あなたの犬は、黄色や緑の泡のようなものを吐いたことはありませんか?なにこの色!とびっくりしますよね。
これは、空腹時間が長いなどで胆汁が逆流する胆汁嘔吐症候群だと考えられます。通常これは特に深刻な問題ではありませんが、胆汁を吐く他の病気の可能性もあるので絶対に大丈夫とはいえません。
黄色や緑の液体を吐く理由にはどんなものがあるのでしょう。そして、心配すべきはどんなときなのでしょうか。
胆汁性嘔吐症候群とは
黄色や緑の泡(液体)は胆汁です。胆汁の仕事は消化過程を助けることです。胆汁は肝臓で産生され、胆嚢に貯蔵されています。食べ物が摂取されると小腸に胆汁が放出され、体が栄養素を利用できるように食物を分解します。胆汁の一部は肝臓に戻されますが胃に漏れ出ることがあり、空腹などで胃が活発でないときに、胆汁酸の刺激により泡や液体を吐き出してしまうことがあるのです。
胃の収縮を不活発にする要因には、空腹のほか、脂肪食品や草の食べすぎ、水の飲み過ぎなどがあります。
前の食事の時間にもよりますが、夜遅くや朝早くに胆汁の黄色や緑の液体を吐き出す場合が多いようです。
胆汁性嘔吐症候群の予防・対処
胆汁性嘔吐症候群そのものは、あまり心配するものではありません。ただし、胆汁酸は食道を腐食する可能性があるため、あまりに頻繁だと潰瘍に至る可能性があります。犬を苦しい状態から救うためにも、予防し対処をしたほうが良いでしょう。
まずは、給餌パターンの変更を検討しましょう。例えば1日に1〜2回食べるコなら、オヤツも含めて3〜4回に切り替えるのです。また、夜から朝までの時間が長いのなら、夜眠る前に少し食べさせるのも良いでしょう。これにより胃が働く時間が長くなります。
フードの変更も一つの手です。低脂肪で高繊維の食事[1]や、腹持ちの良い炭水化物に富んだ食事が良いと言われます(症状の改善を目的にフードを変更する場合は、必ず獣医師に確認してから行いましょう)。給餌パターンやフードを変更しても改善が見られないようなら、獣医師に相談しましょう。投薬により改善することがあります。
空腹以外で胆汁を吐く場合
空腹以外で胆汁を吐く場合は、以下の要因も考えられます。
- 消化器系疾患:炎症性腸疾患、胃潰瘍、寄生虫感染(ジアルジア感染症)、胃癌または腸リンパ腫など、消化器系に影響を与える病気の可能性があります
- 膵炎:膵炎などの内分泌障害は、胆汁性嘔吐のほか、激しい胃痛および下痢を引き起こすことがあります。膵炎は、高脂肪または油性食品の摂取により引き起こされる可能性があります
- 消化管内の異物(腸閉塞):オモチャや骨、毛玉などが腸の閉塞を引き起こし、これが胆汁性嘔吐の原因になることがあります
- アレルギー:アレルギーにより胆汁を嘔吐することがあります。多くの場合、フードの切り替え直後にみられます。牛肉、乳製品、小麦、卵、鶏肉、トウモロコシ、子羊、大豆、豚肉、ウサギ、魚などがアレルギーの原因になることもあります。原因を特定するためには、適切な栄養管理を行ったうえでの厳密な食事療法が必要です
心配すべきはどんなとき?
食欲不振、嗜眠(刺激を与えないと覚醒しない重度の眠り)、下痢などの他の症状示す場合、または皮膚、目または歯茎に変色がある場合は、獣医師に相談すべきです。何日も症状が続く場合も、念には念を入れて相談してみると良いでしょう。
いずれも、突然のフードの変更やストレス、投薬による副作用などが影響している可能性はありますが、毒素への曝露、肝臓病、寄生虫、アレルギーなど、より深刻なものである可能性もあります。消えた靴下が犬の胃の中にある場合などは、急いで取り出さなければ危険です。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 5 Reasons Why Your Dog Is Throwing Up Bile | petMD
[2] Bilious Vomiting Syndrome in Dogs | petMD
Featured image creditsarandy westfall/ unsplash
犬が吐く原因〜カラダの中で何が起こっているの? | the WOOF イヌメディア
犬は、さまざまな理由で吐くことがあります。あまり心配しなくても良い場合もありますが、重篤な病気の徴候で、直ちに獣医師の診察を必要とすることもあります。 犬はなぜ、吐くのでしょう?心配すべきときはいつか、できることは何かをまとめています。