欧米では利用者が急増している電子タバコ。イギリスでは禁煙治療でも使用が許可されており、最近では内科医師会が電子タバコの使用を勧める報告書が出したというニュースが報じられました。

喫煙者への影響はまだまだ未知数としながらも、従来のたばこに比べると健康被害は少ないと考えられているようです。ただし、犬にとっては従来のたばこ以上に危険なもののようなのです。

電子タバコって何だろう？

電子タバコとは、液体入りカートリッジとバッテリー、噴霧器がセットになったタバコ形状の装置で、吸引器を口に咥え、液体を熱することで発生する蒸気を吸引することでタバコの代替とするもの。2007年ごろから急速に広まり、2014年度の市場規模は約3500億円にまで成長。2017年までには約100億ドル市場に拡大すると予想されています。

ちなみに日本では、日本たばこ産業がニコチン入りのたばこプルームを販売しています。ただし、蒸気発生の仕組みが欧米のものとは異なっており、液体ではなくタバコ葉を電気により加熱させるスタイルなのだとか。大人の事情が絡んでいそうなので、日本において液体カートリッジ使用の電子タバコが一般的なものになるにはもう少し時間がかかりそうですね。

2012年には電子タバコによる犬死亡事故が発生

さて、欧米では一般的になってきた電子タバコですが、2012年には英国でカートリッジ内の液体を口に入れた犬が死亡する事故が起きています。

亡くなったのはスタッフォードシャー・ブル・テリアのアイヴィ（Ivy, 14ヶ月齢）。飼い主さんがニコチンカプセルをポケットから落とした瞬間、遊び盛りのアイヴィがそれを噛み、中のニコチンを少量摂取してしまったのです。口に入れたのはほんの少量でしたが、次の瞬間には泡を吹いてぐったりしてしまったのだそう。

15分後には病院での治療が開始されましたが回復は叶わず、アイヴィは翌日に死亡。急性ニコチン中毒でした。治療を担当した医師は、「（電子タバコの）液体は、犬をしに至らしめる可能性がある。犬たちは、容器に歯で噛みくだくことができるのだから」と英インディペンデント紙にコメントしました。

従来型より電子タバコの液体の方が危険

ASPCAの内部組織であるアニマル・ポイズン・コントロール・センター（APCC: Animal Poison Control Center）は、犬にとって毒になる恐れのある日用品リストの中で、電子たばこの液体について以下のように注意を喚起しています。

電子タバコの液体（e-リキッド、またはe-ジュース）は、電子タバコのカートリッジを補充するためのものです。ボトルに含まれるニコチンは、摂取した犬の命を簡単に奪うほどの量です。液体には味や香りがつけられており、製品に惹きつけられるような工夫が凝らされています。私たちは、ペットのご家族に全てのタバコ関連製品をペットから遠ざけるよう勧めています。口にしてしまった時は、すぐに獣医師に相談してください

電子タバコの液体に含まれるニコチン量は、従来型のタバコより多いと言われています。高濃度であることに加え、カートリッジの交換の際に液体が流出する恐れも指摘されています。犬が容器を噛んで口にする場合、液体に溶けたニコチンが皮膚や口の粘膜から入り込み、肝臓を通過することなく直接体に作用してしまうため、容体が酷くなるという話もあります。

犬にとって完璧に安全な環境を作り上げるのは難しいことですが、可能な限り努力して、少々のいたずらでは大切な家族を失うことがないようにしたいものです。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] A Warning to Pet Owners Who Use E-Cigarettes | vetStreet

Featured image from Raymond M. / Flickr

受動喫煙は犬の健康にも悪影響（1）〜環境たばこ煙に含まれる有害物質は多くの疾患を引き起こす | the WOOF

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