犬も私たちと同じように、ストレスから身体や心に影響を受けることがあります。
ストレス要因には、騒音、家族の不在、運動不足まで様々なものがありますが、ストレスを受ける状況が長く続くと、健康に影響するような深刻な問題に発展することもあります。
ストレスは犬の健康に、どのような影響を与えるのでしょうか。
この記事にはこんなことが書いてあるよ!
食欲が減退する
犬もストレスを受けると、食欲が減退します。ストレスを受ける状態が長く続くと、食物摂取量の減退から体重の減少がみられます。
若く健康な犬なら、ストレス要因を取り除けばすぐに食欲が戻るでしょう。しかし、元々が低体重の犬、幼年の成長期にある犬、老齢の犬や病気の犬にとっては、栄養失調や体重の減少は病気や衰弱を大きく加速させかねません。
ストレスを受け続ける犬が、食べ物以外のものを食べ始めることもあります。これは異食症(ピカ)と呼ばれる、食物として適当でないもの(砂、土、草、髪の毛、布切れ、糞)を口に入れる行為のことです。いわゆる食欲に分類する行為ではありませんが、健康を害することに繋がる行為ですので、ここに記載しておきます。
免疫系が弱くなる
ストレスを受けた犬は、身体がストレス関連ホルモンを放出し、心臓や血管に影響を与えるほか、免疫系に影響するために、感染などの影響を受けやすくなります。
ストレスを受けるときに放出されるホルモンには、アドレナリン、コルチゾール(副腎皮質ホルモンの1種)、アルドステロン、テストステロンがあります。このうちのコルチゾールには免疫反応を抑える作用があり、分泌される量によっては免疫が抑えられすぎる、すなわち免疫機能が低下した状態をもたらすことがあるのです。
普段は身体に備わった免疫力で跳ね飛ばす程度の細菌やウィルスも、ストレス下にある犬には病気の原因にもなりかねません。たとえば毛包虫症を引き起こすダニは、少量が寄生しても問題は起こしませんが、なんらかのきっかけで増殖することで炎症の原因となります。ダニの大量発生の原因は正確にはわかっていませんが、免疫力の低下も一つの要因であると考えられています。
下痢や頻尿になる
ストレス下で放出されるホルモンの一つにアドレナリンがあります。アドレナリンは、精神的または肉体的なストレスを受けたときに最初に放出されるホルモンであり、心拍数、血圧、遊離脂肪酸および血糖値をあげ、身体をストレス対応モードにします。怒りや恐怖などの感情が引き起こされ、血液が供給が増え、筋肉が緊張します。
アドレナリンの放出は腸や胃への血流を減少させるため、下痢の原因になります。ストレス誘発性の下痢はしばしば突然起こり、通常は発熱や嘔吐などの他の症状は伴いません。
また、ストレスホルモンの分泌により膀胱活性筋を緩まり、排尿が起こりやすくなります。
眠りが浅くなる
2017年に発表された研究によれば、ストレスを経験した犬は経験していない犬に比べ、眠りに落ちるまでの時間が早かった一方、深い眠りの時間が平均して20分少なくなることがわかっています。
この結果を受けて研究者らは、睡眠の質の問題がたまに起こるなら問題はないが、長期間つくようなら記憶や感情のコントロールに問題が生じる可能性があるとコメントしています。
若さを失う可能性がある
大きな音や見知らぬ動物、見知らぬ人々と接触する犬は、マズルの白髪が多いという研究結果があります。
また2010年に行われた研究は、見知らぬ人への恐怖が犬の寿命に影響する可能性を示しています。研究を行ったDreschel博士は論文の中で、「不安や恐怖の中で生きることによるストレスは、犬の健康や寿命に有害な影響を及ぼすという仮説が立てられる」と述べています。
ストレスが病気を引き起こすこともあれば、病気や怪我そのものがストレッサーとなり、さらなる悪化を引き起こすこともあります。完全ストレスフリーな暮らしを実現してあげるのは不可能だとしても、犬たちが発するストレスサインを早めに読み取って、原因を取り除くよう細かく気配りしてあげたいものですね。
Featured image credit Jorge269 / Flickr
犬たちが発する5つのストレス・サイン〜食欲不振や元気がないコは不安を抱えているのかも | the WOOF イヌメディア
今日のうちのコ、いつもと違うな・・・。 そう感じることはありませんか?ただのお疲れかもしれないけど、もしかしたら、心配事や不安を感じて憂鬱になっているのかもしれませんよ。