犬の歯磨き〜毎日の習慣にして、お口の健康を維持しよう

健康管理
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毎日歯磨きは、愛犬のお口の健康だけでなく全身の健康にもつながるものです。愛犬と一緒に毎日の歯磨きにチャレンジしましょう。

今日は上手に歯磨きするためのステップを、ゼファー動物病院の上條圭司院長に伺いました。

[icon name=”comments” class=”” unprefixed_class=””] お話を伺った方

ゼファー動物病院 上條圭司(かみじょう けいじ)院長

麻布大学獣医学部卒業後、横浜市内の動物病院にて研修。1990年に東京都八王子市にて動物病院開業、現在に至る。Team HOPE 副代表。

この記事には、こんなことが書いてあるよ!

スムースに歯磨きチャレンジするための準備

・出来るだけ早い時期からはじめよう


美しい歯の持ち主は、グレートピレニーズ女子のゆりあ嬢(2018年7月29日生まれ) image by WOOFOO, Inc.

歯磨きチャレンジは、早ければ早いほど良いものです。「早い時期に口周りを触られることや、口に硬いものが入れられる感覚に慣れさせちゃいましょう」と上條先生。「全身くまなく触らせてくれるようにしておくと、動物病院での診察やグルーミングなども受け入れやすくなるものです。デンタルケアもおんなじで、毎日触って慣れさせておくと良いですよ」

成犬やシニアからチャレンジするのは?「成犬もシニアもおんなじです。毎日どこかしらを触りながら、できることを増やしていくしかありません。時間はかかるかもしれませんが、諦めずに続けることで一歩ずつステップアップしていきましょう」

始めるのに遅すぎることはありません。子犬も成犬もシニアの犬も、歯磨き習慣の確立を目指しましょう。

・ボディタッチに慣れさせておこう


ママはプロのトリマーさん。小さいときからボディタッチに慣れているから、どこを触られても平気です😊 image by WOOFOO, Inc.

犬はお口周りを触られるのが苦手なもの。ある日突然「歯磨きするぞ!」と迫るのではなく、普段から唇に触れたてみたり、ぺろっとめくってみるようにしましょう。「どこを触られても極端に嫌がらないように準備しておけば、スムーズに歯磨きチャレンジに進むことができますよ」

・歯磨きグッズを準備しよう

歯ブラシ、歯磨きジェル(ペースト)、ガーゼやシートなど、歯磨きに必要な製品を準備しましょう。

愛犬に適した製品を選ぶのに、何回かの失敗と幾らかの投資が必要になるかもしれません。製品が愛犬に嫌われてしまったら一旦は諦め、別の製品にトライしてみるのも一つの方法です。

・適切な歯磨きタイムを見つけよう


取材を担当したthe WOOF専属イヌ記者、ライチ氏(2010年4月11日生まれ)。先生のお話をフムフムと聞いています。 image by WOOFOO, Inc.

愛犬の様子を観察し、落ち着いてリラックスする時間にチャレンジしましょう。それは夜寝る前かもしれませんし、お散歩や運動後に疲れてゆったりしている時間かもしれません。

・適切な歯磨き場所を見つけよう

リラックスできる場所を見つけましょう。犬を押さえつけたりせず、普段どおり前や横に座って、飼い主さんもリラックスしましょう。愛犬が不安な兆候をみせるなら、一旦ストップし時間を置いてもう一度トライしましょう。

・歯科の問題を抱えている場合は獣医師に相談を


4月で9歳になるライチ氏。歯垢も歯石もついていて、ケージをかじりすぎて犬歯が折れてしまいました。飼い主反省…。 WOOFOO, Inc.

