なぜ犬は遠吠えをするのか?

生態・行動
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「おおぉ〜ん」と遠吠えする飼い犬は、それほど多くはありません。飼いならされた犬の多くは、野生の犬より多く吠え、遠吠えはずっと少ないのです。

遠吠えする犬ってどんな犬?

どんな品種の犬も遠吠えすることはできますが、遠吠えが多い品種は確かに存在します。dogster.comは遠吠えする犬としてアメリカン・エスキモードッグ、ハスキー(シベリアン/アラスカン)、ビーグル、クーンハウンド、ダックスフント、フォックスハウンド、ハウンド(バセット/ブラッド)などを挙げています。

彼らに流れる血が遠吠えをさせると考える人は少なくありません。品種の中でオオカミに近いDNAをもつ犬は、オオカミと同様の理由で遠吠えすると考えられます。また、「知らせること」を仕事に含められている猟犬は、遠くまで聞こえるような鳴き声をあげます。ビーグルやダックスフントが身体に似合わぬ響く低音の声を響かせるのは、長年続けられてきた繁殖の賜物と言われます。

オオカミはなぜ遠吠えするのか?

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image by Jessica Arends / unsplash

犬が遠吠えする理由を見る前に、犬たちの祖先と言われるオオカミにとっての遠吠えの役割を確認しておきましょう。

オオカミにとっての遠吠えには、群れを集める役割と、群れへの帰属を確認する役割があります。狩の前に散り散りになった仲間を集めるために「みんな集まって〜。狩りの時間だよ〜」とお知らせする役割がまず一つ。もう一つは、「このチームに所属しているぞ〜」「みんなと交流したいよ〜」などと社会的つながりを確認したり求める役割があります[1]

犬はなぜ遠吠えをするのか?

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image by Matt Elsberry / Flickr

では、犬はなぜ遠吠えをするのでしょうか?進化生物学の名誉教授であるベコフ教授は、「結論からいえば、なぜだかはわからない[2]」と言います。

実際、犬の遠吠えに関する研究は少なく、詳しいことはよくわかっていないとのこと。飼い犬の遠吠えは少なく、野生の犬の遠吠えは「追いかけることが困難」なため、研究に利用可能なデータが不足しています。

飼い犬では、仲間を集めて狩をする必要がないので、集合を促す遠吠えは必要ありません。現代の飼い犬がする遠吠えは、ほとんどが社会的な役割を果たす目的でするものと考えられています。

ですので、現在のところ犬の遠吠えの理由は、オオカミの行動からの推察でしかないといえます。現代の飼い犬は狩のために仲間を集める必要はないので、主に社会的な目的で行われると考えられています。

  • 「寂しいよ」「誰かいないの〜?」と仲間を求めるため
  • 「俺の縄張りだ〜」と主張するため
  • 仲間に「お仲間のあなた〜、聞こえてますよ〜」と返答するため
  • 「僕はここにいるよ!」と自らの存在を主張するため
  • 「獲物を発見したよ〜」と知らせるため
  • 「痛いよぉ〜」と知らせるため

これらに加え、単に楽しんでいるだけという意見もあります。ステレオから流れる”Let it go”や救急車のサイレン、そして飼い主の歌声に合わせて合唱する犬は、楽しさを追求しているようにも見えます。前出のベコフ博士は「犬はもしかしたら、ただ楽しむために遠吠えしているのかもしれないね」とコメントしています。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] A-oooooo! Why Do Dogs Howl? | CanineJournal.com
[2] What Dogs Are Saying When They Howl | petMD

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