吠える、叫ぶ、クンクン鳴く〜犬の発声を5つに分類

生態・行動
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動物がどのくらいの異なる声や音を出すのかを、正確に知ることは不可能です。オオカミのような声をだす犬もいれば、カナリアのように甲高い声で鳴く犬もいます。犬はさまざまな理由で声を出し、目的によって異なる声を使い分けます。

声によるコミュニケーション

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image by CatDot / Shutterstock

コミュニケーション(生物学)とは「動物どうしの間で行われる、身振りや音声などによる情報伝達[1]」のこと。犬のコミュニケーションには、視覚、聴覚、嗅覚によるものがあるというのは皆さんご存知のとおりです。犬たちは視線、表情、発声、身体姿勢(身体と手足の動きを含む)、味覚コミュニケーション(香り、フェロモン、味覚)という”コミュニケーション・ツール”を単独で、または組み合わせることで、情報を伝達します。

社会的な動物種はそうでない種に比べ、”やかましい”ことが知られています。社会的なオオカミを祖先にもつ犬も、広い発生範囲を持っています。そして、クンクン鳴き(Whimper)、鳴き声(Whine、哀れっぽい声)、吠え声(Bark)、唸り声(Growl)、遠吠え(Howl)、追い鳴き(Baying)、キャンキャン声(Yelp, Yip)などと表現され、区別されています。

犬たちは通常これらの声を、恐怖や興奮への反応として、意図的でなく使います。しかしときには学習によって、声の使いわけをすることがあります。例えば「クゥーンクン」と発声したらオヤツがもらえたということを学習し、次に活かすというわけです。犬がオヤツを食べたい時に「クゥン」と鳴くのは、学習の成果というわけですね。

子犬はいつから鳴くか、なぜ鳴くか

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image by Oksana Volina / Shutterstock

生まれたばかりの子犬の場合は「本能」により鳴き声をあげます。

犬は産まれてすぐに「ブーブー」などの発声ができます。小さな口をいっぱいに開け、最初の叫び声をあげたあとは、何かが足りなかったり不快な状態になると声をあげて訴えます。子犬は母犬が容易に理解できるサインが鳴き声であることを本能として知っており、子犬は母親の注意を引くために高音の鳴き声をあげます

子犬たちは成長につれ、様々な鳴き声を出せるようになります。脳の発達と親や兄弟姉妹犬たちとの交流により、より多くの感情を表現する能力が向上します。

犬の発声の分類

1. 鳴き声(Whine)

日本語だと「むずかる」とか「哀れっぽく泣く」といったところでしょうか。口が閉じた状態でしばしば鼻で発音される高音の発声です。恐怖や服従、興奮や痛みを表すと言われます。人間による強化の副産物だと言われることもあり、何かが欲しいとき、外に出たいなどストレスを感じている時にこの声が聞かれます。

2. 吠え声(Bark)

オオカミはひっきりなしに吠え声をあげる印象がありますが、警告などの必要な時にのみ吠えるため、あまり多くは聞かれません。むしろ家畜化された犬に一般的です。選択的繁殖により番犬としての能力を高めてきた犬に特に顕著にみられます。
犬の意図するところの違いにより、声のトーンは変わると言われます。高い吠え声は挨拶のため、わめくような長い吠え声は痛みや苦痛のため、深みのある低い声は警告の意味合いだと解釈されています。

3. 遠吠え(Howl)・追い鳴き(Baying)

オオカミが使うのは”吠え”ではなく遠吠えです。個々のオオカミの遠吠えには特徴があり、私たちが声により誰かを区別するように、オオカミも誰が遠吠えしているかを区別できます。仲間の呼び戻しやテリトリーの確認、あるいはお祝いなどの時に1匹で、あるいは仲間と一緒に遠吠えをします。

犬はオオカミほど遠吠えをすることはありません。しかし、シベリアン・ハスキーやアラスカン・マラミュートなどは遠吠えをします。長い留守番の時は孤独を表し仲間を呼ぶために、他の犬の遠吠えや人間の歌が聞こえてきたらそれに参加するために、犬たちはおぉおーんと遠吠えをします。

遠吠えに似た声に「追い鳴き(Baying)があります。獲物を追っている猟犬が獲物の匂いを見つけたと思った時にする吠え方です。研究によれば、追い鳴きには遠吠えより様々な音程が含まれており、音程の長さも異なるそうです。遠吠えに熱意と興奮が加わったもののようなイメージだということです[2]

4. 唸り声(Growl)

唸り声は一般的に、脅威と敵対の態度を示すものです。歯を見せながらの低い唸り声は、「それ以上近づいたら痛い目みるぞ」という警告のメッセージです。フードボウルに近づいた時に唸る犬は「離れて!」と言いたいのでしょう。相手からの服従を求める時にも使われると言われるため、飼い主に向けて唸り声をあげた時は要注意。しつけ教室に電話をすべきか検討を始めても良いかもしれません。

5. クンクン鳴き(Whimper)とキャンキャン声(Yelp, Yip)

痛みを感じていることを表現しています。犬友にガブリとやられちゃった時、「痛すぎるよ」と相手に伝えるために使われます。留守番のあとのお出迎えで使われる時は、興奮が強いことを示しています。多くは発声のほか、舐め、ジャンプ、吠えなどを伴います。


過度の吠えや鳴きは問題ではありますが、犬にもそうせざるを得ない理由があるのです。叱りつけるのは解決にはならず、むしろ事態を悪化させることになりかねません。発声の原因を探り、問題の解消策を考えましょう。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] デジタル大辞泉
[2] スタンレー・コレン『犬と人の生物学: 夢・うつ病・音楽・超能力』 (2014) 築地書館

Featured image credit zEdward_Indy / Shutterstock

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