すでに歯茎が黒くなっていたり、歯垢や歯石がびっしり付いていたり、歯に損傷がみられる場合は、まずは獣医師に相談をしましょう。「痛みがある段階で歯磨き習慣をつけようとすると、歯磨き嫌いになってしまうかもしれません。歯科治療を行ったのちに歯磨きをスタートする方が賢明ということもあります」

この記事は、ペットの予防医療の普及・啓発活動を展開する獣医師団体「Team HOPE」の協力により作成したものです。

健康診断や予防医療についてもっと知りたい方は、Team HOPE公式(http://teamhope-f.jp/) をチェックしてね🐶

犬の歯磨きを成功させるためのステップ

・ステップ1:口周りや口の中を触ってみる

歯磨きの第一歩は、愛犬のお口周りに触れること。触らせてくれるのなら、口の中に指を入れて、歯や歯茎に触ってみましょう。上唇を持ち上げて上の歯を触り、下唇を引き下げて下の歯にふれてみましょう。

このとき、口を大きく開けさせる必要はありません。唇をめくって頬を少し引っ張るだけで、指は奥の方まで届きます。最初は短い時間で軽く圧をかける程度にしましょう。

・ステップ2:歯磨きジェルやペーストに慣れさせる

美味しいジェルを不安そうに待つ。でも、大丈夫。😊 image by WOOFOO, Inc.

使用しようとしている歯磨きジェルやペーストを指に置き、犬が興味をもつのを待ちましょう。舐めてくるようであれば、愛犬は味と食感を好んでいると思われます。愛犬の受け入れ準備が整うのをを待って、唇を持ち上げ、歯や歯茎に沿って歯を磨くようにこすってみましょう。

・ステップ3:歯ブラシに慣れさせる

さぁ、いよいよ歯ブラシに登場してもらいましょう。いきなり犬の口に入れるのではなく、犬に歯ブラシを”検品”させるところから始めましょう。犬がジェルやペーストを気に入っているなら、歯ブラシにつけておくと良いでしょう。歯ブラシを噛んだり舐めたりできたら、たくさん褒めてあげましょう。

・ステップ4:歯ブラシで歯に触れてみよう

ガマン、ガマン。平気だよ。😊 image by WOOFOO, Inc.

歯ブラシで歯に触れてみましょう。歯ブラシは水で濡らすだけでも十分ですが、ジェルやペーストを好むのなら使用しましょう。

上唇を持ち上げ、歯ブラシを歯の上に乗せてみます。受け入れるようならこするような動作をしても良いでしょう。強く抵抗するようなら、一旦中断し犬が落ち着くのを待ちましょう。家族や友人の手を借りて、犬が落ち着くよう応援してもらうと上手にできるかもしれません。強い抵抗が続くなら、前のステップをもう少し丁寧に続けるか、別の方法(ガーゼやシートを使ったこすり磨き)にチャレンジしてみるのも良いでしょう。

いくつかの歯を触らせて(あるいは磨かせて)くれたら、たくさん褒めてご褒美をあげましょう。犬が慣れるまで十分時間をかけることが成功のコツです。

・ステップ5:歯の表面を磨く

ここでのゴールは、1回の歯磨きで全ての歯の表面を磨けるようになることですが、はじめから全部を磨こうとせず、毎日少しずつ磨く歯の数を増やしていきましょう。

1本1本丁寧にみがくようにしましょう。できるようになってきたら歯垢のたまりやすい奥歯(臼歯)をしっかり磨けるように意識しましょう。

歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握り、毛先を軽く左右に揺らすようにみがきます。

短い時間(2分程度)で終えること、ブラシを強く当てすぎないこと、無理やり口を開こうとしないことがコツです。ブラッシングに慣れさせることが目標です。ブラッシングしながら穏やかな声でおおいに褒めてあげましょう。

・ステップ6:歯の裏側を磨く

1回のセッションですべて表面を磨くことができたら、裏側のブラッシングにチャレンジしましょう。

お口をあけ、ゆっくり丁寧に磨いてください。左右の犬歯の後ろに指を入れると、自然に口が開きます。

歯の裏側は、磨けるならそれに越したことはありませんが、どうしても難しいときはこだわり過ぎなくても大丈夫です。犬のザラザラした舌は、歯の裏側をきれいにする役割があるとも言われます。まずは外側をしっかり磨けるようになることを目標にしましょう。

・ステップ7:毎日の習慣にする

歯磨きを毎日の習慣にしましょう。毎日続けるのは大変ですが、回数を重ねれば重ねるほど1回の負担は軽くなっていきます。

週に1回はお口の匂いをかいだり、犬の口の中を丹念にみて、歯茎の色や腫れがないかを確認しましょう。歯茎に炎症がみられたり、歯がグラグラしているとき、歯茎からの出血がある場合などは、獣医師に相談してください。歯茎からの出血は、ブラッシングの力が強すぎることが原因のこともありますが、歯周病や他の病気の兆候である可能性もあります。

歯磨きに不慣れな犬、苦手な犬はどうしたらいい?

