生きている子犬のお腹に液体ヘロインの袋を埋め込んだ元獣医学生は今年2月、6年の懲役刑を言い渡されました。
刑を宣告されたのは、コロンビア人のアンドレ・ロペス・エロレス(39歳)。エロレスは2004年から2005年の間に、借り受けた農場で子犬を飼育し、彼らの体にヘロインのパックを埋め込むことで米国にヘロインを密輸していました。
2005年1月、警察はコロンビア第二の都市メデジンにあった農場を捜査し、17袋の液体ヘロインを押収しました。7袋はそのまま押収されましたが、10袋は子犬の身体から取り出さなければなりませんでした。ドラッグは、純血種の子犬のお腹に埋め込まれていたのです。密輸業者は、純血種の子犬なら税関を通りやすいと考えたようです。
警察は、被害にあった9匹を救助。緊急手術により薬物が取り除かれましたが、3匹はウイルス感染のため死亡してしまいます。
しかしこのとき警察は、実行犯とみられていたエロレスを取り逃してしまいます。エロレスはスペインに逃亡しガリシア地方に定住、そこで結婚し二人の子供を育てます。2015年に逮捕されるまで、獣医師の助手として働いていました。
逮捕されたエロレスは、2017年に米国に引き渡されました。ヘロインを米国に密輸する企てについて有罪を認め、6年の実刑判決を受けるに至ったのです。
しかし、共犯者らしき人物はまだ捕まっていません。弁護士によればエロレスは単独犯ではなく、麻薬密売人とつながりのある獣医師がエロレスにインターンシップを確保し、この子犬を使った犯罪プロジェクトを指揮したのだといいます。
エロレスは、「(密輸の実行犯となった年は)私の人生において非常に困難な年でした」と語り「自分の行動を正当化することはできない。間違いを犯した」とコメントしています。
生き残った犬は、新しい家族の元で生活しているそうです。その中の1匹 ビーグルのドナは、コロンビアで警察官の養子となりました。ロットワイラーのヘロイナは、現在コロンビア警察に勤務。薬物探知犬として活躍しています。
エロレスは米国での刑期を終えたあとは、スペインまたはコロンビアに国外追放されるとみられています。
Featured image creditU.S. Drug Enforcement Administration