犬の糖尿病を引き起こす原因の詳細が画像によって明らかに〜米研究チーム
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ペンシルバニア大学などの研究チームはこのほど、画像技術を用いて、これまでには殆ど理解されてこなかったイヌの糖尿病を引き起こす原因の詳細を明らかにしました。
イヌの糖尿病は殆ど(70~80%)、膵臓から送られるインスリンが不足して引き起こされる「インスリン依存型糖尿病」です。これは、人の1型糖尿病と類似しますが、人の1型糖尿病の発症が子どもや若い人に多いことに対して、イヌは中高年に多く見られるということです。
インスリン分泌に関わる器官が膵臓ですが、その内部には島の形で散在するランゲルハンス島があり、α細胞、β細胞、σ細胞など5つの細胞、血管で構成されています。インスリンはβ細胞から分泌されますが、何らかの障害が起こり、インスリンが十分に分泌されなくなり発症するのがインスリン依存型糖尿病です。
研究チームはイヌの糖尿病要因を探るため、ペンシルバニアのライアン動物病院で治療を受け、後に死亡したイヌの膵臓の組織検体(40頭のうち23頭は糖尿病)を調べました。
組織の画像を撮り、ランゲルハンス島をコンピュータで分析したところ、糖尿病を発症したイヌの検体では、β細胞が急激に減少していることが分かりました。糖尿病を発症しなかったイヌの検体と比べ、13倍も減っていたそうです。
人の1型糖尿病は、自己免疫反応によるβ細胞破壊によるものと考えられ、今回の研究で、免疫細胞の膵臓への侵入とβ細胞攻撃を可視化しようと試みましたが、これには失敗しました。
イヌのβ細胞は人と同じように、ランゲルハンス島に広く分布していますが、げっ歯類では、ランゲルハンス島中央に密集しているそうです。
研究チームは今後、イヌの糖尿病発症の仕組みを探るとともに、発症リスクを高める遺伝子マーカーを探す研究に取り組んでいくということです。
論文および画像等はPLOS ONEで確認できます。
h/t to Penn News | Penn/Baylor Med Study Describes Underlying Cause of Diabetes in Dogs
Featured image by Anna Hoychuk / Shutterstock