・ガーゼやシートで「こすり磨き」

歯ブラシが苦手な犬や、一気に歯ブラシにチャレンジするのはハードルが高いと飼い主さんが感じる場合は、まずはガーゼや歯磨きシートを使っての「こすり磨き」にチャレンジしてみましょう。

二つ折りにしたシートの間に指を入れ、しっかりグルグル巻きつけます。ゆるまないように親指で押さえ、犬のお口に触れてみます。最初は口や歯に触れるだけにして、慣れてきたら歯や歯茎を優しく磨いて汚れを落としましょう。

犬が嫌がる場合は、ガーゼやシートに肉汁をつけたり、ガーゼを持つ手にオヤツを隠して磨いてみるのもオススメです。

「こすり磨き」は、歯や歯茎を触られることに慣れてきた犬にオススメのステップです。飼い主さんが犬の口や歯の形状、歯の並びなどを触って確かめるうえでも有用です。

・歯磨きガムやオモチャを使う


車が嫌いでニンゲンが大好きな ゆりあ嬢。これからガムも大好きになっちゃうかも💕 image by WOOFOO, Inc.

歯磨きガムやオモチャは噛むことで歯垢を取り除き、歯茎をマッサージするのに役立ちます。「ガムはただ噛ませるだけでなく、飼い主さんが手で持って何回もかませるようにすると、安全性も効果も高くなります。飼い主さんが手で持ってあげると、犬も嬉しいし楽しいですよね」

デンタルケアは辛いものである必要はありません。犬にとって美味しく楽しいものであっても効果があれば問題ありません。ただしガムやオモチャを噛むことは、歯の表面を綺麗にしたり口臭予防につながりますが、歯磨きの代わりにはならないので、その点は忘れないようにしましょうね。

・様々なデンタルケア製品を試してみる


はじめてみる歯ブラシに、興味津々のゆりあ嬢。 image by WOOFOO, Inc.

歯垢や歯石の除去に役立ったり、細菌の繁殖を抑えるのに役立つ成分を含む製品(ジェルやスプレー、液体ハミガキ、フードやサプリメントなど)も登場しています。これらは歯のブラッシングに替わるものではありませんが、一定の効果が期待できるのなら、活用してみるのも良いでしょう。

ただし、これらの中には安全性と効果が確認されていなものも多いため注意が必要です。かかりつけ獣医師に確認してからの使用をお勧めします。

・獣医師のクリーニングを取り入れる


「言うことをよく聞く飲み込みが早いコ」とママに絶賛される ゆりあ嬢。初体験の歯ブラシも余裕、よゆう❣️ image by WOOFOO, Inc.

愛犬が家での歯磨きを断固拒否する場合は、とにかくかかりつけ獣医師に相談し、お口ケアのプランを立ててもらいましょう。プロのクリーニングなら受け入れる犬であれば、定期的に磨いてもらうよう相談しましょう。

毎日の歯磨きができている犬でも、歯の定期検診や定期的なクリーニングは受けておきたいところです。

・歯磨き慣れには時間がかかると心得る

歯ブラシをすぐに受け入れる犬もいますが、中にはお口を触らせてくれるまでかなり時間がかかる犬もいます。歯磨きを習慣づけるまで数ヶ月かかることも少なくありませんし、歯磨きを受け入れない犬もいるでしょう。

「できないからといって諦めず、できることを続けていきましょう。休みながらでも構いません。犬にとって歯磨きは自然に反する行動です。時間がかかるのが普通ですから、ゆっくりじっくり取り組みましょう」

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