]。

犬が摂取したらどうなるの？

犬がカフェインを摂取した場合、およそ30分から1時間で中毒症状があらわれ、（摂取量にもよりますが）臨床徴候が6〜12時間続くこともあります。

中毒症状は、犬の大きさとカフェイン量に依存すると言われます。小さな犬では少量でも死に至る危険があります。

PetMDには、心臓に悪影響を及ぼす毒性を0.45kgあたり23-27mgとしています。単純に10倍すると、4.5kgの犬なら230-270mlという計算になります（この量までなら大丈夫という意味ではありません。少量でも影響はあります）。
カフェイン中毒では、以下のような症状がみられます。急速で不規則な心拍がみられたら、かなり（死に至る可能性がある）危険な状態です。

• 多動、興奮、頭をブルブル振る
• パンティング、喘ぎ
• 心拍数、血圧の上昇
• 振戦、発作

犬が摂取したら、どうしたらいいの？

カフェインを摂取したことが明らかな場合は、症状がない場合でもすぐに病院へ連れて行きましょう。どのくらい迅速に連れて行くかによって、その後の治療も回復の可能性も大きく変わります。

カフェイン中毒の解毒剤はありません。よって影響を取り除くためには一般的に、嘔吐を誘発する方法がとられます。ただし家庭で嘔吐を誘発しようとするのは、誤嚥性肺炎（細菌を気道に誤って吸引することにより発症する肺炎）につながるおそれもあり危険です。動物病院では様々なリスクをコントロールしながら、脱水症状や他の症状を抑えるなどの適切な治療が選択されます。正しい治療を迅速におこなえば、ほとんどの犬は回復し、予後もおおむね順調ですから、迷わず動物病院に向かいましょう。

カフェイン中毒にさせないために

カフェインを含む食べ物や飲み物を、肉球の届かないところに置く（仕舞う）習慣をつけましょう。

デカフェ（decaf、カフェインを含んでいないもの）は安全ですが、犬が匂いに興味を持つことがないように、与えないようにした方が懸命です。

このほか、人間の食べ物のおすそ分けや、人間用薬を自己判断で処方することは避けなければなりません。鎮痛剤や総合感冒薬、咳止め薬にはカフェインが含まれています。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Caffeine Poisoning in Dogs and Cats – Symptoms and Treatment
[2] Caffeine Toxicity in Pets | VCA Animal Hospital
[3] カフェインが気になる　コーヒーは1日何杯までOK？｜ヘルスＵＰ｜NIKKEI STYLE

Featured image creditChris Acos/ Flickr

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