動物由来感染症をご存知ですか?
動物由来感染症とは、動物から人に感染する病気の総称です(厚生労働省)。日本では「人獣共通感染症」や「人と動物の共通感染症」という言葉が使われることもあるようですが、厚生労働省では人の健康問題という視点に立って「動物由来感染症」という言葉を使っているとのことです。the WOOFも読者のみなさまの検索しやすさなどを考えて、この「動物由来感染症」という言葉を使おうと思います。
最近、この動物由来感染症が、少しずつではありますが話題にされるようになってきていますよね。医療診断技術の進歩によりペットから人に感染する疾患が多く発見されるようなってきた、ということが背景にあるのかもしれません。
厚生労働省から動物由来感染症ハンドブック(全体版) [8,547KB] (2015年3月13日)も出ています。内容充実のうえ、挿絵がかわい〜です。ぜひご覧になってください。
さてさて、動物由来感染症が注目されているのは日本だけではありません。ここでは、ScienceDaily[1]を参考に、動物由来感染症についてのオハイオ州立大学からのアドバイスをご紹介させていただきます。
オハイオ州立大学などの研究チームは、世界で行われた500件以上の研究データをまとめ、動物由来感染症リスクの防ぎ方、ペットの飼い方などについて幾つかのアドバイスを行いました[2]。
ペットからもらう疾患約20種の中で、多いのがサルモネラ菌感染、大腸菌感染、寄生虫だと、オハイオ州立大学家畜予防医学、Jason Stull教授は説明しています。
ペットと言っても、犬、ネコ、げっ歯類、爬虫類、トリ、魚など、生物によってうつる疾患タイプもタイミングも様々だということです。そのため、ペットを選ぶ際は医師や獣医に相談し、安全で最適な動物の選び方を教えてもらうよう勧めています。
また、患者、医師、獣医が一堂に会し、人畜共通疾患について話し合う機会は殆どないことから、リスク予防のため、意見交換が重要であることも忠告しました。感染は、ペットの糞、唾液、皮膚から起こることが多く、例えば、カメ、ヘビ、カエルなどの爬虫類、両生類は消化器官にサルモネラ菌を持っています。また、犬をペットにする場合、子犬は成犬にない生物を持っている可能性が大きく、何らかの病気に罹り免疫機能が低下している家族がいるなら、成犬を飼うべきとしています。
この他、注意すべき点として次のような項目を挙げています:
- 水槽、ケージの清掃、糞の始末の際には、必ず手袋をすること
- ペットに触れた後は、必ず手を洗うこと。なるべくペットに口をなめられないように
- ペットのケージ、寝床、餌をあげる場所は定期的に掃除すること
- リッターボックスは、キッチンから離れた場所に設置
- ペットには定期健診を受けさせる
ワンコさんからキスされちゃうと嬉しいものですが、そうはいってもやっぱり危険・・・。病気になるのはワンコさんも人間もつらいものですから、いつも元気に過ごせるよう、ワンコのケアは万全にしたいものです。
[1] Ohio State University. (2015, April 20). Ways to avoid catching diseases from pets. ScienceDaily. Retrieved May 9, 2015 from www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150420122543.htm
[2] New study suggests ways to avoid catching diseases from pets | News Room – The Ohio State University
Featured image is originally from Ministry of Health Labour and Welfare | 動物由来感染症(厚生労働省)(動物由来感染症啓発のためのポスターをもとにthe WOOF作成)