シニア犬でも新しいことを学べるのか?

シニア
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”You can’t teach an old dog new tricks.”という英語のことわざをご存知でしょうか。

直訳すると「老いたる犬に新しい芸を教えることはできない」。日本語のことわざだと「老木は曲がらぬ」がこれにあたり、意味は「若いうちに欠点を直さないと年をとってからではもう手遅れで直らない」となります。

確かにシニアになると、人も犬も考え方や癖を直すのは難しいですよね。でも、人間も犬もいくつになっても、新しいことを始めることができるのです。

[icon name=”comments” class=”” unprefixed_class=””] この記事の監修者

WanByWan 三井 惇(みつい じゅん)CPDT-KA

1997年ボーダー・コリーを迎えてからドッグトレーニングの面白さを知り、ドッグダンスを始めてから、ドッグダンスを広めたいとドッグトレーニングのインストラクターになる。
現在は二頭のボーダー・コリーと共に、一般家庭の愛犬のトレーニングやドッグダンスのレッスンに携わる。本人も競技者としてオビディエンス競技やドッグダンスコンペに出没中。

老犬も新しいことを学べる


image by Mila Atkovska / Shutterstock

「老いたる犬に新しい芸を教えること」は難しそうに思えますが、不可能ではありません。私たちが年を重ねても学ぶことができるように、シニア犬も新しいことを学ぶのは可能です。

もともと犬は、学ぶことに貪欲です。犬によっても違いはありますが、いろんなことに興味をもち、新しい経験を楽しむシニア犬はたくさんいます。実際、彼らは暮らしの中でも、周囲の環境に注意を向け、聞こえるもの、目に見えるもの、匂いがするものに反応し学んでいます。

年齢を重ねた犬は、若い犬ほど気を散らされることが少ないため、訓練がはいりやすいという人もいます。若い犬より不利な点は、すでに癖がついていることや習慣が定まっていたりすること、繰り返し練習する体力と集中力に欠けることでしょうか。

しかし、認知機能障害などがみられない限りは、能力面で若い犬と変わることはありません。とにかく根気よく続ければ、古い習慣を追い出して新しいことを教えてあげることだって可能なのです。

犬も、いくつになっても、新しいことを学ぶことができるのです。そして学ぶことは犬にとって、とても楽しい活動です。

シニア犬に新しいことを教えるためのヒント


・簡単なことからスタートする

シニア犬に新たなことを学んでもらうなら、とにかく簡単なことから始めてみることです。すでにできるものを完璧にするチャレンジから初めても良いでしょう。

年齢を重ねた犬は、どうしても古い習慣や癖にとらわれがちです。古いものを新しいもので上書きするためには、とにかく時間がかかるものです。できるところから始めてたくさん褒めて「学ぶことって楽しい!」と思ってもらえるように工夫しましょう。

・年齢に合わせて負荷を調整する

トレーニング方法は、子犬でも成犬でも老犬でもとくに変わりはありません。しかし、かける負荷は年齢によって調整しなければなりません。

シニアの犬は、どこかしらに健康上の問題をかかえている可能性もあります。骨や関節の痛みはトレーニングを楽しくないものにしてしまうでしょう。何かに躊躇している様子がみられるなら、痛みや不快感がるのかもしれないので、無理はせず、心配であれば獣医師に診てもらうことも必要かもしれません。

以下は身体にかかる負荷が大きすぎないトレーニングのリストです。参考にしてください。

  • お手(shake paws):手の中におやつを持っているところを見せて、自分から前足で手をひっかいておやつをとり出そうというそぶりを始めたら褒めてあげます。何度も繰り返すようになったら、「お手」という言葉を言ってからおやつを握った手を見せるようにしていくと、前足を上手にあげられるようになります。決して前足を無理に引っ張ったりしないようにしましょう。
  • 探せ(search):おやつや大好きなおもちゃをわかるところに置いて、犬が自分からそちらに向かったら、「探せ」という言葉をかけてあげると、見えないところに隠しても嗅覚を使って探しに行くようになります。嗅覚は聴覚や視覚に比べると衰えにくいので、シニア犬にはもってこいのトレーニングです。
  • 後方に歩く(back up):シニアになると、どうしても後肢が衰えやすくなるので、並んで一緒に後ろに下がる練習から始めると、後肢の可動域を広げたり、筋力をアップできるので、健康上もおすすめのトレーニングです。

・視力・聴力の衰えに合わせてアレンジする

視力が衰えている犬なら声やタッチで合図を送りましょう。聴力が衰えているなら、ハンドサインを教えましょう。年齢に限界はありませんが、身体的な限界には配慮しなければなりません。

・特別なオヤツでしっかり強化

シニア犬のやる気を奮い立たせるような、素晴らしく美味しく歯にも負担のかからないオヤツを準備しましょう。年齢を重ねた犬のトレーニングに必要なのは、飼い主の暖かな声援とスペシャルなオヤツです。何かができたしっかり褒めて、前向きな脳への刺激を与えましょう。

・肥満対策は万全に

トレーニングでカロリーが高めなオヤツを使うなら、食事量を減らすなどの対策をしましょう。肥満はとくにシニアの犬では、健康を脅かす恐れのある避けなければならないものだからです。

トレーナー’s POINT

犬も歳を重ねると食べるものへの執着心が大きくなってきます。誘導やご褒美としてオヤツ(トリーツ)を使うと、犬の意欲もアップします。
特に、クリッカーを使ったシェーピングなどのトレーニングは、わかりやすい音で犬に正解を伝えられるので、学習の速度もあがります。

年齢を重ねて身体の機能が衰えても、訓練により脳の働きを活性化させることは可能です。新しいことにチャレンジすることは若さを維持するだけでなく、あなたと愛犬の絆を強くすることにもつながります。

愛犬と一緒にゆったりと、楽しみながら挑戦を続けてみてくださいね。

Featured image creditAnnette Shaff/ shutterstock

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