ビタミンやカルシウム、繊維も豊富なナッツ類。含まれる脂質も体にいいものが多く、美容感度の高い女性(人間)に人気の食べ物です。
しかし犬にとっては、ナッツ類は避けるべき食べ物です。全てが健康に害を及ぼすものではありませんが、与える場合には特別な注意が必要なので、わざわざ与える必要はありません。
ナッツ類全般に関するリスクと注意
ナッツ類はマメ科に属する植物です。非常に少量を、塩分や味付けなどの加工なく与えるぶんには問題ないとされています[1]。 例えば、コロコロと転がり落ちたナッツ類を犬が拾って食べた程度なら、それほど心配することはないでしょう。
しかし、定期的に食べさせるのはNGです。ナッツ類は脂肪がギュっと詰まっている食べ物です。高脂肪分は犬に嘔吐や下痢を引き起こす恐れがありますし、肥満や膵臓の問題にも繋がります。
ナッツ類には、犬に健康上の悪影響を及ぼす毒素は含まれていません。しかし、大きさと硬さによっては、消化管を通過する際に組織を傷つける恐れがあることは覚えておきましょう。
市販のナッツ類には、塩分や添加物などが含まれている可能性があります。ピーナッツバターについても、最近の製品にはキシリトールが使用されていることがあるので、与えない方が無難です。
それぞれのナッツに関するリスクと注意
・ピーナッツ
殻が取り除かれた無塩のピーナッツは犬が食べても問題はありません。人間のようなひどいアレルギー反応の報告はないようですが、アレルギーは存在します。
ピーナッツバターは、含有物に犬に有毒のものが含まれていなければ、大丈夫です。しかし、安全とはいえないので、積極的に与える必要はありません。
・カシューナッツ
蒸したり炒ったものであれば、犬への毒性は含まれておらず、少量を食べても大きな問題は起こりません。アレルギー反応を起こす可能性は比較的低いと言われていますが、あなたの犬が該当しないとは限りません。高脂肪、高タンパクのため、大量に摂取すると膵炎を起こす危険があります。生のカシューナッツにウルシオールという毒物を含んでいるので、与えてはなりません。
・ヘーゼルナッツ
ヘーゼルナッツには毒性がなく、少量を食べても問題はありません。しかし、粒が大きく、窒息や腸閉塞のリスクが高いので、そのまま与えるのはNGです。
・クルミ(ウォルナット)
非常に消化に悪い食べ物です。噛む習慣のない犬には、危険な食べ物と言えます。脂肪分が多いのも問題です。生のクルミには、毒素も含まれています。
見栄えが似ているピーカンナッツも犬にはNG。グロンが含まれています。胃腸の不調や閉塞を引き起こすことがあります。
・アーモンド
毒性はありませんが、犬はアーモンドをうまく消化できないため、口にすると胃腸に不快な症状を引き起こす恐れがあります。もちろん、窒息や閉塞などの危険もあります。
・マカデミアナッツ
絶対に与えてはダメなのが、マカデミアナッツです。脂肪が多く、重度の胃炎や膵炎を引き起こす恐れがあります。恐ろしいのは、神経学的症状を引き起こす毒性があると言われているものの、それが何であるかがまだわかっていないことです。震え、めまい、一時的な麻痺などが起きる恐れがあります。
・ピスタチオ
有毒ではありませんが、脂肪が豊富で、喉や腹に詰まらせる恐れがあります。消化不良や膵炎を引き起こす可能性もあります。
ナッツ類を食べさせる利点はあるの?
ナッツ類は脂質が多いのですが、その内容はオメガ3脂肪酸であることから、良い脂質とタンパク質の供給源になることも事実です(だから食事制限をするモデルさんが推奨するのですね!)。
栄養上の利点がないとは言えませんが、それ以上にリスクが大きいため、「ナッツは食べさせるべきではない」という意見が一般的になるのです。栄養を加えたいのなら、他の食べ物やサプリメントで摂取する方がよっぽど安全だからです。
しかし、なんらかの理由でどうしても、何がなんでも与えたいというのなら、まずは担当獣医師に相談することです。そして与える際にはすりこぎなどで細かくすり潰し、ほんの少量をほんの時々与えるようにしましょう。
すべてのナッツが犬の健康を害する訳ではありませんが、健康を考えるなら別の食品(オヤツやサプリメント)を選択した方が良いでしょう。愛犬をナッツ類から引き離しが方が、はるかに安全です。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Can Dogs Eat Nuts? – American Kennel Club
犬の歯に良くないオヤツ〜折れたり欠けたり削れたり | the WOOF イヌメディア
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