サウジアラビア北西部で、世界でもっとも古いと目される犬の絵画が発見されました。アラビア砂漠の2つの岩に描かれた13匹の犬は、人に飼い慣らされている様子で、中にはリードで繋がれているものもあります。
2つの岩石に彫り込まれた絵画は、8000年以上前のものとみられています。発見した研究チームは、これまでで最も古い犬の絵であると考えていますが、他の研究者からの同意はまだ得られていません。
ロックアートには、狩猟する人間と犬の様子が描かれています。隣に描かれた人間絵との対比から、犬はは短い鼻、尖った耳、ギザギザでカールした尾っぽをもつ中型犬であると推測されています。それらの特徴は、犬はイスラエル原産のカナーン・ドッグに似ています。
ロープのようなもので人間の腰に繋がれた犬や、弓を引く人間に寄り添う犬の描写から、犬が人間と関係を築いている事が伺えます。
問題はこれがいつ描かれたかという事です。研究チームのGuagnin氏によれば、「直接的に(彫られた)年代を測定する信頼できる方法はない」のだそう。研究者らは、周辺の岩石の年代と、彫刻の描写の内容分析から年代を推定したそうです。岩には羊と牛が描かれていることから、この地域で牧畜が始まったとされる紀元前6世紀ごろが控えめな見積もりです。しかしGuagnin氏は、これらの岩絵は紀元前9世紀半〜8世紀ごろに刻まれたのではないかと推測しています。
現在のところ、他の研究者らはこの推測に同意はしていません。研究チームに参加していないスミソニアン博物館のZeder博士は、紀元前5世紀ごろのものという考えをScienceに語っています。
現時点での”世界で最も古い犬の絵”は、8000年前のものとされるイランの陶器の犬の絵です。その前となると、エジプトの壁画に描かれた犬で、5500年前のものです。「少なくとも8000年前のもの」という研究チームの主張が認められれば、”世界で最も古い犬の絵”は、リードで繋がれたこの犬たちとなります。
仮に、絵画が推測ほど古いものでなかったとしても、アラビア半島での犬と人との絆を示す貴重な資料になることは間違いありません。また、古代の犬が狩猟において人間を支援する役割を担っていた重要な証拠にもなります。
そして、リードで結ばれる犬と人の絵画としては、間違いなく最古のものになるでしょう。彼らがリードを使う理由は私たちと異なるのでしょうが、犬を「繋ぎ止めたい」という気持ちは同じだったのではないかと想像できます。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Guagnin, M., Perri, A. R., & Petraglia, M. D. (2017). Pre-Neolithic evidence for dog-assisted hunting strategies in Arabia. Journal of Anthropological Archaeology. http://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jaa.2017.10.003
[2] These may be the world’s first images of dogs—and they’re wearing leashes | Science | AAAS
[3] Are These the Oldest Images of Dogs?
イヌ科の新種が発見された!?〜アフリカ在住のキンイロジャッカルは他地域のキンイロジャッカルと別種らしい | the WOOF イヌメディア
イヌ属に新たな仲間(種)が誕生したのかも。 といっても、「同じだと思われていたのが別種でした」という意味での新種発見なのだそう。ちなみにアフリカでイヌ科の新種が見つかったのは150年ぶりとのことで、これはもう一大発見です。