犬の正常な歩行について学ぶことは、問題の早期発見に大きく役立ちます。歩行の問題は小さく始まり、日々の生活の中でどんどん悪化していくので、変化に敏感になることは大切です。
愛犬の歩きを観察しよう
犬の歩き方は一般的に、常足(ウォーク)、側対歩(ペイス)、速足(トロット)、駈足(キャンター)、襲歩(ギャロップ)等に分類されます。
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しかし実際には、品種、生活環境、健康状態、地形、情緒の状態、疲労の程度などが影響し、歩き方はそれぞれに異なります。たとえばブルドッグには正常な歩き方でも、チワワなら”異常”と診断されることがあるなど、ある品種の正常が、別の品種には異常となることもあるのです。
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愛犬が正しく歩けているかの確認は、獣医師に確認してもらいましょう。骨や関節の状態に問題がなく、大きな健康問題を抱えていないなら、その状態の歩き方を記録しておくと良いでしょう(連続写真や動画を撮影するとより良いですね!)。健康問題を抱えているコは、そのときの状態を記録しておくと、治りつつあるか悪化しているか、見当をつけることができます。
犬の歩き方は、非常に単純な理由から生じていることもありますが、外傷や脊髄感染、中枢神経系、筋骨格系、さらには癌などの重大な病気から生じることもあるものです。歩き方という犬からのメッセージを受け止め、病気などの早期発見に繋げましょう。
犬の”おかしな”歩き方
PetMDには、痛みや異常がある場合の症状の現れ方がまとめられています。
- 片方の前脚に異常がある場合:異常がある方の脚が地面につくときに頭と首が上がり、問題ない方の脚が地面につくときに頭と首が下がる
- 片方の後脚に異常がある場合:問題のある脚に体重がかかると骨盤が落ち、体重負担がなくなると骨盤が上がる
- 両方の後脚に異常がある場合:前肢に体重がかかるため、身体の前部分を低く下げる
- 激しい活動の後には症状が強くでるが、休息すると緩和することがある
歩行の異常とは、以下のような状態をいいます。
- 動作範囲の減少
- 筋肉量の減少(筋萎縮)
- 立ち姿勢、起立姿勢、横臥姿勢、または座っているときの異常な姿勢(背中が大きなアーチを描く、頭と首を下げる、体重を前後にシフト)
- 歩いたり、歩いたり、階段を上ったり、フィギュア・エイトをするときに異常な歩行(歩けない、足を引きずる、四肢の動作の不一致、フラフラする、歩行時に足を伸ばせない、歩幅が小さい)
- 神経系の徴候 – 混乱、震えなど(衝突する、麻痺、つまずく、足踏み)
- 骨および/または関節のサイズ、形状が異常である可能性があります
- 関節から音がする
犬の異常歩行の診断
犬の現在の状態(歩行の状態、他の健康の状態)と病歴、最近の生活(外傷はあるか、旅行歴、環境に変化があったかなど)は、獣医師の診断におおいに役立ちます。
歩行の異常には、非常に多くの原因が考えられます。整形外科的な問題以外の病気の可能性をみるために尿検査、血液検査、血清検査、生検、EMG、X線、脊髄造影、超音波、内視鏡検査、CTスキャン、MRIなどが行われることがあります。
犬の異常歩行の治療
治療は根本的な原因に依存しますので、ここでは簡単な説明にとどめます。
肥満の場合は、食事のコントロールをする必要があります。
筋肉や神経の炎症には、体液投与、体内冷却、および休息などの支持療法のほか、鎮痛剤やステロイドなどが処方されることがあります。
細菌性、ウイルス性、寄生虫性の感染症の場合は、適切な投薬で治療することができます。
関節に問題が生じている場合、鎮痛剤や抗炎症薬による治療が行われますが、神経学的徴候がひどい場合や薬物が助けにならない場合は手術が選択されることもあります。
犬の元気な歩行を守るために
どの犬も、健康体重を維持するようにしましょう。体重が増えるとそれを支える脚に大きな負担がかかります。
骨や関節の病気を患う傾向のある犬種があります。犬種なりの特性やなりやすい病気について学んでおき、身体を痛めにくい生活環境を整えるようにしましょう。
激しすぎるドッグスポーツは、身体を痛める原因になります。運動の内容とスケジュールのコントロールをして、選手生命を長く保つようにしましょう。
繰り返しになりますが、愛犬をよく観察し、犬が発するサインに敏感になりましょう。「おかしいな」と思ったら早めに獣医師の診断を受けることです。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Abnormal Gait in Dogs – Symptoms, Causes, Diagnosis, Treatment, Recovery, Management, Cost
[2] Lameness in Dogs | petMD
Featured image creditGrisha Bruev/ shutterstock