ワンちゃんのかかる恐ろしい病気、「アラバマ・ロット(Alabama Rot)」が今、イギリスで猛威をふるっています。2012年に初めて感染が確認されて以来、46匹がこの病気により死亡したということです。
アラバマ・ロットとは、特発性腎性糸球体血管症(diopathic renal glomerular vasculopathy)の通称で、1980年代、米国で初めて報告されました。当初は稀な大腸菌が原因だと考えられていましたが、いまだに明確なところは分かっていません。また、グレイハウンドだけに見られる病気とされていましたが、犬種を超えて広がっています。
2012年11月1日から2014年3月31日までに獣医が診療した、原因不明とされた症例53件を専門家が調べたところ、30件がアラバマ・ロットに感染していると推定され、うち24匹が死亡しています。感染が疑われた種類は、スプリンガースパニエル、レトリバー、ウィペット、ジャックラッセルテリアなど。その後、2015年3月まで、さらに22匹が死亡したそうです。
感染が発見されたケースはイギリスの北部および南部と散在しています。10匹は皮膚病変を発症する直前にニューフォレスト国立公園に行ったという共通点が見つかり、コーンウォール、サリー、ノッティンガムシャーなど森林部周辺でも感染が多く確認されていることで、森林委員会(Forestry Commission England)はニューフォレストの飼い主に対し警告を発令しました。しかし後に「感染源は特定されていない」として警告は解除されました。
感染すると足、胸、腹部に皮膚病変がみられ、その範囲が広がっていくとのこと。さらに腎臓、あるいは肝臓が冒され、嘔吐、食欲不振、倦怠などの症状が現れ、最終的には命を落とすケースが多くあるそうです[1]。獣医は、「原因は食べ物なのか、環境なのか分からない。検診の方法も無いが、皮膚症状が認められたら、すぐ診察を受けさせてほしい」と呼びかけています。
感染経路も、感染源も不明。いつ日本にやってくるか分からず、人ごととは言っていられません。皮膚に異変がみられるなど体調がすぐれないようでしたら、すぐ獣医さんに相談しましょう。いつも様子をみている飼い主さんだけが、ワンちゃんを守ってあげられるのですから。
h/t to Telegraph | Mystery dog-killing disease is Alabama Rot, say vets
[1] Forestry Commission England | Alabama Rot
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